東急7000系電車
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7000系電車(7000けいでんしゃ)は、東京急行電鉄に在籍していた通勤形電車。
1962年(昭和37年)1月から1966年にかけて134両が東急車輛製造で製造された。主要電機部品は東洋電機製造または日立製作所が担当している。東横線と帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)日比谷線との相互乗り入れを前提として設計された車両である。
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[編集] 車体形状・性能
米国Budd社(参照:en:Budd Company)との技術提携の基に製造された、日本初のオールステンレス車である。 Budd社が製造した米国フィラデルフィア市の地下鉄(SEPTA)車両をモデルにしている。
- 車体寸法は長さ17,500mm(連結器面間18,000mm)、幅は2,800mmで日比谷線直通車両の規格である。床面高は1,125mm。
- 車体側面の客用扉は両開式。扉間に3枚、扉~車端に1枚の窓を持つ。この窓は上段下降・下段上昇式であったが、最大開口の制限はなかった。このため、地下鉄線への乗り入れの安全基準を満たすため、下段には保護棒が取り付けられた。その後1978年~1984年に行われた車体更新工事の際に下段を固定する改造が行われ、保護棒が取り外された。
- 前面は3つ折妻型で貫通路を設置する。東急の車両では初めて前面に方向幕を設置した。前照灯および尾灯は左右の窓下部分に1組づつを設置している。なお急行灯は7011以降で取り付けられ、その後製造時になかった車両も取り付けられた。
- 屋上の通風器は、横側に通風口がある形状をしており、冬季は開口部に蓋をしていた。車内側は1982年~1984年頃にファンデリア(シャンデリア状の換気扇)から扇風機に換装されている。
- 台車はBudd社のパイオニアⅢ型を採用している。車軸の先端にディスクブレーキを持ち、軸バネを廃止し、軸を環状に囲んだ形の防振ゴムに置き換えた構造が特徴であったが、振動の吸収性が劣るなどの理由により、他社で採用されたのも含め、後に軸バネ方式の台車と交換された車両もある。
- 制動方式は界磁調整器による回生制動併用電磁直通空気制動(HSC-R)を採用した。
- 主電動機は複巻式で、東洋電機製が出力60kW(TDK826-A)、日立製作所製が70kW(HS-830Arb)で、駆動装置は中空軸平行カルダンである。出力が異なるのは、日立製のものは東横線内で急行列車として使用する事を考慮したためである。
- 主回路制御方式は抵抗式で、1制御器あたり8つの主電動機を、日立製の制御装置搭載車両は直並列制御、東洋電機製の制御装置搭載車両は永久直列制御する。
- 起動加速度・減速度ともに4.0km/h/sの高加減速性能を有する。前述したが日立車は急行運用にも使用されるために高速性能も確保している。設計最高速度は110km/hだが、当時の東横線急行の最高速度は90km/hであった。
- 電機品が東洋電機製造製の一部の編成は日比谷線直通用としてATCを搭載した。
[編集] 運用他
最初に東横線に投入された時は、前述の通り、電機品が東洋製の編成は日比谷線直通運用に、日立製の編成は急行運用を中心に使用された。その後、田園都市線(大井町線)およびごく短い期間ではあるが、目蒲線でも使用されていた。
1987年(昭和62年)から56両(4両編成14本)が冷房化・VVVFインバータ制御化などの改造工事を受け、7700系になった。一方で、7700系に改造されなかった車両は、1989年(平成元年)にデハ7057とデハ7052がワンマン運転対応改造と外装の変更などを施工させた上でこどもの国線の専用車となった他は、1988年~1991年に廃車となった。
デハ7057とデハ7052は、同線の通勤線化に伴い、1999年(平成11年)7月31日限りで横浜高速鉄道Y000系に置き換えられて営業運転を終了した。ちなみに、この2両は運行終了まで冷房化は行われず、東急最後の非冷房車(世田谷線を除く)でもあった。
なお、1988年(昭和63年)春からは、7200系・7600系・7700系・8000系と共に、先頭車の前面に赤帯が施された。
[編集] 他鉄道事業者への譲渡
7000系は、東京急行電鉄で廃車の後、以下の5社に譲渡されている。 秩父鉄道には4両編成で譲渡されたが、他の事業者には2~3両編成で譲渡された。このため先頭車が不足し、中間車に運転台を新設したものがある。 また、冷房装置搭載や架線電圧対応の工事を受けている。他社では回生ブレーキは使用せず、スイッチを切っている。
- 弘南鉄道(弘南鉄道7000系電車)
- 水間鉄道(水間鉄道7000系電車)
- 全て東洋製電機品車両。一部に先頭車化改造車、冷房改造車あり。
- 北陸鉄道(北陸鉄道7000系電車)
- 福島交通(福島交通7000系電車)
- 電動車は全て東洋製電機品車両。先頭車は全て中間車からの改造車。一部に3両編成、冷房改造車あり。
- 秩父鉄道(秩父鉄道2000形電車)
- 全て東洋製電機品車両。4両編成。※既に廃車
一方、こどもの国線専用車だったデハ7057とデハ7052は、廃車後に東急車輛製造に譲渡された。同社横浜製作所での構内の入れ替え作業などに使われている。現在でも外装はこどもの国線旧塗装(ステンレス地に緑・赤・青の帯)のままである。
[編集] 譲渡車両の画像
北陸鉄道7000系 オリジナルの先頭車 |
弘南鉄道7000系 大鰐線所属のオリジナルの先頭車 |
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福島交通7000系 中間車の先頭車化改造車 |
水間鉄道7000系 中間車の先頭車化改造車 |
[編集] その他
[編集] 参考資料
守屋之男「バッド社とステンレス車両」『鉄道ピクトリアル』696号、電気車研究会、2001年、67-75頁。