臨床検査技師
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臨床検査技師(りんしょうけんさぎし、英Medical Laboratory Technologist)は、病院などの医療機関において種種の臨床検査を行う技術者である。 検査の多くは元来医師・歯科医師の行っていたものであったが、検査の複雑化とともに分業化が進み、現在の医療に臨床検査技師は不可欠の存在となっている。コ・メディカルの一種。
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[編集] 臨床検査技師の業務
臨床検査技師は、医師・歯科医師の指示により
を行うことができる。
このうち、生理学的検査については、本来、看護師の業務独占資格業務であるが、臨床検査技師にも開放されている。ただし、「業務独占」といっても、「医師」は(「医業と重複しない歯科医業」を除く)全ての医療行為を「医業」として行うことができるため、「医師免許」をもつ「医師」は当然、生理学的検査も行うことができる。 具体的には、血液検査、尿検査などの検体検査、心電図、脳波などの生理学検査、組織標本を検鏡して癌細胞の有無などを評価する病理学検査、病原微生物の培養同定などを行う微生物学検査など多岐にわたる。
さらには病理学的検査の一部として死亡した患者の病因解明を目的とした病理解剖の助手を務めることもある。病理解剖助手の資格とは別であるものの、医道審議会死体解剖資格審査部会は、1988年の申し合わせで臨床検査技師を補助者とすることができるとの見解を示している。
[編集] 資格取得について
臨床検査技師国家試験を受験し、合格し、免許を申請しなければならない。臨床検査技師国家試験の受験資格を得るには、臨床検査に関わる3年制の短期大学、3年制の専門学校、4年制の大学(医学部臨床検査技術学科および医療衛生学部など)を修業あるいは卒業することが主たる要件である。傾向として、4年制大学を修了する者が増えてきており、大学院への進学もまた多くなってきている。このほか、一部の薬学部、理学部などにおいて薬学、理学などの課程に加えて臨床検査に関わる一定の科目を取得し、受験資格を得ることがある。また、この他、医学部医学科、歯学部歯学科(生命歯学部生命歯学科)の卒業者および医師・歯科医師免許取得者も臨床検査技師国家試験の受験資格を有する。
[編集] 試験
- 3月上旬に北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県で行われる。
[編集] 試験科目
- 医用工学概論(情報科学概論及び検査機器総論を含む。)
- 公衆衛生学(関係法規を含む。)
- 臨床検査医学総論(臨床医学総論及び医学概論を含む。)
- 臨床検査総論(検査管理総論及び医動物学を含む。)
- 病理組織細胞学
- 臨床生理学
- 臨床化学(放射性同位元素検査技術学を含む。)
- 臨床血液学
- 臨床微生物学
- 臨床免疫学
[編集] 関連職種
[編集] 細胞検査士
細胞検査士は、日本臨床検査医学会と日本臨床細胞学会が臨床検査技師から認定し、指導医の監督指導のもと細胞診スクリーニングを行うことができる。
[編集] 超音波検査士
超音波検査士は、看護師・准看護師・臨床検査技師・診療放射線技師の何れかの免許を有するコメディカルスタッフで、臨床経験を有し超音波認定医の推薦を受けた上で筆記試験合格者に日本超音波医学会が認定し与えられる。
[編集] 診療放射線技師
診療放射線技師が行っている放射線を使用しない分野の画像診断分野(超音波検査、MRI撮影など)は、臨床検査技師と分野が重複する。但し、放射線を使用した画像化を目的とした検査は、医師・歯科医師の他は診療放射線技師の独占分野である。詳しくは診療放射線技師を参照せよ。
[編集] 衛生検査技師
衛生検査技師は、臨床検査技師の業務のうち、生理学検査以外の検査、すなわち検体検査を行うことができる。業務独占部分のない名称独占資格である。
医学、歯学、獣医学又は薬学の正規の課程を修めた(卒業した)者であれば、申請により無試験で厚生労働大臣から免許を受けることができる。