孫悟飯
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孫悟飯(そん ごはん)は、漫画・アニメ「ドラゴンボール」シリーズに登場するキャラクター。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
同姓同名の人物が2人登場し、それぞれ孫悟空の育ての親、及び悟空の長男という位置づけである。
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[編集] 孫悟飯 (孫悟空の育ての親)
原作では本人の初登場は第105話「五人目の男」、アニメ版における初登場は第54話「なぞの五人目の男」。
[編集] 概要
悟空に「じっちゃん」と呼ばれ慕われた育ての親。
亀仙人のかつての一番弟子で、牛魔王は弟弟子にあたる。亀仙人の影響か、ややスケベな面もあるようである。師である亀仙人とも戦ったことがあり、善戦したようだが、亀仙人の必技萬国驚天掌に耐え切れず敗れる。しかし、後の悟空との対戦をみる限り、実力的には亀仙人以上とも思える描写があるため、あの世でも修行していると捉える意見もある。
悟飯の死後、悟空は悟飯が昔拾ってきた四星球を形見としている。
アニメでは、死後は八卦炉を管理する太上老君ことアンニンの守衛に勤めている。アンニンからはちゃん付けで呼ばれるなど、かなり気に入られている様子。また、そこで結婚直後の悟空たちとも会い、感慨深い表情を見せていた。
[編集] 略歴
エイジ658 - 生誕
エイジ737頃 - 人里離れた山中に住み、山の中で拾った悟空を育てるとともに、武術の基礎を教えた。
後に、大猿と化した悟空に踏み潰されて死んでしまう。生前、悟空に満月を見ないように諭していたことから、殺されることとなる時以外にも少なくとも一度、大猿化した悟空を見ているようである。悟空が自分が悟飯を殺したという事実に気付いたのはサイヤ人編になってからであった。
エイジ750 - 占いババによってこの世に戻り、狐の仮面を被って悟空と戦う。戦いが終わった後に正体を明かして再会し、あの世に帰っていった。自分の父だけが生き返ることに気を遣うウパに対しては、「あの世も気に入っている」と発言していた。
[編集] 必殺技
- かめはめ波
- 亀仙流の代名詞であるお馴染みの技。悟空との戦いで使用。
- ジャン拳(じゃんけん)
- グーで嘗手、チョキで目潰し、パーで張り手の連続攻撃を食らわせる技。作中で使用するシーンはないが、伝授されて得意技としていた悟空が「じいちゃんだけの技」と言うシーンがある。
- 酔拳(すいけん)
- 酔ったような動きで相手に攻撃を与える技。これも本人が使用するシーンは無いが、悟空が「じいちゃんが得意だった」というシーンがある。
[編集] 孫悟飯 (孫悟空の長男)
声優:野沢雅子
原作での初登場は第196話「カカロット」、アニメでの初登場は『ドラゴンボールZ』第1話「ミニ悟空はおぼっちゃま! ボク悟飯です」。
[編集] 概要
青年の悟空が初めて出場した天下一武道会の終了直後に生まれた。小さい頃は甘やかされ、これからの平和な時代に武術は必要ない、と判断した母親のチチによって、学者になるべく山奥の家で一人勉強を強いられていたため、大人しく根性なしであった(ただしチチ自身はアニメ版においては主婦業の傍ら密かに武術の基礎鍛錬を続けていた)。悟飯という名前は、先に述べた悟空の育ての親の名前から、悟空がつけたもの。
幼少期はチチの教育方針から、悟空から武術の手ほどきを受けたことはない。ピッコロを師匠としており、戦闘スタイルもピッコロ寄りである。また、ピッコロのことはさん付けでよび、ピッコロの服を真似して作る(一度ピッコロ本人からもらったこともある)など、非常に慕っている。ゲームではピッコロと同じ技が使えることも多い。後に人造人間編までの3年間と精神と時の部屋での修行で悟空の手ほどきを受ける事になった。
後期の主要キャラクターの1人であり、セル編以降一時的に主役的な扱いを受けていたものの、オレンジスターハイスクール編でギャグ路線に戻した作風が再び戦闘漫画化したこと、悟空の人気の高さ等から、作品上では最強でありながら悟空に主役の座を返上してしまうことになる。
単独での純粋な戦闘力と潜在能力は、悟空などを圧倒している作中最強キャラだが、父の悟空を宇宙一の戦士と称している。
[編集] 軌跡
[編集] 幼年~少年時代
- エイジ757 5月 - 誕生。
- エイジ761 - 4歳。父である孫悟空を懐柔するため地球に来襲したサイヤ人ラディッツにより人質として捕らわれる。悟飯を奪還するために、ピッコロと共同戦線を張った悟空だが、ラディッツの力はこの時点で地球最強であるはずの悟空とピッコロをもはるかにしのぐものであったため、苦戦を余儀なくされる。悟空が絶体絶命の危機に陥った瞬間、悟飯は悟空以上の強さを見せ、ラディッツを一瞬圧倒する。
- ラディッツとの戦いの後、一年後にやってくるというラディッツ以上の脅威に対抗するため、悟飯に秘めた力を感じそれに賭けたピッコロによって連れ去られ、半年間一人で生き抜け、と、見知らぬ未開の荒野に置き去りにされてしまう。
- 当初は、ピッコロが影ながら助力するほどだったが、半年後には恐竜の尻尾を叩き切ってバーベキューにしてしまうほどのたくましさを身につけていた。機は熟したと判断したピッコロによって、悟飯は実践的な修行を受けるようになる。
- 同時に、ピッコロの中にピッコロ本人も気付いていない優しさがあることを知覚した悟飯は、ピッコロに対して尊敬と親愛の情を持つようになり、以後ピッコロを「ピッコロさん」(アニメ「ドラゴンボールZ」では一時期「ピッコロおじさん」)と呼んだ。そしてこのことはピッコロ当人にも変化をもたらすことになる。
- エイジ762 - サイヤ人、ベジータとナッパが襲来。ピッコロの目論みは外れ、仲間を次々と殺されていく中、悟飯は何も出来ずに立ちすくむばかりであった。ナッパに殺されかけた際、身を呈して庇ったピッコロに助けられるが、ピッコロは死亡。その死に激怒した悟飯は単身ナッパに戦いを挑むが敵わず、悟空が駆けつけ九死に一生を得る。ピッコロの死を経験したためか、以後、悟飯は戦いに怯える事はなくなった。
- ピッコロら、サイヤ人との戦いで死んだ仲間を生き返らせるために、クリリン、ブルマとともにナメック星に向かうが、フリーザの一味やべジータとの邂逅により、ドラゴンボール集めどころではなくなる。この間、ナメック星人でデンデと友情を結び、最長老には潜在能力を引き出され大幅な戦闘力のアップを遂げる。
- その後、ギニュー特戦隊の接近を察知し焦ったべジータと一時的な共闘関係を結び、グルドとリクーム、悟空の体を奪ったギニューと戦う。隙を見て7つのドラゴンボール全てを奪い、ポルンガ(ナメック星の神龍)を呼び出すことに成功、ピッコロを甦らせることに成功する。
- しかし、ドラゴンボールにより不老不死となるという望みを断たれ、激怒したフリーザと戦うことになる。悟飯自身に際立った活躍はなかったが、悟空らの死闘によりなんとか生き延び、地球に戻ることに成功する。この時、超サイヤ人となった悟空の姿を仲間の中で一番最初に目にしている。
- エイジ766 - 人造人間たちとの戦いに臨む。セルを倒す為に精神と時の部屋で悟空とともに修行。その中で超サイヤ人化が可能となり、また完全体セルとの戦いの中では超サイヤ人2にも変化した。
- しかし、この時悟飯が調子に乗って中々セルにトドメを刺さなかったため(いつもの温厚な悟飯とは思えない行動に悟空やピッコロも戸惑っていた)に、セルの自爆から地球を守るために悟空が命を落すことになる。その後、復活したセルをあの世の悟空の助力もあって完全に撃破。これ以後、暫くは悟飯が一時的に主人公となる。
[編集] 青年時代
- エイジ773 - 17歳。サタンシティにあるオレンジスターハイスクールに通い、ミスター・サタンの娘であるビーデルらの同級生として、生まれて初めての学生生活を営む。本人は至って普通の学生生活を送ろうと務めたが、所々で無意識に地球最強の力を発揮してしまい、不審に思ったビーデルにマークされるようになる。また、サタンシティで暴漢を見かけた際、正体がばれぬようにと超サイヤ人化した状態で事件を解決、その姿から「金色の戦士」と噂されるようになった。
- 髪の色が変わっただけではばれるのは時間の問題と考え、ブルマに頼み変身グッズを製作して貰い、以後は正義のヒーロー「グレートサイヤマン」として悪事を解決。しかし、しつこく付きまとっていたビーデルに正体がばれ、弟の悟天と共に稽古をつける事となった。
- その後開催された第25回天下一武道会に、「グレートサイヤマン」として出場し予選を通過。しかし、決勝第1戦直前に変装が不十分なものになっていたため、観戦していたクラスメイトにばれてしまう。同時に魔導師バビディと魔人ブウの事件に巻き込まれることとなる。
- セルとの戦い以後修行をしていなかったこともあって、バビディの配下であるダーブラに苦戦。復活した魔人ブウとの戦いにも敗れ去ってしまった。瀕死となっていたところを界王神に救われ、Zソードを抜いて15代前の界王神をよみがえらせる。その後、潜在能力を引き出して貰い、再び作品中、最強の力を得る。作中では、通常段階でも高い能力を示していたこと、老界王神より「肉体に負担が掛かるから」「スーパーサイヤ人は邪道」と言われたことから、この状態で超サイヤ人化するシーンは無い。
- 再びブウと対峙し圧倒するが、ゴテンクスを吸収したブウに追い詰められ、さらにブウに吸収されてしまう。一旦は体内から救い出されるが、地球の消滅と共に死亡。その後はドラゴンボールによって生き返り、悟空の元気玉に協力した。
- エイジ780 - 結婚したビーデルとの間に娘のパンを授かる。
[編集] 補足
原作(ブウ編)終了時点までに現れた登場人物の中で、ポタラによる合体やフュージョンを伴わない、単独の存在としては、界王神によって力を引き出してもらった悟飯がドラゴンボールの作品史上で最強の存在と言われる(ジョークとして度々そう表現されたチチを除いて)。ただ、アニメ版では魔人ブウ(純粋)が現れた際に悟空が「今までで最高の気」と発言し、更に悟空はブウと互角の勝負をしているために矛盾が生じ、更には劇場でも?な場面があったので、常に原作派(アニメ批判派)とアニメ派(アニメ受け入れ派)の討論を呼んでいる。
幼少時から既に瞬間的に強大な力を発揮するなど、能力の片鱗をみせており、ピッコロやべジータですら苦戦した相手を悟飯が倒すことも数度あった(悟空の一時的な助力もあるが)。後期の作品では平常時での姿でいることが多く、他のキャラとは若干扱いが違う。サイヤ人と地球人との間に子どもが生まれると、強力な雑種が出来るとベジータが捉えたシーンもある。
悟空を担当していた野沢は息子である悟飯も演じる事を「Z」1話のアフレコをするまで知らされていなかったと言う。その為、悟空の子供が登場すると聞いた時に野沢は、誰が担当するのだろう?と真面目に思ったという。
アニメでは赤子時代を回想したシーンの中で、チチが過去の偉人の名前を羅列したような名前に命名しようとした際に、激しく泣いて抗議をする描写があった。このため、アニメ版に限っては実質自分自身が名づけ主と言える状態である。
顔は父悟空と瓜二つだが、サイヤ人の特性で髪型が一貫している父とは違い、幾度となく髪型が変わっている。
サイヤ人と地球人のハーフで尻尾が生えているのは悟飯だけである。
海外の翻訳版では、セル編で、悟空の「おまえの番だぞ、悟飯!」というセリフにミスター・サタンらが食事の「ご飯」と勘違いする場面では必ず注釈付きである。
[編集] パラレルワールドの孫悟飯
未来から来たトランクスがいた世界では、悟空のように強くなりたいとの思いから、同じ武道着をまとっており、左胸と背中のマークは「飯」となっている。
[編集] 軌跡
- エイジ764 - 新種の心臓病に侵された父・孫悟空を失う。
- エイジ766 - 人造人間17号、18号によってピッコロら仲間を全員殺され(このことを思い出していた際、超サイヤ人に覚醒したと発言)、ただ一人生き残る。
- エイジ779 - 人造人間との戦いで、左腕を失う。この際、最後の仙豆を重傷を負ったトランクスに使ってしまったため、永久に不具となる。
- エイジ780 - 人造人間との戦いで死亡。
[編集] 劇場版での孫悟飯
「ドラゴンボールZ 銀河ギリギリ!!ぶっちぎりの凄い奴」ではベジータやトランクス、ピッコロらが太刀打ちできなかったボージャック一味を実質一人で倒す。
「ドラゴンボールZ 危険なふたり!超戦士はねむれない」では7年前に死んだ父・悟空に代わり伝説のスーパーサイヤ人ブロリーと闘う。
「ドラゴンボールZ 龍拳爆発!悟空がやらねば誰がやる!」では界王神星で目覚めさせた潜在能力の設定がそのまま継続。超サイヤ人になることなく、下半身のヒルデガーンを圧倒する(ただし、完全体にはかなわなかった)。
[編集] 必殺技
- 魔閃光(ませんこう)
- 悟飯の代名詞とも言える幼少期の必殺技。両手を額に翳し、掌から気を放出する。名前などから、ピッコロから教わったとの意見が多い(実際、劇場版ではピッコロも使用している)。かめはめ波より出すのは容易だが、体力の消耗が激しい。FC「サイヤ人絶滅計画」には、強化版「激烈魔閃光」も登場。
- 原作ではこの技を使ったと明確に分かるシーンは1度しかなく、構えから推測できるシーンを加えても殆どない。加えて少年期以降は、使用される事は全く無くなった。
- かめはめ波
- 元々は亀仙人が開発した技。精神と時の部屋で、悟空から習ったと考える意見もある。セルゲームでは、セルと壮絶な撃ち合いを見せる。
- 舞空術(ぶくうじゅつ)
- 全身の気をコントロールしながら放出することによって、空中を飛行する技。元々は鶴仙人流独自の技だったが、その後殆どの戦士が体得している。
- シールド
- アニメオリジナル。ガーリックJr.のブラックホールを防御するために使った。またとどめにも使用。ベジットが使用したバリヤーとはまた異種のものである。
[編集] ドラゴンボールGTでの登場
究極のドラゴンボールで悟空が小さくなり、共に宇宙に行く事を決意するが、パンが密航し宇宙船を勝手に発射させたが為に地球に残留。その九ヵ月後悟天に寄生したベビーに体を乗っ取られ、ピッコロや帰ってきた悟空を攻撃。洗脳がとけ、地球崩壊時にはテレパシーでピッコロと最後の別れをした。スーパー17号編では復活したリルドに全く敵わず闘いで引退するような発言もした。
その後は自分達は悟空のサイヤパワーを補給する役と割り切っていた。なぜか超サイヤ人で戦っており、原作の「超サイヤ人になる必要が無い」という設定を無視された(そこがある意味最大の矛盾点でもあり、ファンの顰蹙を買う要因でもある)。悟空とべジータがブウ戦以降も総合的にレベルアップを果たしたのに比べ、トランクスや悟天同様修行不足のためか大した見せ場もなく、脇役的な立場に留まった。