天罰エンジェルラビィ☆

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天罰エンジェルラビィ☆は、メディアファクトリーから発売されたOVA。

[編集] ストーリー

未来、人類は究極エネルギーと思われた魔法の力を手に入れた。月面に魔法都市ソーサリアムを建造し、生活・産業の隅々まで魔法技術は浸透し人類を繁栄の極致にいたらせた。だが、立場の違いから利権が衝突し、やがて人類史上最悪の「大魔法戦争」が勃発、その結果地上の文明は壊滅した。

それから数千年が経ち地上人類は再び新たな文明を築き始めたが大魔法戦争の傷跡は深く、地上には放棄された数々の魔法兵器が暴走したまま存在し地上人類の生活を脅かしていた。

生き残ったソーサリアムの人類は、女性だけが住む軌道コロニー衛星「エンジェルチェンバー」より地上人類の脅威となるそれら旧世紀の遺物を排除し「地上人類の歴史を正しい方向へと導くため」、サロゲイターというエージェントを派遣するようになった。サロゲイターとは高い戦闘能力と魔法能力をもつ７人の少女からなる。

新人サロゲイターのラスティ・ファースンはその派遣される初日、遅刻し集合時間に遅れるなど一見落ちこぼれのような少女であった。そして地上に派遣されるが、バイク型移動機フェザーの故障から地上のある町付近に墜落してしまう。その町の人間は「アテルイ」なる宗教を信仰しそれを拒否したラスティは、悪魔扱いされて町より追い出され、空腹で倒れそうになってしまう。そこを少年ルカに助けられるが、「アテルイ」の手により出現した旧世紀の魔法兵器群によりピンチに立たされる。だがそのとき、エンジェルチェンバーよりラスティの中に秘められた力を解放され「エンジェルラビィ」へと変身。開放された能力は物凄く、旧世紀の魔法兵器を撃破し「アテルイ」のエージェントたちを撃退するのであった・・・。

[編集] その少なからぬ問題点

以上があらすじである。だが、この作品には製作時点から問題が多かった。まず原作である「まじかるトワラーエンジェルラビィ」からあまりにもかけ離れた代物になってしまったこと。原作の牧歌的でお気楽な雰囲気は消えてしまい、ディストピア的な物語と化してしまった。「地上人類の歴史を正しい方向へと導くため」とあるがその実際の内容は要するに自分たちの都合の悪い事は芽を出る前に潰してしまうということ以外の何物でもなく、これはただの思い上がりの増長満のなにものでもない。そのやり方はいわばジョージ・オーウェルの「１９８４」の支配者側を髣髴とさせる。

主人公であるラスティは原作では言葉をしゃべれないが歌を歌える健気で優しい少女であったものが、ただのマヌケなお馬鹿キャラへと化してしまった。原作を踏みにじるようなこの行為は作品全体にあらわれており、キャラクターデザインは原案である成瀬ちさと氏による原作ゲームの美しいキャラクターたちはものの無残にアニメーションキャラクターデザイン担当鈴木典孝の自分勝手なやり方によって似ても似つかないものに改悪されてしまった。

製作段階でも問題は多くＯＶＡにするかＴＶシリーズにするか決めていなかった、スタッフ間の認識の齟齬、監督石平信司のアニメーター等作画陣へのぞんざいなあつかいなど通常の製作過程ではありえない、あってはならないことが頻発していたともいわれる。

「スタッフの暴走」等の問題が一気に噴出した悪い例としてこの点は記憶すべきであろう。続編も予定されていたが２００６年現在でも初回限定版が店頭に大量に売れ残っている現状に象徴されるように売れ行きは悪く、製作される事は無かった。

後日談として脚本家山田光洋が書いた同名の小説「天罰エンジェルラビィ☆　ソーサリアムの秘密」が発売されているが、内容はほめられるものではない。