BREW
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BREW(ブリューまたはブリュウ、ブルー、Binary Runtime Environment for Wireless)はCDMA携帯電話向けアプリケーションのプラットフォームである。cdmaOne、CDMA2000の開発元であるQualcommが開発したもので、同社の登録商標となっている。
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[編集] BREWの特徴
携帯電話向けアプリケーションのプラットフォームとしてはJ2MEが広く使われているが、BREWとJ2MEには以下のような違いがある。
- 開発言語 - J2MEはJava言語を使用するが、BREWはC/C++を使用して開発する。
- ファイルシステム - BREWはファイルシステムを利用できる。
- ネットワーク機能 - J2MEはHTTPクライアント機能のみだが、BREWはUDP・TCPサーバ、TCPクライアントとしての機能を有する。(ただし、MIDP2.0にはTCP、UDPのAPIはある。)
- J2MEよりも実行速度が速いため、マイクロプロセッサの能力が低くてもプログラムコードを高速で実行することが出来る。
- BREWにはガベージコレクションのようなメモリ管理機能がないため、プログラマがメモリを管理する必要がある。また、文字列クラスやコレクションクラスも用意されていないため自前で実装する必要があるなど、J2MEと比較するとプログラミングの難易度は高い。
- 端末情報の取得 - 端末内の型番や着信・発信履歴の表示、電池残量等の取得ができる。
- ネイティブコードのためCPUごとにコンパイルが必要である。
- BREW2.1からBREW EXTENSIONという機能がありネットワークを通して必要なプログラムが自動的にダウンロードされる機能がある。例としてマスコットカプセルエンジン ver3.0/4.0やQRコードなど。
日本では、2006年現在au (KDDI) の携帯電話のほとんどがEZアプリ (BREW) を使用している。 携帯電話による実機での動作テストはBREW ApploaderとよばれるツールでBREWアプリと認証(sigファイル)を転送ケーブルにより携帯電話に転送する。また転送先の携帯電話を転送モードに設定する必要がある。しかし、BREW Apploaderの利用、sigファイルの生成、転送モード設定は現在公式プロバイダのみ行うことができ、いわゆる勝手アプリという一般ユーザーが作ったアプリを配布及び携帯電話での実行はできない。ただし、PC上のエミュレータまでなら可能。また、公式プロバイダであっても検証合格前のBREWアプリをネットワーク経由で携帯端末にダウンロードすることはできない。 セキュリティ上、検証機関の審査を受け合格したアプリケーションのみが利用することができる。
NTTドコモも2005年8月5日発売のSA700iSで導入された(ブラウザやJava、ナビゲーションアプリを動作させるOS的な環境として導入したものであり、ユーザがBREWアプリをダウンロードできるものでも、ドコモとしてBREWを導入するものではない。)。
[編集] バージョンについて
2006年現在
- BREW 2.0
- 非QVGA液晶搭載端末向け。
- BREW 2.1
- QVGA液晶の端末に対応。データフォルダやカメラ機能との連携も可能になった。
- BREW Extensionという機能が追加された。ネットワークを通して必要なプログラムが自動的にダウンロードされる機能である。例:マスコットカプセルエンジン。このExtensionにより3D描画が可能となる。
- BREW 3.0
- 外部メモリからサウンドや写真などのファイルにアクセス可能になり、シリアルまたはUSBを使ってパソコンにアクセスする機能が付加された。BREW3.0は世界中で利用されず、Qualcommのヒストリからは削除された。現在はSDKのダウンロードも出来ない。
- BREW 3.1
- 現時点での最新バージョン。BREW 3.0を基本にマルチメディアコンテンツのアクセス機能やバリュー課金と呼ばれるコンテンツ購入機能などが追加された。
上記機能は一般的なBREWの仕様に関する記述であり、必ずしも各キャリアやメーカが全ての機能を実装している訳ではない。
[編集] 主なアプリ(EZアプリ)
[編集] 関連するソフトウェア
- SophiaFramework:BREW向けC++クラスライブラリ - BREWアプリケーションをC++プログラミング言語で開発するためのC++クラスライブラリ
- SophiaCompress(BREW):BREWアプリ圧縮ツール - BREWアプリケーションのサイズを実行形式のまま圧縮するBREWアプリ圧縮ツール