国際人権規約
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国際人権規約(こくさいじんけんきやく)とは、人権条約・規約の一つである。
世界人権宣言の内容を基礎として条約化したものであり、人権諸条約の中で最も基本的かつ包括的なもの。
内容は、“国際人権A規約”とも呼ばれる「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)」と、“国際人権B規約”とも呼ばれる「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」、それに「B規約の選択議定書」である「市民的政治的諸権利に関する選択議定書」から構成される。
世界人権宣言採択後18年間にわたって議論が重ねられ、1966年12月16日の第21回国連総会で採択された。1976年発効。
1989年には国連総会において「市民的政治的諸権利に関する第2選択議定書」も採択されている。
[編集] 規約の内容
A規約では、労働の権利、社会保障についての権利、教育についての権利などの社会権が保障され、これは世界人権宣言において規定されている“経済的・社会的・文化的権利”に相当する。
B規約では、身体の自由と安全、移動の自由、思想・信条の自由、差別の禁止、法の下の平等などの自由権が保障され、これは世界人権宣言において想定されている“市民的・政治的権利”にほぼ相当する。
選択議定書では、B規約に規定された権利の侵害があった場合に国連が個人の通報を受理し審議する手続きについて、また、第2選択議定書では、死刑廃止を目的とする選択議定書を締結した国の義務、国連に対する個人の通報等を定めている。
A規約は保障されている権利の内容から、規約を批准しても即時的な実施が義務づけられておらず、漸進的な実現が求められている。これに対しB規約は、締結国に対して即時実施が義務づけられている。この様な国際人権規約の履行を確保するため、締結国は国連に対し、規約実現の為に取った措置等に関する報告義務を負う。またB規約に関しては、任意的申し立て制度も採用されている。
日本は国内法との関係で、以下の通りの留保・宣言をしている。また、B規約選択議定書は両方とも批准していない。これは、特に第2選択議定書がB規約第6条に基づき死刑廃止を定めいるからである。
[編集] 文献
- 国連人権高等弁務官事務所 (OHCHR) 、国際法曹協会 (IBA) (共編著、翻訳: 平野裕二)『裁判官・検察官・弁護士のための国連人権マニュアル 司法運営における人権』現代人文社、2006年6月、ISBN 4877982981, [1], [2]
- 日本語版は、アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)が序編と解説編を編集・付加している。
- 原著: Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights in cooperation with the International Bar Association, Human Rights in the Administration of Justice: A Manual on Human Rights for Judges, Prosecutors and Lawyers,New York, United Nations,4 Mar 2005, ISBN 9211541417 or ISBN 9211541549
[編集] 外部リンク
国際人権規約(外務省「外交のページ」)