Mac OS
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Mac OS(まっくおーえす)とは、アップルコンピュータのマッキントッシュと共に登場したオペレーティングシステムのこと。GUIの普及に大きく貢献したOSである。現在のOSは技術的に直系ではないMac OS Xであるため、単にMac OSといった場合は概ねバージョン9までのクラシックOSを指す。この記事でも基本的にクラシックOSについて記述する。
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[編集] 概要
発表当時マッキントッシュはハードウェアとソフトウェアが不可分な存在であり、当初はMacのOSのことを便宜的にSystem(日本では漢字Talk)と呼んでいた。Mac OSという呼称は一般に広く使われていたものの、正式なものではなかった。Mac OSという呼び名が通称から正式なものになったのは、1997年1月Mac OS 7.6がリリースされたときである。Macintosh互換機の普及とともに、MacのハードとOSを明確に区分する必要が生じたことによる。その後アップル社の方針転換によりMacintosh互換機は市場から姿を消したが、Mac OSという名前はその後のアップルのOS製品に引き継がれている。
ビットマップディスプレイとマウスの利用を前提としたり、オーバーラップするマルチウインドウやメニュー操作、マルチスタイルフォントに代表されるWYSIWYG表示など、Xeroxで1970年代に研究開発されていた暫定Dynabook環境(SmalltalkをOSとして動作するAlto)から多くの特徴を拝借してはいたが、マウスボタンを一つに限って操作体系を簡略化にしたり、プルダウンメニューやゴミ箱を発明するなど、多くの独自のアレンジを加えることで使い勝手を向上させ、なにより、GUIというものをコンピュータの世界に広く浸透させた功績は大きい。
また、Macに追従してマウスが付きはじめた他のパーソナルコンピュータでは、アプリケーションソフトのGUIのデザインは統一性が全くない時代が長く続いたが、Macでは最初のモデルからアプリケーションソフトの開発環境で、そのデザインの正則となる材料(Macintosh Toolbox)を定め、アプリケーションソフトのGUIのデザイン開発をある程度まで標準化/作法化したことで、ひとつのソフトが使えれば、他のソフトも使えるというコンピュータ利用の形態を、パーソナルコンピュータにおいて初めて可能にした。
[編集] 歴史
技術の進歩に伴いMac OSも様々な変化を遂げている。その内容は概ね3つの時期に分かれる。
- System 1~6 Macintosh登場当時の直系。画面は白黒ベース。ファイルシステムにHFSを採用したり、Finderが疑似マルチタスクになるなどの変化はあるが、基本設計は変わっていない。機能は貧弱だがGUI OSとしては動作が軽快であり、メモリ消費が少ない。このため68000を搭載したMacではSystem 6を使うのが一般的である。ちなみにSystem 5というバージョンはない。これはSystem 6において、FinderとSystem自体のバージョンを統一するという方針によるものであった。2011年にはシステムクロックの表示がリセットされてしまう。
- System 7系列 画面がカラー化され、幾分華やかな印象となった。システム全般が大幅に改良される。疑似マルチタスクの全面採用、仮想メモリ、ドラッグ・アンド・ドロップの標準化、QuickTimeの標準搭載、音声認識、テキスト読み上げ、AppleScript、発行と引用、QuickDraw GX、PowerTalk、OpenDoc、QuickDraw 3Dなど、最新技術が次々投入された。しかしその分システムが不安定になった面は否めず、後にWindows 95との競争で不安材料の元となってしまう。また主に経営陣の問題から、部署ごとでバラバラに技術を作るだけでそのまま放置されるケースが目立つ。それらの矛盾はCopland計画で一挙に噴出することとなった。
- Mac OS 8,9 Macintoshの未来はRhapsody計画(後のMac OS X Server 1.0)に向かうことが決まり、それまでのつなぎとしてシステムの近代化が図られる。Mac OS 8では、Finderがマルチスレッド化し、ゴミ箱を空にしたりファイルをコピーしている最中でも、Finderでほかの作業ができるようになった。また、フォルダナビゲーション、ポップアップウィンドウといった機能がインターフェースに追加され、デスクトップピクチャが実装されるなど、見た目が立体的で斬新な印象になった。コンテクストメニューが標準採用されたほか、PowerPCへの最適化、インターネットとの親和性強化(TCP/IPは7.5から搭載されている)がなされた。その後はCoplandプロジェクトで開発されたもののうち、使えそうな技術からHFS+、ナビゲーションサービス、キーチェーン、疑似マルチユーザ機能などが順次採用された。真のマルチタスク/マルチスレッド対応ではない為、Mac OS Xに比べて一部の動作がかなり軽快に感じられることなどから、現在でもMac OS 9を愛用する層が存在する。時期的にWindows XP/Mac OS X両者の影に隠れがちだが、Mac直系OSの到達点として評価は高かった。
[編集] 得意分野
Mac OSは画像処理を非常に得意としており、デザイナーや出版業界、グラフィッカーなどの間で広く愛用されている。
そのほかの画像処理を得意とする理由としては、Lisa のためにビル・アトキンソンが中心となって開発したグラフィックルーチン LisaGraf が Macintosh に移植され、 QuickDraw としてはじめの機種から ROM の状態で搭載された。その完成度の高さから、かねてからグラフィックスに強いOSだとされてきた。グラフィックルーチンは Mac OS X から PDF をベースとした Quartz に替わったが、互換性を考慮して現在も残されている。
[編集] デスクアクセサリ
デスクアクセサリ(Desk Accessary、DA)は、Systemと呼ばれていたころのMac OSにおいて、使用中のアプリケーションとは別に起動しておける小物的なアプリケーションのこと。
当時、Mac OSはシングルタスクであった。そのため、別のアプリケーションを使用するには一旦終了させなければならない。これは、搭載していたメモリが少なかったことに起因する。
デスクアクセサリは起動と終了の手間を省くための手段として用意された。デスクアクセサリはわずかなメモリしか使わないため、使用中のアプリケーションとは別に起動しておくことができるため、このころのMacには欠かせないものだった。 そういったこともあり、小物の位置づけであるにもかかわらず多機能なデスクアクセサリが多数開発された。 Mac OSにあらかじめ搭載されていたデスクアクセサリもある。Mac OS 9まで残された「計算機」や「スクラップブック」がそうである。
[編集] 使用方法
デスクアクセサリを使用するためには、まず「Font/DA Mover」と呼ばれるユーティリティでシステムにインストールする。インストールしたデスクアクセサリはアップルメニューから起動できるようになる。
OSが疑似マルチタスクになるとデスクアクセサリは不要になり、アップルメニューはアプリケーションやファイルを起動するためのランチャーとなった。Mac OS 9まではデスクアクセサリのランチャーであったことの名残だということがうかがえる。
[編集] アーキテクチャー
[編集] 関連項目
- Mac OS X
- Mac OS X Server
- Classic環境 (OS X上のMac OSエミュレーション)
- Apple Share IP