親権
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親権(しんけん)とは、成年に達しない子を監護、教育し、その財産を管理するため、その父母に与えられた身分上及び財産上の権利義務の総称をいう。未成年の子に対し親権を行う者を親権者という。
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[編集] 親権の義務性
親権は、権利であると同時に義務でもある(同条)。
つまり、親権者は、親権の適切な行使に配慮しなければならないし(児童虐待の防止等に関する法律14条1項)、親権者が子の監護を怠ること(つまり親権の不行使)は、児童虐待にあたり得る(同法2条3号)だけでなく、保護責任者遺棄や傷害、殺人などの犯罪ともなり得る。また、親権者が子の監督を怠った結果、子が他人に損害を加えたときは、親権者自身に不法行為責任(民法709条)が生じ得る。
[編集] 親権の効力
- 監護・教育権(民法820条)
- 居所指定権(民法821条)
- 子は、親権者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
- 例外につき、同法857条(未成年後見人の権限)
- 懲戒権(同法822条)
- 親権者は、必要な範囲で自ら子を懲戒できる(同条1項)。
- 児童虐待は、懲戒権の行使と称してなされる場合も多い。この場合、親権者に自らの行為が虐待行為に当たるとの認識がないか希薄なことがほとんどであり、児童相談所や学校などの第三者から指導を受けても浸透しないまま、過酷な虐待行為がなされ、子が死亡や重篤な傷害といった重大な被害を被る事例が頻発している。
もとより、本条は児童虐待を正当化するものではない。目的において不当な、あるいは手段において不相当(例えばしつけと称して子供にタバコの火を押し付ける手段)な行為は本条に言う懲戒権の行使として認められない。
したがって虐待行為の違法性は本条によって阻却しえず、場合によっては暴行罪や傷害罪などの犯罪を構成することになる。
- 職業許可権(同法823条)
- 営業を許された未成年者はその営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有することになる(同法6条1項)。親権者は許可を取消したり制限したりもできる(同法6条2項)。
- 財産管理(同法824条〜832条)
- 親権者は子の財産管理権を有する。具体的には財産に関する法律行為の代理権であり、未成年者の法律行為に対する同意権もここから派生するものとされる。
- 利益相反行為となる場合、親権者の財産管理権は認められず親権者は特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。
- 子の親権の代行(同法833条)
[編集] 親権の喪失
親権者が親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる(同法834条)。また、親権者が管理が失当であったことによってその子の財産を危うくしたときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その管理権の喪失を宣告することができる(同法835条)。これらの原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、親権又は管理権の喪失の宣告を取り消すことができる(同法836条)。
また、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる(同法837条1項)。
[編集] 親権を行使する者
- 未成年者は、父母の親権に服し、養子については、養親の親権に服する。父母が婚姻中の場合は、親権の行使は父母が共同で行うのが原則であるが、一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う(以上同法818条より)。
- 父母が離婚又は離婚後に認知した場合の子の親権者の決定についての準則は、民法819条に規定がある。
- 協議離婚の場合は、協議による(同法819条1項)。
- 裁判上の離婚の場合は、裁判所の決定による(同法819条2項)。
- 子の出生前に離婚した場合は、母が行う。ただし、父母の協議によって変更することもできる(同法819条3項)
- 父が認知した子に対する親権は、母が行うのが原則であるが、父母の協議によって変更することもできる(同法819条4項)。
- 協議が調わないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる(同法819条5項)。
- 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる(同法819条6項)。
[編集] 日本での離婚後親権
統計 http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/data/010/2003/toukeihyou/0004652/t0098870/MH100_001.html