カードヒーロー
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トレード&バトル カードヒーローは、任天堂が2000年に発売したゲームボーイカラー用ゲーム。 トレーディングカードゲーム(以下TCG)を題材としたオリジナルゲームである。
ゲーム雑誌のファミ通で殿堂入りとして前評判が高く発売されたが、子供向けを意識した独特なキャラクタのデザインと購買層の設定が曖昧だったため、思うようには売れなかった。このため、生産本数はかなりの本数だったので今でも新品が投売りの状態で買えることがある。 まったく同じルールでTCGも製作されたが、あまり知られていない。
デッキごとの駆け引きの面白さや詰め将棋にも似た思考パターンなど、ゲームシステムとしては完成度が高く、携帯機のカードゲームとしてはNo.1と推すコアなファンも存在する。 また、ストーリー部分をチュートリアルにしたり、劇中に架空のテレビ番組を流すなど、演出にも工夫がこらされている。 2ちゃんねるなどの掲示板などでも今でもスレが立ち、ニンテンドーDSでの復活を望む声が多い。
ゲームボーイカラー版カードヒーローはストーリーを進める中でルールや戦略を教えてくれる仕組みになっており、カードゲームをあまり知らない人でもやりやすい内容になっている。
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[編集] 特色
本作の特徴として、TCGによくある「属性による相性」が存在しないことが挙げられる。
マジック・ザ・ギャザリングをはじめとするTCGの多くは、それぞれのカード(キャラクター)が5-6種類程度の属性に区分され、ある属性に対しては強いが、別の属性には弱いといったジャンケンに似た相関関係が存在することが多い。その結果、一定の状況に対応するために必要なカードが限定されてしまう傾向がある。本作ではそうした属性による優劣が存在しないため、「入れなければならないカード」は基本的に存在せず、デッキごとの相性で勝負が決定する(すべてのキャラクターが生涯現役というわけではない)。
もうひとつの特色はストーンの存在である。
ストーンは毎ターン3個ずつ補充され、キャラクターの召還やキャラクターおよびマスターの「とくぎ」を使う際に消費される。いわゆる他のTCGにおける「マナ」や「エネルギー」のような存在といえる。また、ストーンはマスターのHPやキャラクターのレベルにも使われている。そのため、闇雲に攻撃を繰り返すと、倒したキャラクターやHP分のストーンが相手の手元に戻ることになり、その結果手痛いしっぺ返しを食らうこともある。互いのストーンの増減はフィールド上で確認できるため、相手がどのタイミングでマジックカードや「とくぎ」を使ってくるかを常に予測し、対応策を練っておく必要がある。
さらに、フィールドが8マス(それぞれのプレイヤー側に2×2マスのフィールド)しかなく、デッキも最大で30枚のカードで構成されるなど、非常にコンパクトな構成になっている。一見すると寂しげな印象を受けるが、実際にプレイしてみると思いがけない戦略の幅に驚かされる。これはキャラクターによって攻撃できる場所が限られていることによるもので、プレイヤーは前衛と後衛を巧みに使い分け、相手の攻撃を避けつつ相手の陣営を崩したりといった臨機応変な選択眼が要求される。
『きあいだめ』という効果もある。これは、「1ターン活動しなかったモンスターは、ターン終了時に『きあいだめ』状態になり、1パワー分強く、または1ダメージ分の攻撃への防御効果を持つ」というものである。ただし、いずれかの効果が使用されると『きあいだめ』状態は終わるので注意が必要である。この『きあいだめ』をうまく活用することが上達への近道である。 なお、モンスターカードは場に配置してから登場するまで1ターンかかる。カード状態のモンスターはキャラクターとはみなされず、当然ながら『きあいだめ』も起こらない。
モンスターをレベルアップさせるためには、モンスターを倒せばよい。レベルアップによってスーパーカードという強力なモンスターに進化できるカードもあり、そのモンスターがデッキの主力となる場合が多い。
また、ゲームボーイカラー版カードヒーローでは、総数114種といわれる全カードのコンプリートも目標の一つである。ほとんどのカードはゲーム中で購入できるブースターパック(1パック3枚入り)で揃えることができるが、単にパックを買うだけではコンプリートは不可能である。これは、ゲーム開始時にランダムに決められるID番号によって、パックからは出現しないカードがあるためである。(例:『ポリゴマ』『シゴトにん』『ジャレス』のうち、どれかがパックからは出ない等)。
さらに各々のカードにはレアリティ(手に入れやすさ)が☆~☆☆☆☆☆までの5段階で定められており、このうちレアリティ☆☆☆☆☆(超レア)のカード四種は店での購入ができない。これらを入手するためには対戦後のカード交換または、店の中にある《ブレンドくん》と呼ばれる装置を使う必要がある。また、ナンバー002のカードは特殊な方法でしか入手できないが、ある意味では最強とも言えるカードであるかもしれない。
[編集] バトルの主な流れ
序盤
1ターン目……先攻の場合、配られた3つのストーンを使って3体のモンスターを呼び出しておくのが定石である。基本的には前衛のモンスターを2体、後衛のモンスターを1体出す。 後攻の場合も同じく、前衛2体、後衛1体を呼んでおく。
2ターン目……先攻のモンスターが準備状態からウェイクアップされる。ただ、ほとんどのモンスターはレベル1では直接相手マスターにダメージを与えることはできない。これはマスターの持つ『2パワー分のシールド』の効果によるものである。そのため、後衛にもう一体モンスターを召喚し、その他のモンスターはきあいだめ状態にしておこう。 そして後攻の2ターン目。主にここからモンスター同士がぶつかり合う。まずは相手の前衛モンスターのきあいだめを外し、さらに後衛モンスターで相手モンスターを攻撃する。そして後衛にもう1体モンスターを呼び、ターン終了である。
中盤
ここからは自分のモンスターのレベルを上げ、相手マスターの体力を削っていこう。当然相手はレベルアップした自陣のモンスターを集中攻撃してくるし、自分は相手側のレベルの高いモンスターを潰していくようにする。どちらかの体力が少なくなってきたら、いよいよ終盤に突入だ。
終盤
相手マスターの体力を0にしよう。『パワーアップ』や『サンダー』などのマジックカードを駆使し、相手に勝とう。
[編集] 戦略
ここでは、基本的なカードの組み合わせ方や、それに対する対策をいくつか掲載する。なお、それぞれのカードに関する細かい説明は省略する。なお、+は同ターン中に使い、⇒は次ターンでの使用を表す。
①ポリゴマ+ハードシールド⇒バーサクパワー
もっとも基本的な組み合わせの一つ。ポリゴマはHPが3しかないが、『二回こうどう』の特技を持つため非常に役に立つ。二回こうどう自体、「きあいだめ+マスターへ攻撃」というコンビを使えるが、なにせ体力が3のため、このままでは相手に瞬殺されてしまう。それを防ぐために『ハードシールド』*1を使う。それでも次の相手のターンではポリゴマは集中攻撃され、HPは1残るか、あるいは相手に倒されるだろう。1残った場合、マジックカード『バーサクパワー』*2を使い、きあいだめ+攻撃のあとでフィールドから消してしまって、その場所に新たなモンスターを呼ぼう。または、あらかじめポリゴマの後ろにボムぞうなどの前衛モンスターを呼んでおき、ポリゴマがいなくなったあときあいだめ状態で前に来るようにする方法も使える。相手がこのコンビを使ってきそうなら、『ハードシールド』がかけられていても、とにかくポリゴマを倒してしまおう。発展系としてより上位の『バウンシールド』を使うことがある。
*1このシールドをかけられたモンスターが受けるダメージは、敵の攻撃力-1になる。*2一度の行動にのみ、かけられたモンスターの攻撃力を+1する。ただし、かけられたモンスターの攻撃後、そのモンスターのHPを-1する。
②ガスキン+パワー2
ガスキンはとにかくレベルを上げたいが、*3レベル1の段階でのパワーが1ではかなり使いづらい。そこでパワー2を使って攻撃力を2にし、少しでも強い状態にしておこう。パワー2そのもの自体かなり使えるので、デッキに入れているならぜひとも使ってみてはいかがだろう。相手でこのコンビを使う者は少ない。
*3Lv.1,2,3とあがると、攻撃力が2ずつ上がり、Lv.3のガスキンは、敵にとって脅威である。
③ペンスキー+ガァガ
このコンビで、相手の強い前衛をやっつけよう。*4ペンスキー+ブラックレインも同様。また、ペンスキー+あっかんべもなかなか使える。敵モンスターに『バウンシールド』*5をかけ、どちらかが倒れるまで攻撃させるという荒技もある。
*4『ペンスキー』は、ダメージを受けると、攻撃者に関わりなく前のモンスターを攻撃する『やつあたり』という特性がある。*5このカードをかけられたモンスターが、攻撃されたとき、ダメージの半分(切捨て)を攻撃者に跳ね返す。
④バイバイ+ウェイクアップ
戦力ダウンを防ぐためのコンビ。ただ、消費ストーンが痛い。
⑤へんしんミラー+へんしんミラー
使うタイミングが難しいへんしんミラー。相手がスーパーカードを出してきたときがチャンス。こちらのモンスターを二体スーパーカードに変身し、マスターを攻撃しよう。または、相手のスーパーカードを自陣の弱めのカードに変身させてしまう手も強力。
⑥なぞえもん+てんしのラッパ+エルゴマ
使うのはプロルール、終盤。ストーンが大量にある、手札にカードがある、という難しい条件が必要だが、成功すれば必ず逆転できるだろう。
⑦ならべかえ+ドロー5(リフレッシュ)
『ならべかえ』で欲しいカードをデッキの上に持ってきたら、『ドロー5』『リフレッシュ』で即座に引く。
[編集] マスター
各マスターには、そのコンセプトにあった特技を持つ。
- マスター
Jrルールでのみ使用可能。モンスターを操る力。と、マスターシールド以外の力はない。
- ホワイトマスター
Jrルール以外で使用可能。マスターの力と3つの特技を持つ。
『ハードシールド』『ウェイクアップ』『ヒーリング』
- ブラックマスター
Jrルール以外で使用可能。マスターの力と3つの特技を持つ。
『バーサクパワー』『かまいたち』『だいちのいかり』
- ワンダーマスター
Jrルール以外で使用可能。マスターの力と3つの特技を持つ。
『バウンシールド』『ローテーション』『???』 最後の特技は『ウェイクアップ』『ヒーリング』『リターン』『リフレッシュ』『ドロー5』『でなおし』 の6つの中から自分で選ぶ。
[編集] カード一覧
- モンスター&マジック全35種
- 001マナトット
- 002パパトット
- 003ゲッティ
- 004ポンカー
- 005ポポンカー
- 006ウォータ
- 007タコッケー
- 008ボムゾウ
- 009ボムノスケ
- 010コワイル
- 011ワイルダー
- 012シゴトにん
- 013ジャレス
- 014ジャレット
- 015ポリゴマ
- 016エルゴマ
- 017ビヨンド
- 018ルージュ
- 019マッコイ
- 020ヤンバル
- 021ガンター
- 022ドガンター
- 023ヴァルテル
- 024ケッコウ
- 025スライ
- 026ヒーリング
- 027ハードシールド
- 028パワーダウン
- 029ウェイクアップ
- 030でなおし
- 031ドロー5
- 032レベルチェンジ
- 033バーサクパワー
- 034サンダー
- 035パワーアップ
- マジカルワールド(TCG版は「マジカル"ハイパー"ワールド」)全31種
- 036レイラ
- 037レイババ
- 038ラッティ
- 039ドラッティ
- 040ヤミー
- 041ガンガラ
- 042ドンガラ
- 043クロロウ
- 044コカッパー
- 045カッパラー
- 046チャーミ
- 047スッピーン
- 048チュトロ
- 049ぎんじ/ハッピー
- 050アップル
- 051ルースター
- 052クレア
- 053テレポ
- 054ラティーヌ
- 055かまいたち
- 056バイバイ
- 057フエルストーン
- 058とくぎふうじ
- 059パワー2
- 060あくまのダンス
- 061だいちのいかり
- 062ワープ
- 063ゆうだち
- 064ハイヒーリング
- 065あっかんべ
- 066てんしのラッパ
- ストレンジカインド全23種
- 067ラブレー
- 068ゲイリー
- 069ヌンチャ
- 070ガサッツ
- 071ラオン
- 072レオン
- 073ビター
- 074スイート
- 075ペンスキー
- 076ダイン
- 077おやこだま
- 078ジャベール
- 079トリゴミー
- 080キエルストーン
- 081シャッフル
- 082ハリケーン
- 083ならべかえ
- 084マッドファイア
- 085ゆうわく
- 086ぷよシールド
- 087ローテーション
- 088おまもり
- 089にゃあお
- スーパーインクルード(TCG版は「スーパーインクルージョン」)全21種
- 090カップン
- 091ガブッチョ
- 092ヤンペロン
- 093なぞえもん
- 094ドンチャン
- 095ガスキン
- 096ウズフラー
- 097ガァガ
- 098ナイリー
- 099リフレッシュ
- 100ジアーゲン
- 101ブラックレイン
- 102かげぬい
- 103リターン
- 104バイコストーン
- 105バウンシールド
- 106おはらい
- 107きあいだめ
- 108みがわり
- 109へんしんミラー
- 110モーガン
以下は、GB版に登場しないカードである。
- B01ズガンター
- B02マスターチェンジ
- W01シトラス
- W02かげ呪い
[編集] お勧めデッキ
各マスター、プロルール仕様のデッキを一種ずつ紹介する。なお、これが最強というわけではないことは承知してもらいたい。
ブラックマスター
ダイン×3、ガスキン×3、ポリゴマ×3、ビター×2、ぎんじ×2、ボムゾウ×2
モーガン×3、ナイリー、ヤンバル×2、にゃあお
エルゴマ、ゆうだち、パワー2、てんしのラッパ、バウンシールド×2、へんしんミラー、きあいだめ
ホワイトマスター
ダイン×3、ジャレス×3、ポリゴマ×3、ビター×3、ヤミー、ぎんじ、なぞえもん
モーガン×3、ナイリー、ヤンバル×2、にゃあお、ジャベール
ジャレット、エルゴマ、ゆうだち、てんしのラッパ、ブラックレイン、へんしんミラー、きあいだめ
ワンダーマスター
ラオン×3、レオン×3、ダイン×3、ビター×3、ボムゾウ×3
モーガン×3、ナイリ-、ヤンバル×2、ジャベール、クレア
ボムノスケ、パワー2、てんしのラッパ、ならべかえ、へんしんミラー、きあいだめ
[編集] ストーリーモードでの登場キャラクター
- ひろし
主人公(名称変更可能)。のんびりした性格で、カードヒーローに興味を持つ。
- とめぞう
主人公の祖父。ひろしが生まれてすぐに渡米し、最近帰国。
- クミちゃん
主人公の幼馴染。強気な性格で、ひろしを引っ張る。
- 門マサル
ゲームの中で放送されているアニメの主人公。
- デロデーロ
マサルの宿敵で、「デロデロ団」のボス。しかし正体は・・・。
- マルヒゲヤ店長
カードショップ「マルヒゲヤ」の店長。ここでカードを買っていく。
- ためお
ひろしに無理やり勝負を挑んでくる。「タコッケー」が大好き。
- クラマさん
お金持ちの老人。「クラマクラブ」のオーナー。
- こまい
クラマクラブのチャンピオンだったが、ひろしに敗れる。「ポリゴマ」の使い手。
- すぎやま
こまいに勝つために、お金をはたいて「サンダー」を手に入れたクラマクラブメンバー。
- あみちゃん
面倒見の良い女の子。ひろしに戦略のアドバイスをしてくれる。
- ゆういち
あみちゃんのいとこ。小学1年で、クラマクラブ最年少。
- タクミさん
デッキ作りのアドバイスをしてくれたり、自分と全く同じデッキを使うパソコンと対戦させたりしてくれる。「ルージュ」のカードを大量に集めている。
- シロウ
ひろしのクラスメイトで、クラマクラブ8人目のメンバー。
- としお
クラマさんの孫。「ジョーカーズ」を結成して悪行を繰り返してきたが、ひろしに破れて改心。
- マスターX
ワンダーマスター(3個目の能力はリターンを選択)を使う最強の敵。今まで無敗だったが・・・。