認知行動療法

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目次 1 由来 2 歴史 3 主な治療体系（とその主導者） 4 関連書籍 4.1 洋書 4.2 訳書 4.3 和書 5 視聴覚教材 5.1 ビデオ 5.2 CD-ROM 5.3 DVD 6 関連項目 7 外部リンク 7.1 世界の学会 7.2 国内の学会 7.3 研修機関

[編集] 由来

「認知行動療法」という呼び名は、ドナルド・マイケンバウムの著作のタイトルとして初めて登場した。

　現在では、認知療法と認知行動療法、もしくは行動療法と認知行動療法とは、ほとんど同じものを指す総称となっている。その理由としては、 認知療法サイド（たとえばベックやエリスなど）は、最初から自分たちの療法に、行動療法の技法をどんどん取り入れていったし、 一方、行動療法自体は、元々たくさんの技法のパッケージもしくは束なので、認知療法の技法が加わっても、根本的な再構成を必要としなかった。 こと等が考えられる。

　また、行動療法が、認知も感情も「行動」の一種である（そんなわけで普通の行動はovert behavior（表立った行動）と言い直されることとになった）と「行動」の範囲を拡大したことも、認知療法と行動療法の垣根を低くし、両者の融合を進めたといえる。

こうした訳でもともと行動療法サイドだった人は「認知行動療法とは、出来事に対するクライエントの否定的な考え方に焦点を当て、そう言った認知（ものの見方、考え方）を再検討し、変えていくことを主眼とする行動療法である」と本籍地が「行動療法」にあるような説明をすることがあり、 逆にもともと認知療法サイドだった人は「認知行動療法とは、心の問題に対して、認知療法の考え方をもとに、行動療法の技法も用いる様々な心理療法の集合体のことをいいます」と本籍地が「認知療法」にあるような言い方を好むといったシェア争奪戦が今も本気で行われている。行動療法にとっては「認知行動療法」と認知が頭に来る事が頭に来るとも言われており、事実欧米の学会では行動療法を頭に持ってきて「行動認知療法」ないし、「行動療法認知療法」と呼ばれている。

[編集] 歴史

行動療法をも含む認知行動療法の歴史は、

• （１）行動療法が確立された第１期（＝「第１世代」）
• （２）認知療法または認知的手法が確立された第２期（＝「第２世代」）
• （３）Mindfulness、Acceptanceなどの新しい概念を取り入れる認知行動療法が登場した第３期（＝「第３世代」）

にを大きく分けることができるが、年代史的に再考すると、「最初の行動療法」である系統的脱感作法（Systematic Desensitization：Wolpe,1958）よりも、「最初の認知療法」といわれる論理療法（Rational Therapy：Ellis,1955）の方が古く、上記の時代区分は必ずしもあてはまらない。 また第３世代と呼ばれる認知行動療法の概念は、「世代」と呼ぶほどの独自性があるわけでも独特の技法があるわけでもなく、第二世代以前に当たり前に使っていた技法の一部をクローズアップさせたパッケージに過ぎないという批判もある。

[編集] 主な治療体系（とその主導者）

1955年 　Rational psychotherapy　論理療法　Ellis　

1958年 　Systematic Desensitization　系統的脱感作 Wolpe

1961年 　Modeling モデリング Bandura et al.　

1962年 　Rational-EmotiveTherapy 論理療法（合理情動療法）　Ellis　

1963年　Cognitive Therapy 認知療法 Beck　

1965年　Coverant Control カバラントコントロール Hornme

1966年　Exposure & Respose(Ritual) Prevention 暴露ー反応妨害法　　Meyer

1967年　Covert Conditioning カバート条件づけ Cautela　

1969年　Therapeutic Modeling モデリング療法 Bandura et al.　

1970年　Self-monitoring 自己監視法（セルフ・モニタリング法）　　McFall　

1971年　Problem-Solving Training (Therpy) 問題解決訓練（療法）　　D'Zurilla & Goldfried　

1971年　Self-instructional Training 自己教示訓練 Meichenbaum & Goodman

1971年　Behavioral Family Therapy 行動的家族療法 Patterson　

1971年　Anxiety-Management Training 不安管理訓練 Suirln & Richardson　

1973年　Multimodal Behavior Therapy 多面的行動療法 Lazarus　

1974年　Systematic Rational Restructuring 系統的合理的再体制化法 　　Goldfried et al.

1975年　Rational Behavior Therapy　　合理行動療法　　Maultby

1975年　Behavioral Activation　　行動活性化法　　Lewinsohn et al.

1976年　Cognitive-behavioral Hypnotherapy 認知行動的催眠療法 　　Spanos & Barber　

1976年　Structured Learning Therapy 構成的学習療法 Goldstein et al.

1977年　Social Skills Training for children 社会的スキル訓練 　　Combs & Slaby　

1977年　Cognitive Behavior Modification 認知的行動変容 Meichenbaum　

1977年　Self-controI BehaviorTherapy セルフコントロール行動療法 　　Rehm　　

1981年　Behavioral Marital Therapy 行動的夫婦療法 Jacobson　

1982年　Interpersonal Cognitive Problem-Solving Therapy 　　対人的認知的問題解決療法 　　Spivac & Shure

1983年　Retional-emotive Hypnotherapy 合理情動催眠療法 　　Golden　

1983年　Structural Cognitive Therapy 構造的認知療法 Guidano & Liotti　

1984年　Rational Behavior Therapy 合理的行動療法 Maultsby　

1985年　Stress lnoculation Training ストレス免疫訓練 　　Meichenbaum　

1985年　Personal Construct Therapy パーソナル･コンストラクト療法 　　Neimeyer　

1986年　Cognitive Appraisal Therapy 認知的評価療法 Wessler & Hankin-Wessler

1987年　Dialectical behavior therapy for BPD 弁証法的行動療法 　　Linehan

1988年　Social Skills Training for psychiatric patients 生活技能訓練 　　Liberman　

1990年　Mindfulness-based Stress Reduction Program マインドフルネス・ストレス低減プログラム 　　Kabat-Zinn

1991年　Functional Analytic Psychotherapy 機能分析的心理療法　　Kohlenberg & Tsai

1992年　Cognitive Process Therapy for PTSD 認知プロセス療法　　Resick & Schnicke

1995年　Rational Emotive Behavior Therapy 論理療法（合理情動行動療法）　　Ellis

1996年　Motivational Enhancement Therapy 動機付け強化療法　　Samet et al.

1999年　Acceptance and Commitment Therapy　　アクセプタンス・コミットメント療法　　Hayes et al.

2000年　Cognitive Behavioral Analysis System of Psychotherapy　　認知行動分析的システム　　McCullough

2001年　Behavioral Activation 行動活性化法 Jacobson et al.

2002年　Mindfulness-Based Cognitive Therapy マインドフルネス認知療法　　Segal et al.

2002年　FAP-enhanced Cognitive Therapy (FECT) 機能分析的心理療法によって強化された認知療法 　　Kohlenberg et al.

[編集] 関連書籍

[編集] 洋書

[編集] 訳書

• マクマリンR.E.・ギルスT.R.(著)　岩本隆茂・斎藤巌・奥瀬哲(訳・編著)　1990　認知行動療法入門－ステップ・バイ・ステップで学ぶ実効的臨床技法　東京：川島書店
  • （McMllin, R. E. & Giles, T. R.　(1981)　Cognitive-behavior therapy: A restructuring approach.　 New York : Grune & Stratton）
• ワイスL.・カッツマンM.・ウォルチックS.(著)　末松弘行(監訳)　熊野宏昭・川原健資(訳)　1991　食べたい！でもやせたい－過食症の認知行動療法　東京：星和書店
  • （Weiss, L., Katzman, M. & Wolchik, S.　(1986)　You can't have your cake and eat it too: A program for controlling bulimia.　）
• マイケンバウムD.(著)　根建金男(監訳)　1992　認知行動療法－心理療法の新しい展開　京都：同朋社出版
  • （Meichenbaum, D.　(1977)　Cognitive-behavior modification: An integrative approach.　New York : Plenum Press.）
• ポープA.W.・ミッキヘイルS.・クレイグヘッドW.E.(著)　高山巖(監訳)　佐藤正二・佐藤容子・前田健一(共訳)　1992　自尊心の発達と認知行動療法：子どもの自信・自立・自主性をたかめる　東京：岩崎学術出版社
  • （Pope, A. W., McHale, S. & Craighead, W.　 E.　(1988)　Self-esteem enhancement with children and adolescents.　New York : Pergamon Press）
• ウィリアムスJ.M.G.(著)　中村昭之(監訳)　1993　抑うつの認知行動療法　東京：誠信書房
  • （Williams, J. M. G.　(1984)　The psychological treatment of depression: A guide to theory and practice of cognitive-behaviour therapy.　London : Croom Helm）
• サルコフスキスP.M.(著)　坂野雄二・岩本隆茂(監訳)　1998　認知行動療法－臨床と研究の発展　東京：金子書房
  • （Salkovskis, P. M.　(1996)　Trends in cognitive and behavioural therapies.　Chichester : John Wiley & Sons）
• キングドンD.G.・ターキングドンD.(著)　原田誠一(訳)　2002　統合失調症の認知行動療法　東京：日本評論社
  • （Kingdon, D. G. & Turkington, D.　(1994)　Cognitive-behavioral therapy of schizophrenia.　New York : Guilford Press）
• アンドリュースG.・クリーマーM.・クリーノR.・ハントC.(著)　古川壽亮(監訳)　2003　不安障害の認知行動療法(1)パニック障害と広場恐怖－不安障害から回復するための治療者向けガイドと患者さん向けマニュアル　東京：星和書店
  • （Andrews, G., Creamer, M., Crino, R. & Hunt, C.　(2002)　The treatment of anxiety disorders : clinician guides and patient manuals. 2nd. ed.　Cambridge : Cambridge University Press）
• アンドリュースG.・クリーマーM.・クリーノR.・ハントC.(著)　古川壽亮(監訳)　2003　不安障害の認知行動療法(1)社会恐怖：不安障害から回復するための治療者向けガイドと患者さん向けマニュアル　東京：星和書店
  • （Andrews, G., Creamer, M., Crino, R. & Hunt, C.　(2002)　The treatment of anxiety disorders : clinician guides and patient manuals. 2nd. ed.　Cambridge : Cambridge University Press）
• クラークD.M.・フェアバーンC.G.(編)　伊豫雅臣(監訳)　2003　認知行動療法の科学と実践　東京：星和書店
  • （Clark, D. M. & Fairburn, C. G.　(1997)　Science and practice of cognitive behaviour therapy.　 Oxford : Oxford University Press）
• カーウェンB.・パーマーS.・ルデルP. (著)　下山晴彦(監訳)　2004　認知行動療法入門：短期療法の観点から　東京：金剛出版
  • （Curwen, B., Palmer, S. & Ruddell, P.　(2000)　Brief cognitive behaviour therapy.　 London : Sage Publications）
• アンドリュースG.・クリーマーM.・クリーノR.・ハントC.(著)　古川壽亮(監訳)　2005　不安障害の認知行動療法(1) 強迫性障害とPTSD：不安障害から回復するための治療者向けガイドと患者さん向けマニュアル　東京：星和書店
  • （Andrews, G., Creamer, M., Crino, R. & Hunt, C.　(2002)　The treatment of anxiety disorders : clinician guides and patient manuals. 2nd. ed.　Cambridge : Cambridge University Press）
• ヘイズS.C.・フォレットV.M.・リネハンM.M.(編著)　春木豊(監修)　武藤崇・伊藤義徳・杉浦義典(監訳)　2005　マインドフルネス＆アクセプタンス：認知行動療法の新次元　東京：ブレーン出版
  • （Hayes, S. C., Follette, V. M. & Linehan, M. M.　(2004)　Mindfulness and acceptance: Expanding the cognitive-behavioral tradition.　 New York : Guilford Press）
• スタラードP.(著)　下山晴彦(監訳)　2006　子どもと若者のための認知行動療法ワークブック：上手に考え、気分はスッキリ　東京：金剛出版
  • （Stallard, P.　(2002)　Think good - feel good: A cognitive behaviour therapy workbook for children and young people.　Chichester : John Wiley & Sons）
• クーパーZ.・フェアバーンC.G.・ホーカーD.M.(著)　小牧元(監訳)　2006　肥満の認知行動療法：臨床家のための実践ガイド　東京：金剛出版
  • （Cooper, Z., Fairburn, C. G. & Hawker, D. M.　(2003)　Cognitive-behavioral treatment of obesity: A clinician's guide.　New York : Guilford Press）
• ブルックM.・ボンドF.W.(編著)　下山晴彦(編訳)　2006　認知行動療法のケ－ス・フォ－ミュレ－ション入門　東京：金剛出版
  • （Bruch, M. & Bond, F. W.　(1998)　 Beyond diagnosis: Case formulation approaches in CBT　Chichester ; New York : Wiley）

[編集] 和書

• 坂野雄二(著)　1993　スランプの薬：「認知行動療法」で心の落ち込みを退治する　東京：ごま書房
• 坂野雄二(著)　1995　認知行動療法　東京：日本評論社
• 岩本隆茂・大野裕・坂野雄二(共編)　1997　認知行動療法の理論と実際　東京：培風館
• 丹野義彦(編著)　2002　認知行動療法の臨床ワークショップ：サルコフスキスとバーチウッドの面接技法　東京：金子書房
• 陳峻文(著)　2003　パニック障害に対する集団認知行動療法　東京：風間書房
• 丹野義彦・坂野雄二・長谷川寿一・熊野宏昭・久保木富房(編著)　2004　認知行動療法の臨床ワークショップ(2)：アーサー＆クリスティン・ネズとガレティの面接技法　東京：金子書房
• 岡崎祐士・青木省三・宮岡等(監修)　坂野雄二（編）　2005　こころの科学121号　認知行動療法　東京：日本評論社
• 伊藤絵美(著)　2005　認知療法・認知行動療法カウンセリング初級ワークショップ　東京：星和書店
• 坂野雄二(監修)　鈴木伸一・神村栄一(著)　2005　実践家のための認知行動療法テクニックガイド：行動変容と認知変容のためのキーポイント　京都：北大路書房
• 武藤崇(著)　2006　アクセプタンス&コミットメント・セラピーの文脈：臨床行動分析におけるマインドフルな展開　東京：ブレーン出版

[編集] 視聴覚教材

[編集] ビデオ

• 心理療法ビデオシリーズⅠ：問題別アプローチ編　（JIP日本心理療法研究所）
  • 第12巻　「嗜癖の認知行動的再発防止法」（Alan Marlatt）
• 心理療法ビデオシリーズⅡ：心理療法システム編　（JIP日本心理療法研究所）
  • 第3巻　「認知感情行動療法」（Marvin Goldfried）
  • 第6巻　「認知行動療法」（Jacqueline Persons）
• 行動の健康および健康カウンセリング　（JIP日本心理療法研究所）
  • 第5巻　「健康な睡眠と睡眠障害：認知行動療法アプローチ」（Edward Stepanski）
  • 第12巻　「減量と体重管理の心理療法：行動認知アプローチと対人的アプローチの統合」（Ann Mary Kearney-Cooke）
• 著名セラピストによる心理療法　（日本・精神技術研究所）
  • 第4巻 「認知行動療法」（Donald Meichenbaum）
  • 第6巻 「認知行動療法」（John Krumboltz）

[編集] CD-ROM

• 　（星和書店）
  • 「CD-ROMで学ぶ認知療法：心のつぶやきがあなたを変える」　（井上和臣）

[編集] DVD

• うつ病治療のための認知行動療法　（JIP日本心理療法研究所）
  • 第1巻　「症例の概念化と治療計画」（Jacqueline Persons/Joan Davidson/Michael Tompkins）
  • 第2巻　「治療セッションの構造」（Jacqueline Persons/Joan Davidson/Michael Tompkins）
  • 第3巻　「思考記録表の使用」（Jacqueline Persons/Joan Davidson/Michael Tompkins）
  • 第4巻　「うつへの活動記録法の利用」（Jacqueline Persons/Joan Davidson/Michael Tompkins）
  • 第5巻　「スキーマの変え方」（Jacqueline Persons/Joan Davidson/Michael Tompkins）
• うつ病治療の認知行動療法　（JIP日本心理療法研究所）
  • 第1巻　「うつ病の認知行動療法Ⅰ」（Jacqueline Persons/Joan Davidson/Michael Tompkins）
  • 第2巻　「うつ病の認知行動療法Ⅱ」（Jacqueline Persons/Joan Davidson/Michael Tompkins）
• 　（JIP日本心理療法研究所）
  • 「思春期のＡＤＨＤに対する認知行動療法：子どもと親への実践的アプローチ」（Robert Resnick）
• 　（星和書店）
  • 「認知療法・認知行動療法カウンセリング：ＣＢＴカウンセリング初級ワークショップ」（伊藤絵美）
  • 「認知療法・認知行動療法面接の実際」（伊藤絵美）

[編集] 関連項目

• 心理療法
• 行動療法
• 認知療法

[編集] 外部リンク

[編集] 世界の学会

• 世界行動療法認知療法会議（World Congress of Behavioural and Cognitive Therapies : WCBCT）
• 国際認知療法学会（International Association for Cognitive Psychotherapy : IACP）
• アメリカ行動認知療法学会（Association for Behavioral and Cognitive Therapies : ABCT）
• ヨーロッパ行動認知療法学会（European Association for Behavioural and Cognitive Therapies : EABCT）
• イギリス行動認知療法学会（British Association for Behavioural and Cognitive Psychotherapies : BABCP）

[編集] 国内の学会

• 日本認知療法学会
• 日本行動療法学会
• 日本行動分析学会

[編集] 研修機関

• 東京認知行動療法アカデミー
• 洗足ストレスコーピング・サポートオフィス