名鉄2000系電車
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2000系電車(2000けいでんしゃ)は、名古屋鉄道の特急形車両。
本項では、一般車を連結したタイプの2200系電車(2200けいでんしゃ)についても記述する。
名鉄2000系電車・名鉄2200系電車 | |
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名鉄2000系(右)・2200系(左)(中部国際空港駅) | |
起動加速度 | 2.3(2.5準備)km/h/s |
営業最高速度 | 120km/h |
設計最高速度 | 130(2000系)km/h 120(2200系)km/h |
減速度 | 3.5km/h/s(通常) 4.2km/h/s(非常) |
編成定員 | 181名(2000系) 特別車92名+一般車194名(2200系) |
全長 | 18,900(19,000)※3mm |
全幅 | 2,700mm |
全高 | 4,095mm |
編成重量 | 152.8t (2000系) 206.1t (2200系) |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 直流1,500V |
駆動装置 | |
編成出力 | 主電動機 170KW×8=1360kW(2000系) 170KW×12=2040kW(2200系) |
制御装置 | |
ブレーキ方式 | |
保安装置 | |
備考 |
目次 |
[編集] 概要
2005年2月17日に開港した中部国際空港連絡鉄道となる空港線の開業時に、快速特急と特急として使われる事を目的に開発された空港アクセス特急車両で、「ミュースカイ」の愛称がある。共に2005年(平成17年)1月29日ダイヤ改正で就役した。
就役前に名鉄が車両名を一般公募した結果、その応募の中から名鉄有料特急の愛称「ミュー」と、空港をイメージする「sky」を組み合わせた「ミュースカイ」がふさわしいと判断し、これを2000系の車両名に採用した。
最速で名鉄名古屋~中部国際空港間を2000系快速特急では28分、2200系特急では36分で結ぶ。
2000系・2200系共中部国際空港行きでは専用の車内チャイムが、名鉄名古屋方面行きでは1600系と同じ車内メロディがそれぞれ発車直後に流れる。
中部国際空港行き専用チャイムは、SUPER BELL"Zのベストアルバムに収録されている 「MOTOR MAN N∀GOYA 空港特急ミュースカイ」の中でシンセサイザーのアレンジであるが聞く事ができる。名鉄車両博物館の方では、フルバージョンで聴ける。
なお、2200系や2000系以外にも、パノラマsuper(1000系・1600系)などが空港特急として走っている。
[編集] 2000系
2005年(平成17年)1月29日に実施されたダイヤ改正から、名鉄岐阜~中部国際空港間と新鵜沼・新可児~中部国際空港間の快速特急としての営業運転を開始した。
空港アクセス特急としての位置付けから、中部国際空港の愛称であるCentrairのロゴが正面と側面にある。大きな荷物を持った旅客が利用し易い様、出入り口の幅を1,000mmと広く取り、また客室内に大型荷物置き場を設置している。座席はリクライニング連動座面ティルト機構を採用し、乗り心地の向上が図られている。シートピッチは1000系と同じ1,000mmだが、座席の足下に空間があるため、居住性が良くなっている。そしてこの座席は電動回転式となっており、折り返し時間の短縮も図られている。また後付けでチケットホルダーが取り付けられている。なお、全車両が特別席(愛称「μ(ミュー)特別車」)仕様の車両としてある。4両編成12本、計48両が在籍している。
名鉄の積年の課題であった曲線区間の高速走行のため、空気ばねを用いた「車体傾斜装置」を採用し、カーブの多い常滑線に於いて曲線通過速度を既存形式に比べて5~15km/h向上させている。
連結運転時には通り抜けが可能で、且つ連結分割に要する時間を短縮する技術として「半自動幌装置」を採用し、1600系で試行された技術が反映された。しかし、名鉄特急の伝統であった展望室は、連結時の貫通幌対応という条件を優先させたため、設置されなかった。その代わりとして運転席にライブカメラが設置されており、車内に設けられた液晶パネルに運転席から見える映像が流れる。また、この液晶パネルには、現在どこを走行中かを知らせる地図も表示される。
制御方式はIGBT素子を用いたVVVFインバータ制御(1C3M、インバータ1基でモーター3個を制御)である。動力車の数を減らした結果、空転が多発した1600系の反省を活かし、動力車を3両編成中2両としている。但しそのままでは性能過剰となるため、1両に搭載するモーターを3個とし、4軸のうち1軸はモーター非搭載のM1.5車としているが、モーター非搭載の軸にモーターを追設し、新たに付随車(T車)を増結する事で将来の4両編成化も見据えたものとしていた。この増結は早くも2006年度中には実現する事になった。実際には新造車の4軸のうち2軸にモーターを追設したM1車が増結されている。
営業が開始される以前、犬山線で試運転が行われていた時は、同線内では編成の向きが現在とは正反対の、モ2100形が豊橋・中部国際空港方、ク2000形が岐阜方という編成で行われていた。
[編集] 中部国際空港開港後の動き
中部国際空港が開港された後は、空港特急の利用者が多かった事から開港33日後の2005年3月22日にダイヤの一部改正を行い、3両編成を6両に増結するなどして対処したが、それでも朝の空港行きや夜の名古屋方面行きなどが軒並み満席の状態となったので、増結のために検査などに充当する予備車がない状態が続いた。特にゴールデンウィークには開業後初の大型連休、また愛・地球博の開催と重なり大変な混雑が予想されたため、2000系はすべて2本連結の6両編成とすると共に、1000系や1600系など他の車両を快速特急として運用するなどして対処した。そのため名鉄は5月23日に、1・2次車全編成の中間車10両(3→4両)と、3次車として4両編成2本(8両)の計18両の新製を2006年度に行うと発表した。このうち3次車は2006年4月17日から運用を開始し、また現有編成の増結は7月上旬までに終わった。このため3両での姿は1年半限り(1次車が2004年5月に車籍編入したため、正確には約2年)であった。ちなみに1次車が最初に4両化されており、過渡期には3両+4両の7両編成になることもあった。
4両化に伴って車椅子席以外の1人掛け席が荷物置場になった他、モ2050形のパンタグラフがモ2150形に移設されている。また3次車の窓配置は1・2次車と一部が異なっている(1・2次車でかつて1人掛けの席だった部分が新造時から荷物置場になっているため)。
2006年4月29日のダイヤ改正では増発や運転区間の延長が行われた一方、夕方にあった新可児行きが姿を消した。神宮前~犬山間は内海発の別列車となっている。
- 2005年10月3日
- (財)日本産業デザイン振興会の2005年度グッドデザイン賞を2000系が受賞した事が公表され、10月7日から31日まで全10編成(当時の在籍数)の車体に受賞記念ラッピングを施して運転された。
- 2006年1月29日
- 2006年6月16日
- ローレル賞を受賞。
- 2006年11月19日
セントレアの企画「2006セントレアあったかクリスマス」のイベントに合わせてラッピング電車「セントレアクリスマス」号(1編成 2012-2062-2160-2112)が、12月25日までの予定で運転されている。
[編集] 2200系
空港線の開業時に、特急として使われる事を目的に開発された。2000系とは、以下の点で異なる。
内装は、特別車は2000系と、一般車部分は3300系と共通の仕様になっている。
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- 特別車(愛称「μ(ミュー)」)仕様の車両2両と追加料金なしで乗車できる一般車4両とで編成してある。
- 「Centrair」のロゴが正面になく、マジックミラー式の窓が設置され、運転時の視界を確保し易くなっている。
- 中部国際空港方は電気連結器が省略されている。
- 2000系で採用された車体傾斜装置は装備されていない。
- 制御は2000系の1C3M×2群に対し1C2M×6群となっている。
- 2000系の号車表示はマグサインとなっているのに対し、2200系はマグサイン風のステッカーとなっている(特別車の号車表示が車体側面に大きく描かれている)。
- カラーリングは2000系の青+白から名鉄の伝統である赤+白となっている。
当初の岐阜方面からの空港アクセス計画では、アクセスは全車特別車の特急と、1600系に3500系通勤車を併結した一部特別車の急行を毎時1本を予定していたが、計画変更により一部特別車の急行は専用の編成による一部特別車の特急で運用される事になり、2200系が製造される事となった。
2005年2月17日の中部国際空港開港後は見物客などによる空港線の大混雑が続いているため、2200系に3100系と3150系を連結した8両編成での運用も行われていたが、2006年4月29日のダイヤ改正後、この運用は廃止された。
現在は名鉄岐阜~中部国際空港間と名鉄名古屋・金山~中部国際空港間の特急としての他、平日の朝には新鵜沼発豊川稲荷行きと豊川稲荷発名鉄名古屋行きの特急、常滑発須ヶ口行きの普通としても運行されている。原則として1200系と2200系は別運用だが、希に1000・1200系のトラブルや検査時などに代走として名鉄岐阜~豊橋間の特急・快速特急、佐屋発神宮前行の普通(須ヶ口から準急)の運用に就く事もある。逆に、2200系にトラブルが発生した場合も1200系を急遽、運用に投入する場合がある。
2006年9月29日の名鉄の発表によると、特別車のみの編成である1000系の置き換えのため、新たに5編成(30輌)を新造する予定。これは特別車のみで編成された特急を2000系(快速特急「ミュースカイ」)のみとし、他を全て一部特別車編成にする計画のためである。
[編集] 主要諸元
- 起動加速度:2.3km/h/s(2.5km/h/s準備)
- 減速度:3.5km/h/s(常用)4.2km/h/s(非常)
- 最高速度:120km/h(130km/h準備)
- 減速比:5.65
- 定員:特別席138名→181名*1(2000系)・
*1:2006年度以降4両化に伴って順次181名に増強された。
[編集] 編成
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←新鵜沼 名鉄岐阜 |
新可児→ 中部国際空港 |
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モ2100(Mc) | - | モ2150(M1) | - | モ2050(M) | - | ク2000(Tc) | ||||||
※モ2150は2006年4月から7月までにかけて増結(3次車は就役時より連結済)
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←名鉄岐阜 | 中部国際空港→ | |||||||||||
モ2300(Mc) | - | サ2350(T) | - | モ2450(M) | - | サ2400(T) | - | サ2250(T) | - | モ2200(Mc) |
※2200系は岐阜方4両が一般車、中部国際空港方2両が特別車
[編集] 運転区間
西可児駅─可児川駅─日本ライン今渡駅─新可児駅 | (三柿野駅─)新鵜沼駅─犬山遊園駅─犬山駅───┐ 江南駅 │ 岩倉駅 │ 名鉄岐阜駅━(笠松駅)━名鉄一宮駅━国府宮駅━名鉄名古屋駅━金山駅━神宮前駅 ┃ 中部国際空港駅