生産性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
生産性(せいさんせい:productivity)とは、資源から付加価値を生み出す際の効率の程度のこと。
一定の資源からどれだけ多くの付加価値を生み出せるかという測定法と、一定の付加価値をどれだけ少ない資源で生み出せるかという測定法がある。
目次 |
[編集] 概要
生産性は、より少ない労力と投入物でより多くの価値を生みたいという人間の思いから生まれてきた概念である。
生産性が高い方法は、生産性が低い方法よりも、より低コストで生産が出来たり、労働の余暇を増やせたり、利益をたくさん上げたりできる。仕組みにもよるが、すべての事柄を改善することが可能である。
また、国際的には生産性の高い産業は比較優位に立つため、常に生き残ることが出来る。
そのため、各方面で生産性改善が活発に行われている。
生産性改善は、生産性という発想の元祖である、製造業の生産ラインにおいて最も強く発揮されている。一方で、サービス業はフローの把握や分業が進展していないため、生産性の向上も遅れている。
[編集] 生産性の種類
生産性には、何を基準におくかでいくつか種類がある。
[編集] 資本生産性
これは、資本(機械・トラック等の設備)1単位に対してどれだけ価値が生めたかを指す。通常、資本が遊ばないようになるだけ多く労働者を充てると、資本の回転率が上昇し資本生産性が高まる。ただ、この場合は労働生産性が低下する。
[編集] 労働生産性
これは、労働力(単位時間当たりの労働投入)1単位に対してどれだけ価値が生めたかを指す。通常、労働力が遊ばないようになるだけ多く資本を装備すると、労働力の回転率が上昇し労働生産性が高まる。ただ、この場合は資本生産性が低下する。
[編集] 全要素生産性
上記の二つの生産性を含めて、全投入要素1単位に対してどれだけ価値が生めたかを指す。通常は緩やかな上昇基調であるが、技術革新の際に高い上昇を見せる。交通革命やIT革命などが、その革新に該当する(IT革命による全要素生産性改善についてはなお議論の余地がある)。
[編集] 生産性と景気循環
景気循環は生産性に大きく影響している。通常、大規模な技術革新が起こらない場合、労働生産性と資本生産性は逆の動きをする。
労働力の調整が硬直的な経済(終身雇用制など)の場合、資本がより循環するため、景気回復時には労働生産性が上昇し、景気下降時には労働生産性が低下する。
労働力の調整が柔軟な経済(解雇が比較的容易など)の場合、労働力がより循環するため、景気回復時には資本生産性が上昇し、景気下降時には資本生産性が低下する。