双生児
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双生児(そうせいじ)とは、多胎児の1つで、同じ母親の胎内で同時期に発育して生まれた二人の子供を指す。所謂双子(ふたご)のことであり、多胎児の中では一番見かける。母体が受胎した時の受精卵の数により、一卵性双生児と二卵性双生児に大別される。
出産の時には数分程度の時間差で産まれる事が多いが、 中には数時間から数日の間隔で生まれる場合もあるので 誕生日が異なってしまう兄弟姉妹もいる。また、日本では後から生まれた方を兄または姉、先に生まれた方を弟または妹として扱う慣習があったが、戸籍法上は生まれた順に記載する事となっている。
なお、双子は多くの哺乳類(猫や羊、フェレットなど)で一般的に観察される出生形態の一つである。例えば牛の双子発生率は1%から4%程度ある。双子受胎時の困難さを克服できる、あるいは管理することが出来ればより高利益を確保できるため、双子率を上昇させる研究も行なわれている。
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[編集] 双生児の卵性
一つの受精卵(卵子)が分裂(多胚化)して生れる一卵性双生児(identical twins / monozygotic twins)と、何らかの原因によって二つの卵子が排出(多排卵)され、それぞれ別の精子と受精して生まれる二卵性双生児(fraternal twins)がある。
[編集] 一卵性双生児
受精卵の多胚化による一卵性双胎(多胎)妊娠は、偶然の産物であり、一卵性双生児の出生は遺伝やホルモン分泌量などの外的要因に影響をほとんど受けない(ごく稀に、不妊治療の影響を受けた可能性が存在する例もある)。古来より人種に関わりなく、1000組に4組の確率で一卵性多胎児が誕生する。なお、一卵性双生児は全く同じ遺伝情報を持っている。よって 性別や血液型等が基本的に(発生段階で変異がなければ)一致し、顔形もよく似る(指紋は遺伝子以外の要因が大きい為、良く似てはいるが一致しない)。また、遺伝子情報が獲得形質に直接的な影響を与えるわけではないため、遺伝情報が同じ一卵性双生児であっても、身体能力・外面などは(似ているが)個々人で異なる。学校の得意科目やスポーツの得意・不得意が分かれることも多い。
- ミラー・ツイン
- 一卵性双生児の一部は、「反対の特徴」を持つ場合がある。誕生した双生児が、右利き・左利き、つむじが右巻き・左巻き、という形でそれぞれが左右の特性を持って産まれてくる場合、ミラー・ツインと呼ぶ。受精9-12日前後で受精卵の分裂が発生した場合、ミラー・ツインになると考えられている。様々な外的要因の累積によって、稀に内蔵位置の逆転(心臓が右にあるetc.)が生じる場合もある。
- 異性一卵性双生児
- 極めて稀であるが、オリジナルの性染色体がXXYであった場合、多胚化の際にXまたはY染色体がそれぞれ別に落とされて、性別が異なる一卵性多胎児が生まれることはありうる。一卵性の双子で性別が異なる事例が現在までに3例ほど発見されている(異性一卵性双生児の場合、遺伝子の核が異なるため、遺伝情報は一卵性双生児であっても完全に同一なものとはならない)。
- 結合双生児
- 一卵性の場合、ごく稀に卵子の分裂が不完全な状態で成長し、体が結合したまま出生される事がある。この出生形態の双生児は結合双生児(シャム双生児)と言われる。
[編集] 二卵性双生児
二卵性双生児は、多排卵のうち(異なる精子に)受精した二卵が、同時に子宮壁に着床した場合の双胎妊娠から誕生する。二卵性の場合、兄弟が同時に生まれて来るのと同じ事なので遺伝情報は各自で異なり、性別や血液型等が異なる場合もあるし、顔形も通常の兄弟程度に似る事になる。性別が異なる場合を特に異性双生児という。排卵は妊婦自身や母方家族の二卵性双生児出産既往と相関があり、高ゴナドトロピン血症との関連が示唆されている。ゴナドトロピンは経産により上昇する傾向にあり、経産婦が双子を出産する可能性は初産の場合よりも若干ながら高い。かつて日本の二卵性双生児出生率は0.2%弱であった(一卵性より出生率は低かった)が、近年は上昇傾向にあり、出生率は0.4%以上になっている。
遺伝子研究においては、双子の両親のうち母親の持つ要因だけが二卵性双胎妊娠の発生に影響を与える。つまり精子が母体に何らかの影響を及ぼし、多排卵を導くという可能性はない。
- 混血の双生児
- 両親が共に混血である場合、両親の親の民族のDNAを片方ずつだけ受け継いだ結果、異なる民族的特徴を持った二卵性双生児が産まれることがある。例えば、両親が共にコーカソイドとアフリカンの混血であった場合、双子のうち一方がコーカソイド、もう一方がアフリカンの特徴をもって産まれる可能性がある。具体的には写真を参照[1]のこと。
- 異父二卵性双生児
- 極めて稀ではあるが、二卵性双生児それぞれの父親が異なる可能性もある。(同一月経期間内での)別の時期・別の性交で各卵子に対する受精が発生(過妊娠)する可能性があり、さらに滅多にないが過受胎(過受精)が発生する可能性もある(過受胎とは、妊娠後の性交で受精・着床し、二人目を妊娠すること)。これらのケースにおいて、父親が異なる場合が異父過妊娠・異父過受胎である。1992年のある研究(下記の参考文献を参照のこと)では、父親認知訴訟で審理されたケースのうち、異父二卵性双生児が約2.4%であったとされる。
[編集] 一卵型二卵性双生児
一卵型二卵性双生児(polar body twins、あるいはidentical-fraternal twins)は、排卵された一卵が受精前に分裂して二卵になったことから二卵性双生児として誕生する、双生児の種別の一つである。一卵型二卵性双生児は各々75%のDNAを共有している。また、異性双生児として誕生する可能性が、通常の二卵性双生児の場合と同様に存在する。
[編集] 一卵性と二卵性の識別
双生児の性別が異なる場合、ほぼ確実に二卵性双生児である。しかし、同性の場合はDNA検査をしない限り、卵性を判定することは出来ない。ただし妊娠初期の時点で膜性が判定できた場合、1絨毛膜性双胎妊娠であれば産まれてくる双生児は一卵性双生児である。一方、2絨毛膜性双胎の場合は一卵性と二卵性の両方の可能性がある。
かつては絨毛膜や胎盤の数をもって卵性を識別していたが、これは誤りである。2絨毛膜性双胎であっても一卵性の可能性があり、また視認された胎盤数が一つであって二卵性双生児の場合もある(融合双胎胎盤の場合)。よって現在では、出生時に二卵性双生児と言われていても、その実は一卵性双生児であったり、一卵性と判断されいても二卵性双生児だったりするケースが多数存在していると思われる(詳細については下記の膜性を参照)。
[編集] 双生児の出生頻度
双生児の出産頻度は、日本では低く1/150から1/160であった(近年は1/100程度に上昇している)。白人種では1/80から1/120、黒人種では1/50以上といわれる。この人種間の差や近年の日本の双生児出生頻度の上昇は、主として多排卵、即ち二卵性双生児の出産頻度に因るものとされる。一卵性の出生頻度は地域・民族・時代に関わりなく一律0.4%であるが、二卵性の出生頻度は地域・民族の違いが大きい。西アフリカ一帯に住むヨルバ族の場合、二卵性双生児の出生頻度は約6%であり、ブラジルのある小さな集落では10%に達する(参照[2]) 。これは日本の二卵性双生児出生頻度の10~20倍に達している。
[編集] 性別・卵性別の出生割合
双胎妊娠において5つのバリエーションが一般的である(一卵型二卵性双生児、一卵性異性双生児はレアケースのため除く)。出生率順に以下のパターンとなる。
- 男女の二卵性双生児(全双生児のうち、約4割を占める)。
- 女女の二卵性双生児
- 男男の二卵性双生児
- 女女の一卵性双生児
- 男男の一卵性双生児
但し、日本では二卵性双生児出生率が低いため、必ずしも上記の出生割合になっているわけではない。
[編集] 二卵性双生児の受胎誘因
卵子が分裂し、一卵性双生児が産まれる原因はよく分かっていない。しかし二卵性の場合、以下のような幾つかの要因が影響を与えている。
- 30歳~40歳ぐらいである。
- 身長・体重が平均より大きい。
- 経産婦である(経産回数が多いほど多排卵になりやすいと言われる)。
- 一部の不妊治療法。
- 不妊治療の種類に拠り、多排卵に全く影響を与えないものもある。体外受精・受精卵(胚)移植、排卵誘発剤の利用などが多胎妊娠に繋がる可能性がある。
- ヨルバ族のようなアフリカ系の血統である。
[編集] 双胎妊娠
双胎妊娠に限らず多胎妊娠の場合、胎児達の合計重量・体積の増加に対し、母親の子宮容積が早く限界を迎えやすいため、双胎妊娠の場合は単生児(胎児数1で妊娠・出産を迎えた子供)と比べると、臨月を待たず早く出産にいたる可能性が大きい。個人差はあるが、34週から36週ぐらいの早産になり易い。早産は新生児の健康状態に影響を及ぼす可能性が高いため、双胎妊娠の場合は慎重な妊娠生活を過ごすことが要求される。
双胎妊娠は、卵膜の種別である膜性により幾つかの形態に分類される。膜性の違いにより、妊娠生活上の注意事項が異なる。また、膜性により胎児の卵性が出生前に判明する場合もある。
[編集] 膜性
卵膜は外層より脱落膜・絨毛膜・羊膜の三層で形成され、このうち絨毛膜と羊膜の数による区分が膜性である。特に母体内の胎盤の数の違いを表す絨毛膜の違いが重視される。絨毛膜の方が羊膜より完成が早く、ごく早期は羊膜数の判断は困難である。また妊娠週数が進行すると膜性の判断が難しくなるため、膜性診断はおおよそ妊娠12週までに医師の判断を仰ぐ必要がある。
- 絨毛膜
- 絨毛膜は、羊膜の上層に位置し胎盤の一部を形成する、卵膜のうちの第二層。二卵性の場合は確実に2絨毛膜性双胎となる。一卵性の場合、受精卵の分裂時期により1絨毛膜になるか2絨毛膜になるかの違いが出る。絨毛膜の数は胎盤の数と考えてよいため、膜性が1絨毛膜の胎児は胎盤を共有している。よって、膜性が1絨毛膜と2絨毛膜のどちらかであるかにより、妊婦の生活に多少の違いが生じることになる(妊娠時の注意事項が異なる)。双胎間輸血症候群は1絨毛膜性双胎妊娠の場合のみ、発症する可能性がある。
- 羊膜
- 羊膜は卵膜の最内層であり、個々の胎児を包む膜。1絨毛膜性双胎妊娠の場合、1羊膜と2羊膜のケースが存在する。2羊膜性となる場合が多い。1羊膜の場合、同じ羊膜の中に複数の胎児が存在する。なお2絨毛膜性双胎妊娠の場合は、当然ながら2羊膜である(羊膜は絨毛膜の内層膜であるため)。
- 膜性と卵性
- 膜性(絨毛膜・羊膜の組合せ)と双生児の卵性には以下のような関係がある。
膜性と卵性 | 1絨毛膜 | 2絨毛膜 |
---|---|---|
1羊膜 | 一卵性 | 発生しない |
2羊膜 | 一卵性 | 一卵性 or 二卵性 |
- ※2羊膜2絨毛膜性双胎盤の場合、融合双胎胎盤と分離双胎胎盤に分類される。
- 2卵性双生児の場合、上記のように膜性は必ず2羊膜2絨毛膜となる。一方、1卵性双生児の場合、受精卵の分裂時期によって膜性が変化する。
- 2羊膜2絨毛膜:受精3日以内に受精卵が分裂した場合
- 2羊膜1絨毛膜:受精3日から7日以内に受精卵が分裂した場合
- 1羊膜1絨毛膜:受精9日以降に受精卵が分裂した場合
[編集] 双胎妊娠の出産時期
双胎妊娠の膜性が1絨毛膜型である場合、在胎週数が28週を超える頃に管理入院になる場合が多い。一般に管理入院の期間はノンストレストテスト(NST, Non Stress Test)等の結果によって変わってくるため、個人差が大きい。数週の入院の後に自宅に戻る場合もあれば、出産時までそのまま入院が継続される場合もある。
37週0日以上の正期産まで双胎妊娠も継続することが望まれるが、胎児の物理的大きさが母体の負担になる場合も多い。そのため、低出生体重児になる可能性があっても、妊娠34週を超えれば出産を選択することは双胎妊娠では珍しくない。これは妊娠34週以降であれば胎児の肺がほぼ完成し、NICUを備えた産院であれば十分な対応が可能になるからである。
一般に、双子の場合は37週過ぎ、三つ子の場合は34週過ぎの頃に出産となる場合が多いといわれている。1羊膜1絨毛膜の場合や品胎(三つ子)の場合、出産が帝王切開になる場合が多い。
[編集] バニシング・ツイン
双胎妊娠をしながら、ごく早期に一方が流れてしまい、結果として単胎妊娠の形になることをバニシング・ツインという。 研究者の中には、実はほとんどのケースでごく早期には多胎受精になっているが妊娠が確認される時期には単胎になっているのではないか、という仮説を立てている者もいる。
[編集] ミスキャリッジ・ツイン
子宮内胎児死亡。双子のうち一方の胎児だけが成長する場合であり、バニシング・ツインはこの一種。
[編集] 特有の問題
- 早産
- 多胎妊娠は単胎の場合より早産になりやすい。
- 貧血
- 多胎妊娠の場合、胎児が必要とする血液量が単胎より多いため、貧血になりやすい。
- 双胎間輸血症候群
- 1絨毛膜性双胎妊娠の場合(つまり一卵性の場合)、胎盤を共有することから生じる症状。
- 胎児不均衡発育
- 発育が不均衡であっても出産は同時であるため、出産時期の設定が難しくなる。
- 静脈血栓塞栓症
- 双胎妊娠の場合、妊娠生活に安静を要求されるため、単胎より発症しやすい。
- 子宮内胎児発育遅延(IUGR)
- 多胎妊娠特有の問題ではないが、多胎妊娠の場合は単胎時より大きな問題になる場合が多い。
- 妊娠高血圧症候群(かつての妊娠中毒症に対する現在の呼称)
- 同じく多胎妊娠特有の問題ではないが、単胎時より大きな問題になる場合が多い。
- 羊水の産生過多
- 同じく多胎妊娠特有の問題ではないが、単胎時より大きな問題になる場合が多い。
[編集] 双子研究
双子研究は、人類学・分子生物学の分野で非常に価値あるものであり続けている。一卵性双生児を医学的・遺伝子的・心理学的性格分類の諸側面から研究することで、環境的要因の影響を極力排除して遺伝要素による影響を抽出することが出来る。出生後のごく早い時期に双子の一方と離れ離れになり、異なる家庭で別々に育てられたような双子は、特に研究対象として熱心に求められている。
一卵性双生児は同一のDNAを持っているが、各々の人生を通して異なる環境的影響を受け、その影響は各種の遺伝的素質の発現に影響を及ぼす。これをエピジェネティクス(後成)変異と呼ぶ。3歳~74歳の双子80組を研究では、幼い双子ほど相対的に見ればほとんど後成的差がなく、一卵性双生児間の後成的差異の数は加齢と共に上昇している。50歳の双子は3歳の幼児の双子の三倍以上の後成的差異が発現していた。そして、離れて育った双子の後成的差異が最も巨大だった。
一般に遺伝子情報に左右されないものとして、ほくろ・あざの位置、静脈パターンなどがある。よって、一卵性双生児であっても、静脈認証・顔認証などの生体認証(バイオメトリクス)で個人認証は可能である。むしろ、一般にもっとも確実と言われるDNA認証では一卵性双生児の各々を個人認証することが出来ない。
[編集] その他
[編集] 双子サークル
双子の親が情報交換する場として各地に「双子サークル」が存在する。地方公共団体が子育て支援事業の一環として主催、あるいは補助している公的・準公的な性格のものが多いが、NPO・NGOによるもの、完全に私的なサークルとして活動しているものなど、多様な形態がある。
[編集] トリビア
- 1874年(明治7年)12月13日、「双子の場合は、先に産まれた方を兄・姉、後から生まれた方を弟・妹とする」という太政官布告が出された。その為、同12月13日を、「双子の日」とした。
- 後から生まれた方を兄(姉)とするという、かつての日本の因習は「兄(姉)ならば先に母の中に入ったので、後から出てくるはず」、「弟(妹)が兄(姉)を守るため、先に露払いとして出てくる」という考え方によるものである。
- 2002年4月には、沖縄県南風原町の南風原町立南風原中学校に2つの小学校(南風原小から5組、北丘小から4組)から男4組、女4組、男女1組の計9組の双生児が入学し、2005年3月に卒業したという前代未聞の出来事があった。
- 母子健康手帳は双子の場合、二冊が交付される。交付時の手帳のナンバリングは、続き番号の場合と同一番号で枝番がつけられる場合と、地方自治体によって差がある。どちらの場合も、手帳には第一子・第二子と記載され渡される。また、同時に交付される(手帳、もしくは同時交付される別冊に付属する)健康診断の申し込み票等は、母体に対して交付されるものであるため、二冊目から取り除かれてから交付される。
[編集] 著名な双子
[編集] 神話・伝承に登場する双子
- アポロンとアルテミス:ギリシャ神話の神々。双子。
- ディオスクロイ(カストルとポルックス):ギリシャ神話に登場する双子。ふたご座のアルファ星とベータ星。
- ロムルスとレムス:ローマ建国伝承に登場する双子。
[編集] 物語に登場する双子
※架空の物語に登場する双子の一覧については、双子の登場する作品の一覧を参照。本項では、双子が登場する作品のうち、(登場意義として)代表的なものを紹介するに留める。架空の物語では、大きく分けて三つの意図から双子を登場させることが多い(もちろん、複数の意図が被る場合もある)。
- 酷似した外見を持つ存在
- 双子(特に一卵性双生児)の酷似した外見をもって、一見して双子であると視聴者や読者に分からせ、双子の入替わりを正当化することが可能となる。これをトリックに活用することも多い(『刑事コロンボ』第17話など)。酷似した外見であっても性格の異なる人物として描かれる場合も多く、当人達の努力や意思、そして経験による後成的変異の影響を強調する物語展開となりやすい。マナカナが幼少時代を演じた『ふたりっ子』や、『聖闘士星矢』の黄金聖闘士サガ・カノンそして神闘士シド・バド、SF作品『宇宙大作戦(スタートレック)』に登場するミスター・スポックとその双子(但しパラレルワールド(?)の"mirror-Twins")、さらには児童文学の『ふたりのロッテ』におけるロッテとルイーゼが代表的な存在だろう。また、同じ外見をもった存在が並んでいると、それだけで視覚的な可愛らしさを演出できるため(さらに微妙な差異をもって別商品としてキャラクターグッズ等を展開できるメリットもあるため)、手軽な販売戦略としても利用されうる。ただ、『きかんしゃトーマス』の双子車両(ダグラスとドナルド、ビルとベン)のように、公式には双子のうち一方だけを販売するような場合もある。
- 精神的肉体的な分身
- 母親の胎内に同居し同時に出産されたという、非常に強い連帯感を相互に持った二人組という演出が可能となる。場合によっては、オカルトチックなテレパシー等を有する超能力者として登場する(『海の闇、月の影』、『きまぐれオレンジ☆ロード』、『ミラクル☆ガールズ』など)。この場合、登場する双子が強い精神的絆を持っていれば、二人の外見や学力、身体能力が似ていなくとも良い(『生徒諸君!』や成長後の『ふたりっ子』など)。また、一方が亡き後に夢や事跡を継ぐ『タッチ』のような形で描かれることも多い。さらには、双子のうちの一方だけが片思い的に連帯感を持っている場合もある(『ゲームの達人』など)。理論上では一応はあり得る話ではあるにせよ、双子の登場する作品の中には異性双生児であるにも関わらず一卵性として描かれるものもあるが(単純な作劇ミスの場合もあろうが)、これも絆や双子達の分身性を強調したい故だろう。
- 親子以上に濃い関係の血縁
- 双子の二人が何らかの差異(外見や立場など)があっても、同格の存在として描くことが出来る。なかには、双子達本人が気がついておらずとも、その濃密な血縁関係そのものが重要な場合もある。映画『ツインズ』でアーノルド・シュワルツェネッガーとダニー・デビートが演じた双子や『スター・ウォーズ』のルークとレイア姫は、外見上の酷似や精神的感応がなくとも、非常に濃い血縁関係であること自体が重要な要件である。また、絵本『ぐりとぐら』のぐりとぐら、『北斗の拳』のリンと天帝ルイには血縁上同格であるという以上の意味はないと思われる。
[編集] 現実の有名人の双子
※現実の双子有名人は双子の有名人の一覧を参照。本項では代表的な双子の紹介に留める。
- 酷似した外見
- 元女性デュオのザ・ピーナッツは、双子ゆえの可愛らしさを売りにした代表的なタレントだろう。女優のマナカナも酷似した外見を持つ双子として、双子(三つ子)役をしばしば演じている。お笑いタレントのザ・たっちも酷似した外見を「幽体離脱」等のネタとして利用している。また、元気な100歳の双子としてテレビCMに登場したきんさんぎんさんも、国民的な人気を博した。アメリカTVドラマフルハウスにおいては厳しい就労規則の都合から双子のオルセン姉妹(当時8ヶ月)を採用し、二人が交互に一役を演じた。
- 同様の境遇・環境
- 同じような生育環境や経験を持つことから、似たような能力と機会を得て、同様の職業で活躍する双子も珍しくない。評論家のおすぎとピーコや、マラソンの宗兄弟とスキーの荻原健司・荻原次晴の兄弟、そしてポーランドの政治家であるカチンスキ兄弟(兄ヤロスワフ・カチンスキ首相 、弟のレフ・カチンスキ大統領)などが代表例としてあげられる。
[編集] 参考文献
- Fraga MF, Ballestar E, Paz MF, Ropero S, Setien F, Ballestar ML, Heine-Suner D, Cigudosa JC, Urioste M, Benitez J, Boix-Chornet M, Sanchez-Aguilera A, Ling C, Carlsson E, Poulsen P, Vaag A, Stephan Z, Spector TD, Wu YZ, Plass C, Esteller M (2005). "Epigenetic differences arise during the lifetime of monozygotic twins". Proceedings of the National Academy of Sciences 102 (30): 10413–10414. PMID 16009939.(一卵性双生児にみられるエピジェネティクス上の相違点)
- Nieuwint A, Van Zalen-Sprock R, Hummel P, Pals G, Van Vugt J, Van Der Harten H, Heins Y, Madan K. (1999). "'Identical' twins with discordant karyotypes". Prenatal Diagnosis 19 (1): 72-6. PMID 10073913.(異なる核型をもつ一卵性双生児)
- Wenk RE, Houtz T, Brooks M, Chiafari FA (1992). "How frequent is heteropaternal superfecundation?". Acta geneticae medicae et gemellologiae 41 (1): 43-7. PMID 1488855.()
- Girela E, Lorente JA, Alvarez JC, Rodrigo MD, Lorent M, Villaneuva E (1997). "Indisputable double paternity in dizygous twins". Fertility and Sterility 67 (6): 1159-61. PMID 9176461.
[編集] 関連項目
- 多胎児(複数子供が産まれる事。当記事の双生児も多胎児の一つ)
- 単生児(一人で生まれてくる子供)
- 東京大学教育学部附属中等教育学校(双生児研究を行っており、入学試験に双生児枠がある)
- 兄弟有名人一覧
- 双子の有名人の一覧
- 双子の登場する作品の一覧
- 双子素数
- 双子の赤字