巡査
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巡査(じゅんさ、英Police Officer、旧称Patrolman)は、警察官の階級の一つ。日本の警察組織の中では最下級となる。元は羅卒(“巡邏の兵卒”の略)と言った。明治の頃、patrolに対する適切な日本語が存在せず、「巡邏査察」を当て嵌めその省略形としたのが呼称の起こり。
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[編集] 概要
日本における巡査の階級は、警察法第62条に規定され、上位の階級には警視総監、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長などがある。なお、巡査部長との間には名誉階級として巡査長などが存在する。巡査としてよく知られているのが、いわゆる交番にいるお巡りさんである。ほかにも巡査は、警察署に配置され署員として捜査や事務を行う。通常、都道府県の警察官採用試験で採用された者は、採用日をもって巡査に任じられる(語学・情報処理・経理簿記など専門職務の経験者等から採用され巡査部長や警部補が初任となる「特別捜査官」(採用区分名は都道府県警察により異なる)の一部を除く)。この時点で警察官としての身分を得るが、研修中なので現場での活動を行うことはほとんどない(例外として、大規模な警備事案の際に後方支援(雑用)のために出動した事例もある。日本航空123便墜落事故や、あさま山荘事件など。)。
[編集] 昇進
巡査の職から上位職(巡査部長)に昇任する際は、通常は、年に一度の昇任試験を受ける。 署長などの所属長の推薦による選抜、選考試験や、多大な功労による特別昇任等もあるが、このような方法によって昇任することは一般に非常に難しいとされている。
[編集] 補足
- 司法警察職員 司法警察職員とは、司法巡査と司法警察員に分けられる(刑事訴訟法第39条)
- 司法警察員 原則として巡査部長より上の階級の警察官(例外は後述)。
- 司法巡査 巡査の階級にある警察官。司法警察員に比べると、告訴・告発の受理、還付に関すること等さまざまな権限の制約を受ける。
- 例外 上記のように、司法巡査には権限に制約があるが、離島等の駐在所員や専務課に所属する捜査員等、巡査でも司法警察員としての権限が必要な場合に、司法警察員の権限を持たせた巡査。「刑事訴訟法第百八十九条第一項および第百九十九条第二項の規定に基づく司法警察員等の指定に関する規則(昭和29年7月1日国家公安委員会規則第5号)」またはこれに準じて制定されている都道府県公安委員会規則により、警察庁長官、管区警察局長、警視総監、道府県警察本部長から司法警察員に指定される。
旧警察制度においては企業などが給料を支払う請願巡査という制度が存在した。
[編集] 逸話
警察官には、茨城県出身者が多いといわれ、茨城巡査という言葉も存在する。現代では、茨城以外では「茨城県民は商売気がないので警察官に向いている」という意味に使われることが多いが、茨城県内では誤用とされる。
警察創設時しばらくしてから警察内部で「鹿児島警視に茨城巡査」という言葉が生じたことがあり、この言葉から誤って転用したものと思われる。鹿児島警視に茨城巡査とは、当初警察官に任用される者はほとんど官軍関係者だった。 茨城県内での言い伝えでは、官軍の中でも力関係があり、鹿児島出身者は警察幹部になれる者、茨城出身者は巡査にとどまる者と差別があったと信じられている。つまり鹿児島出身は出世するが茨城出身の者は巡査のままの者が多いという意味を有している。
[編集] 関連項目
日本の警察官の階級・序列 - | ||||||||||
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階級外 | 第1位 | 第2位 | 第3位 | 第4位 | 第5位 | 第6位 | 第7位 | 第8位 | - | 第9位 |
警察庁長官 | 警視総監 | 警視監 | 警視長 | 警視正 | 警視 | 警部 | 警部補 | 巡査部長 | (巡査長) | 巡査 |