防御率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
防御率(ぼうぎょりつ)は、野球で投手を評価する数字の一つ。登板数や、味方の打撃力、守備力などの違いが、他の指標に比べれば若干あらわれにくいので、一般的に最も重視される。
目次 |
[編集] 概要
投球回に分数1/3、2/3を含む場合は、整数部分だけでなく分数部分も含めて計算する。一般的に、上記の式で算出された数値の小数第3位を四捨五入し、第2位までの値を表示する。防御率をランキングで表示するとき、小数第2位まで同じ値だが厳密には値が異なっているような投手が2人以上いる場合には、小数点以下第3位以降も異なる値になるまで表示する。
[編集] 備考
現在では上記のように数学的に正しい算出方法がとられているが、電卓が普及する以前は、計算を簡便にするために、投球回の分数部分を切り上げたり、四捨五入したりしてから計算していた時期がある。また、自責点を投球回で割った後に四捨五入してから9を掛けるというような計算も公式に行われていた。このため、過去の選手の記録では、誤った数値が公式記録とされているので、改めて計算しなおす場合には注意が必要である。
- 防御率=(自責点×9×3)÷(投球回×3)
という式で防御率を計算するようになった。この計算方法では、最初に投球回に3を掛けることで投球回の端数をなくし、最後に除法を行うので、計算途中で無限小数が現れることがなく、四捨五入などを行う必要がない。そのため、電卓などを用いずに正しい値を計算したい場合には、この式を使うのがよい。
なお、投球回が0(記録上は0/3)で自責点が1以上の場合、防御率は計算不能(0での除算は出来ない)となるため、数字の代わりに横線が記される。
[編集] 日本プロ野球
[編集] 通算記録
通算投球回2000以上
順位 | 名前 | 防御率 | 順位 | 名前 | 防御率 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 藤本英雄 | 1.90 | 11 | 杉浦忠 | 2.39 |
2 | 野口二郎 | 1.96 | 12 | 皆川睦雄 | 2.42 |
3 | 稲尾和久 | 1.98 | 13 | 渡辺省三 | 2.44 |
4 | 若林忠志 | 1.99 | 14 | 小山正明 | 2.45 |
5 | ヴィクトル・スタルヒン | 2.088 | 15 | 中尾碩志 | 2.48 |
6 | 村山実 | 2.092 | 16 | 江夏豊 | 2.49 |
7 | 別所毅彦 | 2.18 | 17 | 川崎徳次 | 2.53 |
8 | 荒巻淳 | 2.230 | 18 | 秋山登 | 2.60 |
9 | 杉下茂 | 2.232 | 19 | 長谷川良平 | 2.646 |
10 | 金田正一 | 2.34 | 20 | 藤村隆男 | 2.652 |
[編集] シーズン記録
各年度規定以上
順位 | 名前 | 所属 | 防御率 | 達成年 |
---|---|---|---|---|
1 | 藤本英雄 | 東京巨人軍 | 0.73 | 1943 |
2 | 景浦將 | 大阪タイガース | 0.79 | 1936秋 |
3 | 沢村栄治 | 東京巨人軍 | 0.81 | 1937春 |
4 | 野口二郎 | 大洋軍 | 0.88 | 1941 |
5 | 林安夫 | 朝日軍 | 0.887 | 1943 |
6 | 森弘太郎 | 阪急軍 | 0.889 | 1941 |
7 | 野口二郎 | 翼軍 | 0.930 | 1940 |
8 | 景浦將 | 大阪タイガース | 0.931 | 1937春 |
9 | 須田博 | 東京巨人軍 | 0.97 | 1940 |
10 | 村山実 | 阪神タイガース | 0.98 | 1970 |
ちなみにシーズン史上最悪防御率は斉藤和巳が2004年に記録した6.26である。
[編集] アメリカメジャーリーグ
- シーズン最優秀防御率 1914年 ダッチ・レナード(ボストン・レッドソックス) 0.96(1901年以降)
- 通算最優秀防御率 1904年-1917年 エド・ウォルシュ 1.82(1000投球回以上)