日商簿記検定
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日商簿記検定(にっしょうぼきけんてい)とは、商工会議所法(昭和28年法律第143号)第9条第9号の規定に基づき日本商工会議所及び各地商工会議所が実施する検定試験(商工会議所検定試験)のうち、簿記に関する技能を検定するものを指す。正式名称は商工会議所簿記検定試験(しょうこうかいぎしょぼきけんていしけん)という。
簿記会計の検定試験としては歴史・伝統及び主催団体の信用度からも最も有名かつ信頼のある試験である。
目次 |
[編集] 各級の基準
- 1級
- 税理士・公認会計士などの国家試験の登竜門。大学程度の商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得している。財務諸表規則・企業会計に関する法規を理解し、経営管理や経営分析ができる。
- 2級
- 商企業及び工企業における経理担当者及び経理事務員として必要な高校程度の商業簿記及び工業簿記に関する知識を有し、かつ高度な実務処理ができる。
- 3級
- 個人企業における経理担当者又は経理補助者として必要な商業簿記に関する知識を有しており、かつ簡易な実務処理ができる。
- 4級
- 商業簿記の基礎的知識を有しており、かつ初歩的な実務処理ができる。
[編集] 受験料
いずれも税込み。
- 1級 - 7,140円
- 2級 - 4,080円
- 3級 - 2,040円
- 4級 - 1,530円
[編集] 試験の実施
試験は全国統一日程で年に3回(6月、11月、2月)実施される。ただし、2月は2級以下のみの実施である。また、下記のとおり4級の試験を実施しない商工会議所がある。申込みは各地商工会議所で受け付けるが、その日程は統一されていないので注意が必要である。
全国商工会連合会は、商工会議所とは別に3級のみの検定試験を実施する。
[編集] 4級試験を実施しない県庁所在地の会議所
県庁所在地(政令指定も含む)にある商工会議所で4級を実施しない会議所
- 東京(23区)
- 横浜
- 神戸
- 北九州
- さいたま
- 岐阜
- 金沢
- 和歌山
- 高松
[編集] 出題範囲
- 準拠する法令及び会計基準は、毎年度4月1日現在施行のものとする(平成18年度の第113回(6月実施)以降)。
- 第112回までは、毎年1月1日現在施行のものとされていた。
- 各級の出題範囲は、日本商工会議所の定める商工会議所簿記検定試験出題区分表及び簿記検定試験許容勘定科目表に従う。
[編集] 試験科目及び合否
級 | 試験科目 | 試験時間 | 合格基準 |
1 | 商業簿記・会計学 | 90分 | 70点以上 |
工業簿記・原価計算 | 90分 | ||
2 | 商業簿記・工業簿記 | 120分 | |
3 | 商業簿記 | ||
4 | 90分 |
- 1級については、総得点に加え1科目ごと(各25点満点)に40%(10点)以上の得点を要する。
- 1級、2級とも科目合格制度はない。
- 自分の得点は受験した商工会議所に問い合わせることで分かる。
[編集] 参考
- 1級合格者は、税理士試験の受験資格が得られる。各級の基準にあるとおり、1級合格は公認会計士試験及び税理士試験のキャリアパスとして位置付けられている。
- 1級は、毎回合格率が10%前後でほぼ一定であることから、実質的に競争試験と推定される。
- 2級合格者は、日本パソコンソフトウェア協会主催のパソコン財務会計主任者2級試験が免除され、1級試験を受験することができる。
- 建設業簿記については、建設業経理事務士検定試験(財団法人建設業振興基金主催)が実施されており、おおむね級が対応する。
- 中小企業診断士試験の科目のうち「財務・会計」については、おおむね2級の範囲(経営分析、投資の評価、連結会計、税効果会計等は1級の範囲であるが、おおむね基礎的な出題)となっている。また、情報処理技術者試験(特にシステム監査技術者、システムアナリスト、プロジェクトマネージャ、アプリケーションエンジニア、初級システムアドミニストレータ、情報セキュリティアドミニストレータ及び上級システムアドミニストレータの各試験)のうち午前試験の「情報化と経営」の分野、FP技能検定試験等の受験に当たっても、2級ないし3級の知識を持っていることが望ましい。
- 一般的に、簿記検定といえば、この「日商簿記検定」を指すが、ほかに経理専門学校生を対象とした全経簿記検定や、商業高校生を対象とした全商簿記検定も実施されている。
[編集] 日商・全経・全商検定の難易度の対応
- 全経簿記検定との対比
- 商簿・会計:全経4級=日商4級<全経3級<日商3級<全経2級<日商2級<全経1級<日商1級=全経上級
- 工簿・原計:全経1級<日商2級<日商1級=全経上級
- 全商簿記検定との対比
- 日商4級<全商3級<日商3級<全商2級<全商1級<日商2級
- なお、全経や全商では基礎的な問題が出題されるのに対し、日商では応用的(やや複雑)な問題が出題される。
[編集] 進路
会計事務所への就職は、2級以上が望ましい。
[編集] 年少合格者
2006年2月26日、高松市立栗林小学校6年生(当時)の男子が3級に合格。