自走式対空砲
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自走式対空砲(じそうしきたいくうほう)は、航空機やヘリコプターなどの飛行中の目標を破壊するための対空砲や対空ミサイルを搭載し、自力で移動可能な戦闘車両。
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[編集] 概要
全ての自走式対空砲は、1門以上の対空砲とレーダーを含む何らかの照準装置、これらを運ぶ車体からなる。操作は砲手と運転手の間に分散されており、初期の車両を除き、射撃準備を行うために車外に出る必要は無い。移動中に射撃が行えるものもある。ほとんどの自走式対空砲は無装甲または軽度の装甲しか施されておらず、装甲された軍用車両との交戦を考慮していない。しかし、非装甲車両や歩兵に対しては有効であり、補助的に支援に用いられることもある。
[編集] 歴史
第一次世界大戦から飛行機が軍事目的で広く使用されることになったが、この頃の軍用機は低速で低高度を飛行しており、小銃や対空用の脚に載せられた機関銃が部隊の対空用火器として一般的に使用され、効果も十分であった。戦線の移動速度は遅く、兵器は主として馬や人力で牽引されていた。第二次世界大戦開始時にも、第一次世界大戦と同じように機関銃が主として防空任務も担っていたが、一部では車両に牽引された対空砲が使用されるようになった。しかし戦車や航空機の急激な発展により、車両に牽引された対空砲では、射撃準備を終える前に航空機に攻撃されたり、射撃準備を終了した時点で戦線のはるか後方にあり役に立たなかったりなどと兵器としての限界が出てきた。
ドイツ軍は、大規模な装甲部隊を運用しており、十分な防空能力を確保することは1943年以後、制空権を失うにつれ、切実な問題となった。Il-2やホーカーハリケーンなどといった対地攻撃機を対空機関銃で撃破することは事実上不可能であり、何十両もの戦車が数機の攻撃機に撃破され、攻撃が頓挫することも珍しいことではなかった。ドイツ軍では第二次世界大戦初期からトラックやハーフトラックの荷台に対空機関砲を装備したものを使用していたが、戦車の車台に対空砲を載せた車両も大戦後半から開発され、これらの対空用に特化した車両を対空戦車と呼称し、メーベルワーゲン、ヴィルベルヴィントなど次々と戦線に送り込んだ。戦車と共通の車体を持つこれらの車両は効果的ではあったものの、同数の戦車の車体を奪うために大量生産は困難であり、戦局に大きな影響を与えることは無かった。イギリスやアメリカも限定的な数量ではあるものの、旧式や余剰となった戦車の車体を使用して、対空戦車を生産した。
戦後、ジェット機の台頭により従来の目視による目標捕捉・射撃では追いつけなくなると、レーダーとコンピューターによる自動射撃へと移行していく。中でも大きな戦果を上げたのは旧ソ連製のZSU-23-4シルカで、エジプト軍が第四次中東戦争で使用した同車がイスラエルの航空機を多数撃破し、初期のアラブ側有利の戦局に大きく貢献した。また旧西ドイツが開発したゲパルトは目標捕捉用・射撃用の2基のレーダーを備え、次目標攻撃へのタイムラグを短縮している。
今日の対空砲の役目は地対空ミサイルにかなりの部分を取って代わられ、ミサイルで撃ち漏らしたものを撃破することを主眼としており、対空戦車も対空砲と共に対空ミサイルランチャーを装備したハイブリット型が登場している。しかし今日に至っても、戦車の天敵である対戦車ヘリコプターにとっては対空機関砲は未だに脅威である。またしばしば地上戦において、対人・対非装甲車両攻撃に使用される事がある。
[編集] 自走式対空砲の一覧
[編集] 第二次世界大戦
アメリカ合衆国
- M13
- M14
- M15A1対空自走砲
- M16対空自走砲
- M19対空自走砲
イギリス
- クルセーダー対空戦車
ドイツ
ソビエト連邦
- ZSU-37対空自走砲
ハンガリー
- 40Mニムロード対空自走砲
[編集] 第二次世界大戦後
アメリカ合衆国
- M163対空自走砲(M113装甲兵員輸送車にM61バルカン砲を取り付けた車両)
- M42ダスター自走高射機関砲
- M247ヨーク対空戦車
フランス
- AMX-13DCA対空自走砲
- AMX-30DCA対空自走砲
イタリア
- SIDAM25対空自走砲
- OTOMATIC対空自走砲
スウェーデン
- トリドン40SP対空自走砲
- Lvkv 90対空車
ソビエト連邦
- ZSU-57-2対空自走砲
- ZSU-23-4シルカ対空自走砲
- 2S6ツングースカ対空自走砲
ドイツ
日本
[編集] 関連項目
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