非球面レンズ
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非球面レンズ(ひきゅうめんれんず)とは、球面のみならず曲面で出来ているレンズの総称。 球面レンズに比べて収差を小さくすることができる。
[編集] 概要
球面のみで構築されたレンズによって収束させられた像には、様々な収差と呼ばれる現象が付随する事が知られている。写真ではこの収差によって像がぼやけるといった弊害が起こる事が知られており、カメラおよびレンズのメーカーは、これを抑えるために屈折率の異なるレンズを複数利用したり、特殊な屈折効果の知られている蛍石を用いた蛍石レンズを使用したりしてきた。しかしながら、レンズの枚数の増加による重量化や蛍石が高価であるなどの問題があり、安価な位置付けのカメラレンズには十分に収差対策を施せないのが実情であった。一方で、レンズ面の加工次第では複数枚のレンズを組み合わせたのと同等あるいは蛍石レンズに近い収差補正効果が得られる事が研究によって明らかであったが、技術的、機械的な制約から実現できずにいた。
レンズ加工技術の発展によりレンズ面の非球面加工が可能になり、一般的なガラス素材による非球面レンズが生産可能となった。
非球面レンズの普及により、安価な位置付けのカメラレンズや上位機種のコンパクトカメラにおいても十分な収差対策を施せるようになった。