土用の丑の日
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
土用の丑の日(どようのうしのひ)は、土用の間で日の十二支が丑である日のこと。
夏の土用の丑の日は、暑い時期を乗り切る栄養をつける為に、鰻を食べる習慣がある。 土用入りの日が申から丑の間の場合は、丑の日が2回あることになる。この2回目の丑の日を二の丑という。 一般には土用の丑の日といえば夏を指すが、土用は春、夏、秋、冬の年4回あり、土用の丑の日は年に数回ある事になる。 近年、鰻の人口当たり消費量上位に位置する長野県岡谷市を中心として寒の土用の丑の日にも鰻を食べようというキャンペーンが展開されつつあり、全国に広まりつつある。
[編集] 2006年~2011年の夏の土用の丑の日
- 2006年 - 7月23日 8月4日
- 2007年 - 7月30日
- 2008年 - 7月24日 8月5日
- 2009年 - 7月19日 7月31日
- 2010年 - 7月26日
- 2011年 - 7月21日 8月2日
[編集] 鰻を食べる由来
鰻を食べる習慣についての由来には諸説あり、讃岐国出身の平賀源内が発案したという説が一般的であるが、万葉集には大伴家持が、夏痩せの友人に鰻を食べるように勧めている和歌が収められている。
江戸時代、商売がうまく行かない鰻屋が平賀源内の所に相談に行った。源内は、「丑の日に『う』の字が附く物を食べると夏負けしない」という民間伝承からヒントを得て、「本日丑の日」と書いて店先に貼ることを勧めた。すると、物知りとして有名な源内の言うことならということで、その鰻屋は大変繁盛した。その後、他の鰻屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着した。
この他に、土用に大量の蒲焼の注文を受けた鰻屋が、子の日、丑の日、寅の日の3日間で作って土甕に入れて保存しておいたところ、丑の日に作った物だけが悪くなっていなかったからという説もある。
ちなみに、土用の丑の日に食べるものは鰻でなく「う」の付くものでいいのだから、うどんでも、ごぼうでもいいのである。主に鰻を食べるのが主流なのは先ほどにも記述したように、ほとんど習慣に近いものになっているからである。
なお、最も脂が乗っている鰻の旬は冬である。土用の丑の日がある初夏あたりの鰻は脂がかなり落ちており、身も淡泊である。一説に、鰻屋が源内に相談を持ちかけたのは夏に売れない鰻を何とか売るためであったとも言われている。ただ、鰻にはビタミンB類が豊富に含まれているため、夏バテ、食欲減退防止には効果的であり、そういった面から鑑みると、夏の時期に鰻を食べるのは実に理に適った習慣であるともいえる。
[編集] 最近の動き
鰻の養殖業者らが中心となって、夏以外の土用の丑の日にも鰻を食べる習慣を普及させようという動きがある。