SAMSON (雑誌)
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SAMSON(サムソン)とは、海鳴館の出版する日本のゲイ雑誌の一つで、中年・壮年~高年齢(老け専)や肥満体型(でぶ専)男性を好む傾向が強い雑誌である。創刊間もない頃は若者やスリム体型を中心に進められたが1980年代後半からは方針を転換し現在の傾向に至っている。(なお、季刊誌・豊漫と増刊号・DAVEは同じ海鳴館から出版されており、豊漫は明らかに高年齢のモデルに絞ったもの、DAVEは若デブ専門誌として月刊誌・サムソンから分岐したものとみなすことができる)掲載されるモデルの体型は中年で太目を基本に幅広く網羅している。
ゲイビデオの紹介やグラビア、官能小説の掲載に加えて、年齢層が他のゲイ雑誌より高い事もあり、インターネットを使えない読者の為の文通欄や「お父さんのためのインターネット講座」と言ったユーザーフレンドリーな企画もあるが、過去のゲイ雑誌と異なる点はやはりグラビア、ビデオモデルを高年齢や肥満体型に絞る事で差別化を図っている点である。近年は特に老け専傾向化が顕著である。しかし、この老け専傾向については異論もある。サムソンは1980年代後半から30-50代の太目モデルをメインに起用しており、この傾向は現在も大きく変わるわけではない。他紙のモデルと比べて明らかに中年以降のモデルが多数掲載されているとはいえ、他紙との比較で「老け専」と決めてしまう点に難がある。いわゆる老け専は初老以降の男性を好む傾向を指すが、サムソンモデルの中年・太目の傾向と重なってしまうのは当然であろう。編集部は老け専に特化する意思を示しているわけではないが、結果として他紙よりも年齢層が高いモデルを掲載・出演させていることになる。
日本のゲイ雑誌の中では中期に創刊した雑誌だが、先行他社の「さぶ」「アドン」「薔薇族」が次々と休刊(事実上の廃刊、薔薇族にいたっては2回休刊している)し、発刊中のゲイ雑誌では一番古いものになっている(2006年1月現在)ある時期を境にページ数を大幅に増やす変更を行っており、それに伴ってグラビアページ、広告数も増えて内容も充実したものになった。(ページの増刷は今は無き編集長の決断である)
パソコン普及以前はだいこくが表紙画を努め、その独特で力強い筆致には定評があった。漫画は特に新人の投稿作品が他誌に比べ敷居も低いせいか掲載が多いが、他誌でも活躍する小日向やTORU、一般誌でも活躍する熊田プウ助、山田参助やイラストレーターの高蔵大介等も漫画や小説の挿絵を描いている。
読者メッセージには読者のメッセージに対し特定の編集者(現在はフリー)が毒舌でコメントを返し、それがこのコーナーの名物でもあった。この編集者がサムソンを退社後、現在は複数の編集者によるコメントが並列され、多少毒のあるコメントから営業的なコメントまで幅が広い。
松村邦洋などの「デブタレント」が無断で写真モデルや表紙イラストとして使われ、本人が困惑したこともある。また、本人の承諾を得ずに読者好みと思われる太目体型(若年~中年~老年)の写真を掲載している。編集側には悪意が無いと思われる。
タレント松村邦洋は進め!電波少年の時に企画として、自分そっくりの人物イラストが無断でサムソンの表紙にされたことを受け、インタビューをすべくロケで直接編集部をたずねたが編集部はビルの入り口に「電波少年おつかれさまでした」とやんわり断りの張り紙をして拒否の意思を示した(当然ロケはなされなかった)。またタレント石塚英彦も他の番組の企画でサムソン編集部を訪れたがその時はロケに応じる代わりに石塚のグラビア撮影とインタビューを載せる条件で合意し、サムソンには石塚のグラビア(着衣)とインタビューが載せられた。
また、古くから自社制作SAMSON ViDEOのアダルトビデオも製作・販売しており、一定の支持を受け続けている。これらの撮影は基本的に編集者1人で行うため、内容の構成・カメラワークなどは編集者(撮影者)のセンスが現れている。また、モデル1人に対し、編集者(撮影者)1人の場合はいわゆるハメ撮りの場合もあり、そのため編集者が他の編集者に自分の撮影シーンを見られたくないため、とビデオ撮影の特集で説明していた。
最近は レーベルブックスマルからサムソンと似た傾向のDVDを製作し、出演しているモデルもSAMSON ViDEOと同様の中年~老年の太目のモデルを起用し、SAMSON ViDEOよりも若干、廉価にて提供している。