百鬼夜行抄
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『百鬼夜行抄』(ひゃっきやこうしょう)は「ネムキ」(朝日ソノラマ)で連載中の今市子の漫画作品。
1995年、「ネムキ vol.23」(朝日ソノラマ)にて連載開始。2006年現在、単行本14巻、文庫版8巻が刊行されている。また、2005年「平成17年度(第9回)文化庁メディア芸術祭」漫画部門審査委員会推薦作品に選ばれた。
目次 |
[編集] 概要
- 基本的には1話完結のストーリー
- ジャンルはホラーだが、伏線が張ってあることが多くミステリー的な要素も含まれている。
- もともとは『精進おとしの客』という読み切りで発表された作品で、それ以前にも一度、設定などが多少違うものの同人誌に、『守護神』という読み切りで描かれている。
[編集] あらすじ
霊能力の強い飯嶋律と従姉の飯嶋司、広瀬晶、そして律の父親の体を借りた妖魔の青嵐、庭の桜の木に住む酒好きな妖魔、尾黒・尾白が、常人の目には映らない世界に住む霊、妖魔と関わる様子を幻想的なタッチで描いている。しかしそれらを退治するような勧善懲悪、使命感を描いている作品ではない。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
[編集] 飯嶋家(本家)
- 飯嶋律(いいじま りつ)
- 本作の主人公の青年で伶の孫。幼い頃から霊力が強かった為、祖父である伶の命令で小学校に上がるまでは、魔をよける為に女の子の格好をしていた。連載当初は16歳だったが、現在は一浪して大学生。晶と同じ大学に在籍。祖父譲りの強い霊力を持ち、妖魔や霊達を見、意思疎通をすることが出来るが、それらを退治したり操る力はない為妖魔に振り回される日々を送っている。実は怖がりで人間の霊や自然霊は苦手。
- 飯嶋伶/飯嶋蝸牛(いいじま りょう/いいじま かぎゅう)
- 律の祖父。怪奇幻想小説家であり、蝸牛はペンネーム。律が5歳の時(6歳の時という記述もあり)に老衰で亡くなった。両親が早くに他界した為、叔父夫婦に引き取られたが、叔父夫婦とその息子(伶から見て従兄)も共に伶が若い頃に亡くなっている。水脈(みを)という姉が一人いる。
- なお、ペンネームの「蝸牛」は、幸田露伴の自宅の名称「蝸牛庵」に由来している。また、この「蝸牛庵」は飯嶋家の外観のモデルともなっている。
- 飯嶋八重子(いいじま やえこ)
- 伶の妻で律、司、晶、潮たちの祖母。伶とは反対に、霊感のかけらも持ち合わせていない。
- 飯嶋孝弘(いいじま たかひろ)
- 律の父親で、婿養子として飯嶋家に入った。律が4歳の時(5歳という記述もあり)、心筋梗塞で倒れ死亡。だが実際は、伶が行った術の失敗により式神に殺された。その後、伶の命令により青嵐が体に入った為、表向きは生き返ったということになっている。
- 飯嶋絹(いいじま きぬ)
- 律の母親で飯嶋家の三女。母の八重子と共に自宅で茶道教室や着付け教室を開き、生計を立てている。
[編集] いとこ
- 飯嶋司(いいじま つかさ)
- 律の従姉で、律にとって姉のような存在。律より3歳年上で、現在大学生。酒好き。7歳の時妖魔に取り付かれ、19歳まで12年間苦しんでいた。妖魔を見る力はあるものの、あまり自覚していないことが多い。尾白と尾黒に「姫」と呼ばれ、しばしば酒の相手になっている。律の母親と祖母は彼女を律の嫁に欲しがっているが、司の父親の覚は反対している。
- 広瀬晶(ひろせ あきら)
- 律の従姉で初登場時は25歳。以前は会社勤めだったが、現在は民俗学を専攻する大学院生として律と同じ大学に通っている。石田三郎を慕っている。
- 広瀬潮(ひろせ うしお)
- 律の従兄で、晶の弟。初登場時は工学部の大学生。現在は就職し生命保険会社に勤める。妖怪が見れる程の霊力はあるようだが、晶曰く「霊感なんて毛ほどもない」らしい。
[編集] 伯父・伯母
- 飯嶋覚(いいじま さとる)
- 飯嶋家の長男で司の父親。伶と折り合いが悪かった為早くに家を出ている。また、実家を「バケモノ屋敷」と呼び毛嫌いしている。
- 広瀬斐(ひろせ あや)
- 飯嶋家の長女で晶と潮の母親。
- 飯嶋洸(いいじま こう)
- 飯嶋家の次男。
- 飯嶋環(いいじま たまき)
- 律の伯母で、飯嶋家の次女。開の社会復帰のため面倒をみている。現在独身。
- 飯嶋開(いいじま かい)
- 飯嶋家の三男で現在46歳。20歳の頃考え方の違いから伶と喧嘩の末、勘当され家を出た。その後旅行先で失踪し、26年間行方不明だったが、実際は山の神に捕われ異界にいた。伶に勘当された為飯嶋家には寄り付こうとせず、環のマンションで同居している。律同様霊感が強いが、律とは違い式神を操ることが出来る。時には律の相談相手になるが必ず味方になってくれる訳ではない。
- 飯嶋浄(いいじま きよし)
- 飯嶋家の四男。4歳の時(5歳という記述もあり)、河で溺れて溺死した。
[編集] 妖魔・人間以外の者
- 青嵐(あおあらし)
- 律の父親、孝弘の体に住みついている龍の姿をした式神。元々は伶が操っていた妖魔で、現在は伶の命令により律を守護している。大食いで、妖怪に限らず人間の食べ物もよく食べる。
- 尾白(おじろ)・尾黒(おぐろ)
- とある出来事から律の家の桜の木に住みついた妖魔。2匹とも昼間は、霊力が衰える為普通の鳥の姿をしているが、夜になると山伏装束を着た鳥の姿(烏天狗)になる。司がやって来ると酒、肴を振る舞い大歓迎する。以前は律の家の向かいにある長谷川家の杉の木に尾白、秋山家の杉の木に尾黒がそれぞれ住んでいた。律を「若」、司を「姫」と呼んで慕っている。作者が飼っている文鳥がモデルで、尾白のモデルは「福」、尾黒のモデルは「ナイゾウ」。
- 赤間/鬼灯(あかま/きちょう)
- 人間よりずっと長く生きている妖怪で、実際には名前はない。外見は赤い髪をした30代くらいの人間である。「赤間」というのは人間になりすました彼が度々名乗っている名前で、「鬼灯」というのは伶が赤い髪をほおずきになぞらえて付けた名前。自称伶の友達だが、伶自身は赤間に良い感情は抱いていなかったようである。伶の法術によって長い間壺に封じられていたことがある。司のことが苦手。
- 尾崎母娘(おざきおやこ)
- 律の母親、絹の茶道教室に通う狐の妖怪。見た目は美人姉妹だが、実際は母娘。ストーリーの所々にしばしば登場する。
- 石田三郎(いしだ さぶろう)
- 人食い鬼の兄に殺された自身の家族を供養する為に作った箱庭に取り込まれていた職人。実際に生きていたのは大分昔のことなのだが、寿命がまだある内に箱庭に取り込まれた為、現代に存在している。「三郎」というのはもともとの彼の名だが、「石田」という名字は円照寺の住職がつけた名。晶と相思相愛。円照寺の寺男をしながら植木屋の仕事をしていたが…。
[編集] ドラマCD
[編集] キャスト
- 第1巻 「凍える影が夢見るもの」 (フロンティアワークス、2002年7月発売)
- 第2巻 「闇からの呼び声」 (フロンティアワークス、2003年4月発売)
- 第3巻 「不老の壺」 (フロンティアワークス、2003年8月発売)
- 第4巻 「返礼」 (フロンティアワークス、2006年6月発売)
- 第5巻 「夏の手鏡」 (フロンティアワークス、2006年7月発売)
[編集] 舞台
花組芝居により、2003年1月と2006年9月の2度舞台化されている。
[編集] スタッフ
- 脚本:わかぎゑふ
- 演出:加納幸和
[編集] キャスト(2003年)
内容は「花貝の使者」のストーリー
- 飯嶋律:橘義
- 飯嶋司:秋葉陽司
- 青嵐/飯嶋孝弘:水下きよし
- 尾白:大井靖彦
- 尾黒:嶋倉雷象
- 鬼灯:北沢洋
- 飯嶋蝸牛・人食い:中脇樹人
- 飯嶋八重子:植本潤
- 飯嶋絹:八代進一
- 飯嶋覚:桂憲一
- 円照寺住職:原川浩明
- 石田三郎:横道毅
- 大姫:加納幸和
- 大姫の女中・人食いの家族:清水博之
- ちぬの君:溝口健二
- 青海浩子:山下禎啓
- 青海笙子:松原綾央
- 子供時代の律:森川理文
[編集] キャスト(2006年)
内容は「晴れ着」のストーリーに「神借り」などを加えたもの
- 飯嶋律:美斉津恵友
- 飯嶋司:堀越涼
- 青嵐/飯嶋孝弘:水下きよし
- 尾白:北沢洋
- 尾黒:秋葉陽司
- 鬼灯:小林大介
- 飯嶋蝸牛・浄:溝口健二
- 飯嶋八重子:山下禎啓
- 飯嶋絹:八代進一
- 飯嶋覚:桂憲一
- 円照寺住職:原川浩明
- 石田三郎:松原綾央
- 飯嶋開:各務立基
- かつら:加納幸和
- 広瀬晶:大井靖彦
- 広瀬斐:横道毅
- 飯嶋環:嶋倉雷象
- 老人:磯村智彦
- 妻夫木悠一:谷山知宏
- 妻夫木理代子:丸川敬之
- 妻夫木悠理:二瓶拓也
- 妖魔:大土居陽介
[編集] 関連書籍
[編集] 画集
- 夕景 今市子画集(1999年、朝日ソノラマ)
- 画集〔百鬼夜行抄〕(2002年、朝日ソノラマ)
- 百鬼夜行抄イラストコレクション(2004年、朝日ソノラマ)
[編集] 特集号
- ネムキ10月号増刊 今市子特集号(1999年、朝日ソノラマ)
- ネムキ9月号増刊 百鬼夜行抄特集号(2006年、朝日ソノラマ)
[編集] 外部リンク
- 電脳版 花組通信 -花組芝居のHP
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