自転車専用道路
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自転車専用道路(じてんしゃせんようどうろ)とは、自転車による移動の安全性確保や、スポーツ、レクリエーション(サイクリング)として自転車を利用することを目的とした道路である。自転車道(じてんしゃどう)、サイクリングロードともいう。
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[編集] 定義
自転車道という言葉の定義は、法令によって異なる。
- 道路法
- 自転車専用道路 - もつぱら自転車の一般交通の用に供する道路又は道路の部分(第48条の7第1項)(当該道路の他の部分と構造的に分離されているものに限る)
- 自転車歩行者専用道路 - もつぱら自転車及び歩行者の一般交通の用に供する道路又は道路の部分(第48条の7第2項)(当該道路の他の部分と構造的に分離されているものに限る)
- 道路交通法
- 自転車道 - 自転車の通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によつて区画された車道の部分(第2条第1項第3号の3)
- (自転車専用) - 「普通自転車以外の車両及び歩行者の通行を禁止する」(交通法第8条第1項)「自転車専用」の道路標識(325の2)がある道路
- (自転車及び歩行者専用) - 「普通自転車以外の車両の通行を禁止する」(交通法第8条第1項)「自転車及び歩行者専用」の道路標識(325の3)がある道路
- (自転車及び歩行者専用、歩行者用道路) - 「歩行者の通行の安全と円滑を図るため普通自転車以外の車両の通行を禁止する」(交通法第8条第1項及び第9条)「自転車及び歩行者専用」の道路標識(325の3)がある道路
- 道路構造令
- 自転車道 - 専ら自転車の通行の用に供するために、縁石線又はさくその他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分(第2条第2号)
- 自転車歩行者道 - 専ら自転車及び歩行者の通行の用に供するために、縁石線又はさくその他これに類する工作物により区画して設けられる道路の部分(第2条第3号)
- 自転車道の整備等に関する法律
- 自転車道 - もつぱら自転車の通行の用に供することを目的とする道路の部分、および、自転車及び歩行者の共通の通行の用に供することを目的とする道路又は道路の部分
[編集] 法令による差異
すなわち、道路法の自転車専用道路・自転車歩行者専用道路は、道路全体が自転車専用道路・自転車歩行者専用道路として指定されるか、または道路(延長方向)の一部分であって、その他の道路の部分とは分離されているもの(独立した道路)が指定される。また、道路または道路の部分として未供用である必要がある。また、道路法の自転車専用道路・自転車歩行者専用道路では、自転車以外に軽車両や、小型特殊自動車である農耕作業用自動車(牽引車を含む)も通行できる。
また、道路交通法の通行禁止規制としては、(通常は道路全体が)「自転車専用」、「自転車歩行者専用」または「歩行者用道路」である「自転車歩行者専用」として規制される事もある。この規制の場合は、道路法による場合とは異なり、対象が普通自転車に限定されること、また「自転車歩行者専用」であって「歩行者用道路」の場合には歩行者に特に注意して徐行(歩行者用道路として、通常は道路全体が歩行者優先)となる事に注意が必要である。また、交通規制であるため、規制対象や日時を限定して規制されることもある。
これらに対して、道路交通法や道路構造令の自転車道は、「縁石線又はさくその他これに類する工作物により区画」された道路または車道の一部分である。そのため、独立した道路ではなく、道路の一部分として取り扱われる。なお、道路交通法では自転車道は車道の一部としているが、道路構造令では車道の定義を「(自転車道を除く。)」として、車道から自転車道を明確に除外している。
[編集] 道路交通法の自転車道
道路交通法の自転車道(以下、この項では単に自転車道)は、同法上の交通方法の規定(第三章)の適用上は、自転車道が設けられている道路における自転車道と、自転車道以外の車道部分とは、それぞれ別個の車道として扱われる。例として、左側通行の規制に係る左側部分は、自転車道以外の車道部分で見た左側部分と、自転車道の部分で見た左側部分とで、別個に扱われる。
自転車道がある場合には、普通自転車は、原則そこを通行しなければならない。また、自転車であっても、四輪以上のもの、サイドカー付きやリヤカー等牽引のものは自転車道は通行できず、車道を通行する事になる。自転車以外の軽車両も同様である。モペッドは原動機付自転車であるため、車道走行が必要である。
自転車道は工作物によって区画されている事が要件である。歩道に「普通自転車が歩道を通行することができることとする」(交通法第63条の4第1項)「自転車及び歩行者専用」の道路標識(325の2)がある場合において、歩道上の「普通自転車の歩道通行部分」の道路標示(114の2)で区画されている部分は、自転車道には該当しない。普通自転車が歩道通行可とされる場合には、無条件で徐行しなければならず、歩行者絶対優先であり、自転車は歩行者の通行を妨害してはならず、歩行者の妨害となる時は自転車が一時停止しなければならない。
また、車道上において車両通行帯の道路標示により「自転車専用」と区画されている部分も、自転車道ではない(すなわち、そのような部分は依然、車道の一部分であるため、車道全体で見た左側通行の規制を受ける)。
[編集] 整備状況
一般的な用法では、冒頭に掲げたような道路を指す。
計画から自転車専用道路として整備された道路も多いが、鉄道の廃線跡を利用した道路や、道路の側面を利用した道路、などさまざまな形態で整備されている。
一方で日本においては、自転車道や自転車専用道路の普及率が著しく低く、普通自転車の歩道通行可の道路標識が多用されているという問題も多く指摘される。