放送持株会社
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放送持株会社(ほうそうもちかぶがいしゃ)は、持株会社の一形態で、放送免許を持つ放送局を傘下に持つ純粋持株会社である。
これまで放送局においては、同一企業による複数の放送局の支配を防ぐため、総務省が「マスメディア集中排除原則」を定めている。しかし、地上デジタル放送の開始に伴い、多額な設備投資が迫られており、特に地方局では資金調達に苦しんでいる状態である。こうした経営基盤強化のために、集中排除原則を緩和し、放送事業者にも資金調達能力の高い持株会社制度を認めるというものである。
具体的には純粋持株会社の下に傘下となる放送局がぶら下がる形となり、キー局及び同一ネットワーク系列局が傘下企業となる見通しである。
また、放送局という公共的にも影響を持つメディア企業であり、特定の株主からの影響をできる限り排除し、言論の多様性を確保するために、株主の株式保有比率を20%未満に制限することが検討されている。これにより、単独の企業や投資家により経営支配や言論の制限を排除できるのみならず、放送局の外部からの買収をも阻止できることになる。
総務省では2007年度に放送持株会社を解禁する方針で、2007年の通常国会で放送法の改正を目指すことにしている。同法改正後は各民放キー局が持株会社制導入に動くと見られており、すでに2006年8月の時点で東京放送(TBS)が持株会社制への2007年秋での移行を検討していると報じられている。これは、すでにTBSがTBSテレビ(テレビ制作部門)・TBSラジオ&コミュニケーションズ(ラジオ放送部門)を分社化している事から容易に持株会社制へと移行できる、また系列地方局を傘下にする事で地方局のデジタル化負担を軽減するとともに、系列局との連携の緊密化や効率的なグループ経営を可能にできるという考えがあるからと見られている。また、持株会社になれば株式保有比率の制限も適用されるため、現在TBSの発行済株式19%を保有する楽天に対しても、追加の株保有を阻止する事が可能となり、強力な牽制が可能となることも要因と見られている。