アングロサクソン年代記
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アングロサクソン年代記(アングロサクソンねんだいき)は、古代イングランドの出来事を記した書籍である。紀元1世紀から1154年までを扱っており、写本によっては紀元前60年にガーイウス・ユーリウス・カエサルがブリテン島に遠征したという(史実とは年時が異なる)記述がある。噂の類もかなり含まれていて史料として比較的信憑性は低いが他書には載っていない情報も記されている。「アングロサクソン」(Anglo-Saxon)の名前は後代につけられたもので1692年の初版では「Chronicum saxonicum」という題である。現在はインターネット、書籍で原文、訳文、注釈等が公開されており直に調べることができる。
[編集] 写本
現存する写本は9つ(うち2つは複製)で、8つは全編が古英語で1つがラテン語訳を含む。最古のものは「パーカー本」(Parker Chronicle)でマシュー・パーカー(Matthew Parker)が所有していたとされる。「ピーターバラ本」(Peterborough Chronicle)には初期の中英語が見られる。
- A:パーカー本、The Parker Chronicle (Corpus Christi College, Cambridge, MS. 173); Cottonian Fragment (British Museum, Cotton MS. Otho B xi, 2)
- B:アビングドン本1、The Abingdon Chronicle II (British Museum, Cotton MS. Tiberius B i.)
- C:アビングドン本2、The Abingdon Chronicle II (British Museum, Cotton MS. Tiberius B i.)
- D:ウースター本、The Worcester Chronicle (British Museum, Cotton MS. Tiberius B iv.)
- E:ロード本(ピーターバラ本ともいう)、The Laud ( "Peterborough") Chronicle (Bodleian, MS. Laud 636)
- F:バイリンガル・カンタベリー本(英・羅の二語で書かれている)、The Bilingual Canterbury Epitome (British Museum, Cotton MS. Domitian A viii.)
- H:コットン本断片、Cottonian Fragment (British Museum, Cotton MS. Domitian A ix.)
- I:イースター・テーブル本、An Easter Table Chronicle (British Museum, Cotton MS. Caligula A xv.)
写本Aは13,4度伝写されたとみられ、最初の伝写は891年まで遡れることから年代記の成立は大体9世紀のアルフレッド大王の代とされる。
[編集] 外部リンク
- グーテンベルク・プロジェクト、アングロサクソン年代記
- オンライン・中世古典図書館より、現代英語訳
- ジョージタウン大学迷宮図書館、アングロサクソン年代記
- The Cambridge History of English and American Literature(1907-21年、第一巻)よりアングロサクソン年代記(bartleby.com)
カテゴリ: 古代ゲルマン | イングランドの歴史 | 歴史書 | 歴史関連のスタブ項目