海上無線通信士
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海上無線通信士(かいじょうむせんつうしんし)は、無線従事者免許の1つ。総務省管轄。
第一級・第二級・第三級・第四級に分かれ、第一級は船上保守が可能なGMDSS対応の船舶局、GMDSS対応の大規模海岸局等の無線設備、第二級は制限された範囲の船上保守が可能なGMDSS対応の船舶局、GMDSS対応の中規模海岸局などの無線設備、第三級は船上保守をしないGMDSS対応の船舶局、GMDSS対応の小規模海岸無線局の無線設備、第四級は無線電話を使用する漁船の船舶局、漁業用海岸局などの無線設備に制限がある。
第四級のみが旧・電話級無線通信士が改称されたもので、第三級以上は新設された級。
第一級~第二級(第三級)は、国際的に通用する資格であり、免許証には『国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則に規定する第一~二級無線電子証明書(一般無線通信士証明書)に該当する』と日本語および英語で説明がある。 第四級は、『国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則に規定する海上移動業務に関する無線電話通信士一般証明書に該当する』と日本語および英語で説明があるが、国際通信のための通信操作はできない。
国家試験は年2回実施され(実施は日本無線協会)、4科目を3年以内で合格すれば合格となる。(科目合格有効が3年間)。
有資格者の職場として、大型船舶の通信などがある。
[編集] 試験科目
- 第一級
- 筆記
- 無線工学の基礎
- 無線工学A
- 無線工学B
- 法規
- 英語
- 実技
- 電気通信術
- 第二級
- 筆記
- 無線工学の基礎
- 無線工学A
- 無線工学B
- 法規
- 英語
- 実技
- 電気通信術
- 第三級
- 筆記
- 英語
- 無線工学
- 法規
- 実技
- 電気通信術
- 第四級
- 無線工学
- 法規
[編集] アマチュア無線技士との資格互換性
第一級・第二級・第四級の海上無線通信士の資格保有者は、その資格で、第四級アマチュア無線技士の操作の範囲に属する操作をあわせて行うことができる。 しかし、第三級海上無線通信士の資格だけは第四級アマチュア無線技士の操作範囲が含まれていない。これは、第三級海上無線通信士の無線工学の試験レベルが「無線設備の取扱方法」となっているため、第四級アマチュア無線技士の無線工学レベルに達しないことに起因する(通信機器操作のみで、内部回路を加工したりする事は許されない)。