ASTURIAS
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ASTURIAS(アストゥーリアス)は、大山曜を中心とするプログレッシブ・ロックユニットである。
名前の由来は、イサーク・アルベニスによる「スペイン組曲」の第二曲「ASTURIAS」から。
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[編集] 略歴
[編集] デビューから活動休止まで
ASTURIASは初期のマイク・オールドフィールドやエグベルト・ジスモンチ等の影響を受けた大山曜のソロプロジェクトとして、1988年にキングレコードのプログレ系レーベルからデビュー、多重録音の手法を使って3枚のアルバムをリリースした。しかし、セールスが振るわなかったことと、3作目の「Cryptogam Illusion」がある程度満足できる仕上がりになったことで、活動休止へと至る。
セールスが振るわなかった理由の一つとして、当時の大山がライブ開催に興味を持てなかったことがあり、実際のところ、いったん活動を休止するまでの5年間で3回しかライブを行っていない。これには、多重録音によって作られた楽曲はライブで再現しにくいという背景もあった。
[編集] 2003年の活動再開以降
10年近く活動を休止していた大山であったが、楽曲制作の仕事の中で知り合った北辻みさ(ヴァイオリン奏者、現在は脱退)、筒井香織、川越好博との出会いをきっかけに、三人とともにアコースティック編成によるユニット「Acoustic ASTURIAS(アコースティック・アストゥーリアス)」を結成。翌年にはミニアルバム「Bird Eyes View」をリリースし、本格的な活動を再開した。
その後は積極的にライブ活動を行っており、海外へも二回の遠征を果たしている。
[編集] 二種類の編成
現在、ASTURIASには多重録音によるElectric ASTURIAS(エレクトリック・アストゥーリアス、通称「エレアス」)と、アコースティック楽器による編成のAcoustic ASTURIAS(アコースティック・アストゥーリアス、通称「アコアス」)の二つの形態が存在している。
[編集] Electric ASTURIAS
エレアスは、多重録音もしくは通常のバンド編成によるもので、三枚目までのアルバムはこのスタイルで録音された。この初期の三枚には、当時ZABADAKで活動していた上野洋子などもゲストとして参加している。
今後、久しく途絶えていたエレアスとしての新アルバムの制作が予定されている。
参加していたレギュラーメンバーは以下の通り(1993年当時)。
- 津田治彦 (electric guitar)
- 花本彰 (keyboards)
- 桜井和美 (drums, percussion)
[編集] ディスコグラフィ
- Circle in the forest (1988)
- Brilliant Streams (1990)
- Cryptogam Illusion (1993)
- 静寂の湖水 (1999) ※キングレコードが企画したコンピレーション盤
[編集] Acoustic ASTURIAS
アコアスは文字通りアコースティック楽器による編成である。エレアスとは異なる点はその編成のみならず、大山の曲とともに筒井や川越の楽曲も演奏している点が挙げられ、ユニットとしての性格が強くなっていることが伺える。
メキシコで行われたプログレフェスティバル「BajaProg2005」出演の際には、プログレッシブ・ロックバンド「FANTASMAGORIA」の藤本美樹が臨時参加し、伊藤恭子が加入するまで一時的にヴァイオリン奏者を務めた。
アコアスのライブ活動は活発に行われている。最近ではクラシックのコンサート(よんでん文化振興財団主催「ふるさとコンサート」)にも特別出演し、好評を博した。
2006年11月には、avex ioからメジャーデビューという形でアルバム「Marching Grass On The Hill」をリリースした。
現在アコアスに参加しているレギュラーメンバーは以下の通り(加入順)。
- 筒井香織 (clarinet, recorder)
- 川越好博 (piano)
- 伊藤恭子 (violin)
[編集] ディスコグラフィ
- Bird Eyes View (2004)
- Marching Grass On The Hill (2006)
[編集] 音楽の特徴
一般的にはプログレとして紹介されており、大山曜のASTURIASに対する認識も、デビュー以来一貫して同様である。他方で “Ryu-Hyo(流氷)”や“Nostalgia”、“Mistral Island”といった楽曲のイメージからか、いわゆる「癒し系」という俗称で括られるような、広義の意味でのニューエイジミュージックやイージーリスニングに近い位置にあるとも目されており、キングレコードやavex ioもそのような売り込み方をしている(この宣伝に関しては、日本ではプログレがあまり「受けない」ということも一因と思われる)。また、以上のような状況を総合して「癒し系の皮を被ったプログレ」などと見る向き[1]もある。ともあれ、プログレにしても他の二つにしても定義が曖昧であり、その解釈や範囲については人によって異なることから、カテゴリーについて厳密に検討するのは不毛であると思われるが、それだけASTURIASの音楽が越境性の強いものであるとも言えるだろう。
大山は2005年初頭にアルゼンチンのプログレ系ウェブサイト「Nucleus」からインタヴュー[2]を受けているが、その際に自らの音楽の特徴を以下の三点に要約して説明している。
- 楽曲として適切に構築されたインストゥルメンタルが中心。難解さを目的とはしておらず、できる限りリスナーにとって分かりやすいものとなっている。インプロヴィゼーションはほとんどなく、また、アバンギャルド的ではない。
- 神秘的、シリアスであるとともにクールで美しい雰囲気を持ちあわせ、なおかつドラマティックである。
- クラシック的な器楽と電子楽器が融合している。
また、このインタヴューの中で大山は、「作曲の際には、よく自然の情景を想像します。文学からインスピレーションを受けることもあります」と語っている。
[編集] 外部リンク
- ASTURIAS the official web-site
- ASTURIAS Blog
- Alphonte(筒井香織)
- MIT Revolutions - Movie 短時間ではあるがアコアスの演奏とインタヴューを見ることができる。
- Poseidon - 海外プログレライブ報告
- avex io
[編集] 注
- ↑ BS日テレの音楽番組「MIT Revolutions」のMC、Mark氏のBlog http://m7blog.exblog.jp/2590608
- ↑ “Deep Beauty”- Interview with the Multi-player Yoh Ohyama, http://www.nucleusprog.com.ar/ingles/r-asturias.htm
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