成人スティル病
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成人スティル病(Adult Still's disease; ASD、または成人発症型スティル病 Adult Onset Still's Disease; AOSD、成人スチル病とも)はもともと小児に起こる原因不明の炎症性疾患であるスティル病(全身型若年性関節リウマチ)が成人に発症したものである。とはいえその病像は小児のスティル病とはやや異なっている。不明熱の重要な原因の一つである。
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[編集] 概念
原因不明に弛張熱、関節炎、前胸部のサーモンピンク疹、肝脾腫、リンパ節腫脹を来たす全身性の炎症性疾患である。
[編集] 病因
不明である。
[編集] 症状
- 発熱
- 一般に膠原病では発熱がおこるものだが、本症における発熱は特徴的で、数時間の経過で39℃を軽く超えるスパイク熱をきたす。スパイクの間には、解熱していることもあれば微熱が持続している事もある。そういった発熱状態が1週間以上続く。
- 関節炎
- 単関節炎から多発関節炎まで見られ、関節リウマチと似た滑膜炎でびらん性である。
- 皮疹
- きわめて特徴的とされる前胸部のサーモンピンク色の皮疹が重要で、これは発熱と一致して増悪、改善する。
- 咽頭痛
- 小児のスティル病と異なる特徴的な所見であり、そのうえ成人スティル病ではほぼ必発である。
- リンパ節腫脹
- 全身性のリンパ節腫脹が高い頻度で見られる。
- 肝障害
- 肝酵素の上昇がみられ、病勢と一致して増悪・改善する。
- 脾腫
- 脾腫はよくみられ、リンパ節腫脹と同じ病因によると考えられている。
- 筋肉痛
- 心膜炎
[編集] 検査
白血球上昇、CRP上昇、フェリチン上昇がみられる。特にフェリチンの著増は特徴的ではあるが、診断的とまでは言えない。
むしろ、慢性の炎症性疾患で関節炎を伴いながら抗核抗体、リウマチ因子などの自己抗体が陰性であるということが、本症を支持する所見となる。
血算において汎血球減少が見られた場合、本症に血球貪食症候群の合併の可能性が考えられ、緊急の診断と治療計画の検討が必要となる。
[編集] 診断
上記のような特徴的な所見があることと、その他の疾患に診断されないということが重要である。すなわち本症は除外診断によって診断される疾患である。 以下の疾患の除外が必要となる。
- 感染症
- 悪性腫瘍
- 成人スティル病研究班は悪性リンパ腫を挙げている。
- 膠原病
- 成人スティル病研究班は結節性多発動脈炎と悪性関節リウマチを挙げているが、このほか全身性エリテマトーデスも鑑別に挙がるものと思われる。
これらの疾患の除外は、特定疾患の認定を受ける際にも必要である。
[編集] 治療
疾患の経過はやや予測不能であるが、軽度の病態であれば自然寛解はありうる。従って最初は、著明な発熱(患者はひどい不快感をおぼえる)に対する対症療法としてのNSAIDである。しかしそれでおさまらないようなら、ステロイドや免疫抑制剤を使用せざるを得ないことになる。