結晶構造
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結晶中の原子の配置構造のことを結晶構造(けっしょうこうぞう、Crystal structure) という。
結晶構造は単位構造(単位格子、単位胞ともいう)と結晶格子とで分類される。単位構造(たんいこうぞう)とは結晶内に現れる繰り返し構造の単位であり、結晶を構成する格子内での原子あるいは分子の配列様式である。すなわち、結晶は3次元周期関数であり、その1周期が単位構造である。実際の結晶では結晶格子を構成する実格子ベクトルは直交する単位ベクトル以外の場合もあり、結晶格子(けっしょうこうし)と呼ばれる7種類の晶系(しょうけい)のいずれかに属している。
他にも、ダイヤモンド構造、閃亜鉛鉱構造、ウルツ鉱構造、NaCl構造、CsCl構造、ペロブスカイト構造、スピネル構造など多数存在する。
目次 |
[編集] 結晶格子
結晶系 | Lattices | |||
三斜晶(triclinic) | ||||
単斜晶(monoclinic) | 単純 | 底心 | ||
斜方晶(orthorhombic) 直方晶とも言う |
単純 | 底心 | 体心 | 面心 |
六方晶(hexagonal) | ||||
三方晶(trigonal) 菱面体晶(rhombohedral)とも言う |
||||
正方晶(tetragonal) | 単純 | 体心 | ||
立方晶(cubic) 等軸晶(isometric)とも言う |
単純 | 体心 | 面心 | |
結晶格子(けっしょうこうし, Crystal lattice)は、結晶の並進対称性を特徴付ける空間上の格子。
実空間において基本並進ベクトルa1,a2,a3より、実格子ベクトルは、
で表される。ここで、n=(n1,n2,n3)は任意の整数の組である。a1,a2,a3が作る平行六面体が単位格子(=単位胞)であり、この単位格子を3次元的に繰り返し並べたものが結晶である。そしてこの結晶を形作る格子が結晶格子である。
実格子ベクトルRnの終点が格子点(実格子点とはあまり言わない)である。この格子点上で回転対称操作を施すことによって実現可能な結晶系は7つ存在する。更に存在可能な格子は14種類である。この14種の格子をブラベー格子(Bravais lattice、ブラベ、ブラヴェーなどとも言う)と言う。
[編集] ブラベー格子
- 三斜晶
- 単純三斜
- 単斜晶
- 単純単斜
- 底心単斜
- 斜方晶
- 単純斜方
- 体心斜方
- 面心斜方
- 底心斜方
- 六方晶
- 単純六方
- 三方晶
- 単純菱面体
- 正方晶
- 単純正方
- 体心正方
- 立方晶
- 単純立方
- 体心立方
- 面心立方
[編集] 副格子
結晶格子を構成する原子、分子の中で、同じ性質や状態を持つもの同士が形成する部分的な格子のこと(この意味で部分格子とも言う)。従って、種類の異なる原子、分子からなる副格子も定義可能である。
副格子の例としては、反強磁性体での上向きスピンを持つ原子と、下向きスピンを持つ原子が、それぞれ副格子を形成している。他にフェリ磁性体などのような磁気構造を持つ場合に副格子が存在する。勿論、磁性以外の性質、状態に関しての副格子も存在する。超格子構造でも副格子が重要な意味を持つ。