奥右筆
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奥右筆(おくゆうひつ)とは、江戸幕府の役職のひとつで、若年寄の支配下にあった。奥御祐筆(おくごゆうひつ)とも言われる。江戸城本丸の御用部屋に詰めることが多かった。
奥右筆とは、江戸幕府の機密文書の管理・作成などを主に取り扱う役職で、江戸幕府の数多い役職の中では特に重要な役職であった。奥右筆は権威も高く、大老や老中などの幕閣が出席する会議でも意見を述べることができる権利を持っており、一説では老中よりもはるかに強い権力を持っていたとも言われている。
というのは、諸大名が将軍をはじめとする幕府の各所に書状を差し出すときには、必ず事前に奥右筆によってその内容が確認されることが常となっていた。つまり、奥右筆の手かげん次第で、その書状が将軍などに行き届くかどうかが決められるほどの役職だったのである。このため、諸大名は奥右筆の存在を恐れたとも言われる。
また、このような経緯から、奥右筆の交際は広く、一説では裏で大奥の権力までをも牛耳っていたともされていることがある。