キャビア
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キャビア(英語、フランス語:caviar;ロシア語:черная икраチョールナヤ・イクラー)はチョウザメの卵の塩漬け。世界三大珍味の一つに数えられる。
おもな産地はロシアで、特にカスピ海とアムール川が有名だが、カスピ海はイランにも面しているため、イラン産のキャビアもよく知られている。古くは、ヨーロッパ沿岸河川、北米大西洋沿岸でも商業的に生産された。カスピ海に生息するチョウザメの種類によって卵の粒の大きさとブランド価値が異なる、大きい順にベルーガ(Beluga・オオチョウザメ)、オシェトラ(Oscietra・ロシアチョウザメとシップチョウザメ)、セヴル-ガ(Sevrugaホシチョウザメ)キャビアと呼ばれる。その他の地域に生息するチョウザメ種からもキャビアは生産される。
ベル-ガ … 蝶鮫の中で最も大きく、体長は3~4mにも達し、体重300Kgを超えるものもある。普通は100~200Kgで体重の約15%がキャヴィア、産卵するのに20年かかり、近年漁獲量が減少し、希少価値が高い。 キャヴィアの特徴は大粒で、色は濃淡はあるが灰色で明るい色ほど好まれる。皮は柔らかくマイルド。
オシェトラ … 中型の蝶鮫で、カスピ海に生息する2種類のチョウザメ(ロシアチョウザメ・シップチョウザメ)を指す。体長2m、体重40~80Kg。中には体長2m、。産卵するまでに12~13年要する。キャヴィアの特徴は中粒で、色は茶色がかった灰色からゴ-ルドまで変化に富む。ナッツの味が珍重されている。
セヴル-ガ … 最も小型で、スマ-トな形。口先が尖っているのが特徴。体長は最大で1~1.5m、体重は25Kgを超えることは滅多にない。産卵までに平均8~9年と比較的成熟が早い。キャヴィアの特徴は小粒で、色は暗灰色。繊細で独特な風味がある。
一般の輸入キャビアでは保存期間を長く保つため7~10パーセントの塩分濃度で塩漬処理されているが、キャビア本来の味がその強い塩分に負けてしまう。原産国での本来の味は3~5パーセント前後。しかし、低い塩分濃度で処理を施すため保存期間が短く(約3週間保存可能)。ヨーロッパ向けとして防腐剤としてホウ酸を添加する。国内輸入品としてホウ酸の添加は出来ないので、流通を考慮して、国内輸入後リパック(分封)され、低温殺菌処理される。殺菌は、密閉できるガラス瓶等にキャビアを入れ、60℃で約20分ほど湯煎する。この、低温殺菌処理によりキャビア本来の風味と食感が変わるので、低温殺菌されたキャビアを「パスチャライズ・キャビア」低温殺菌されないキャビアを「フレッシュ・キャビア」と分けて呼ばれる。
最近では、チョウザメの漁獲高が激減しているために値段が高騰しており、問題になっている。チョウザメ類は成長に長い年月がかかり、また成熟してからも非常に長い寿命を生きて何度も繁殖する動物であるが、漁獲してキャビアを採取すると個体を殺してしまうため、何十回分もの繁殖の可能性を一度に奪うことになる。これはやはり魚卵が珍重されるが、繁殖が生涯に1度だけであるサケと大きく異なる点である。それ故、キャビア漁業は乱獲に陥らないように厳しい資源管理を必要とする。しかしソ連崩壊後のロシアではチョウザメ資源の管理体制が崩壊して闇市場での流通が激増し、個体群によっては無秩序な乱獲により絶滅に瀕するに至った。その結果、2006年のカスピ海産のキャビアの国際取り引きはワシントン条約事務局によって当面禁止された。 これにより、世界的に、キャビアの需要と供給は大きなギャップかかえることとなり、先進諸国を中心に90年代より大規模なキャビア養殖がはじまっている。養殖種は、北米太平洋に生息するシロチョウザメ(米国、イタリア、パラグアイ等)、シベリア・レナ川産のシベリアチョウザメ(フランス、ドイツ、中国等)が多く、また、各国に生息する種類も養殖される。日本などでもチョウザメの養殖が試みられており、成果を収めつつあるが、その主な種は「ベステル」と呼ばれる雑種である。
偽物のキャビアであるイミテーションキャビアも存在しており、アブルーガキャビア(ニシンの卵)、ランプフィッシュキャビア(ダンゴウオ科の大型種、ランプフィッシュの卵)が流通している。
一般的にはキャビアとはチョウザメの卵の事を指すが、フランスでは別の意味に魚卵の総称でキャビアと使用する場合がある。
[編集] 国産キャビア
国内でも養殖によるキャビアの生産が行われている。釜石市などが出資している第三セクターの「サンロック」(岩手県釜石市)が2003年12月に日本初の商品化に成功している。同社の養殖チョウザメは、アムールチョウザメ、シロチョウザメが多く、ベステルは少ない。