グリコーゲン
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グリコーゲンとは、多数のα-グルコース(ブドウ糖)分子がグリコシド結合によって重合し、枝分かれの非常に多い構造になった高分子である。動物における貯蔵多糖として知られ、動物デンプンとも呼ばれる。植物デンプンに含まれるアミロペクチンよりもはるかに分岐が多く3残基に一回の分岐となる。直鎖部分の長さは12~18残基、分岐の先がさらに分岐し、網目構造をとる。日本語で糖源とも。
グリコーゲンは肝臓と骨格筋で主に合成され、余剰のグルコースを一時的に貯蔵しておく意義がある。糖分の貯蔵手段としてはほかに、脂肪とアミノ酸という形によるものがある。 脂肪酸という形でしかエネルギーを取り出せない脂肪や、合成分解に窒素代謝の必要なアミノ酸と違い、グリコーゲンは直接ブドウ糖に分解できるという利点がある。 ただし、脂肪ほど多くのエネルギーを貯蔵する目的には向かず、食後などの一時的な血糖過剰に対応している。 グリコーゲンの合成・分解は甲状腺、膵臓、副腎がそれぞれ血糖に応じてチロキシン、グルカゴン及びインスリン、アドレナリンなどを分泌することで調整される。 なお、肝臓で合成されたグリコーゲンと骨格筋で合成されたそれとでは分子量が数倍異なり、前者のほうが大きい。
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[編集] 性質
- 熱水、ホルムアミド、ジメチル硫酸に可溶。冷水、アルコールに不溶。
- 分子量1×106から1×107程度(グルコース残基で6,000から60,000程度)
- ヨウ素デンプン反応における呈色は褐色~赤色。
- ヒトの肝臓には約100gのグリコーゲンが含まれ、約600kcalのエネルギーに相当する。
[編集] 生合成
グルコースより、グルコキナーゼ (EC 2.7.1.2)・ヘキソキナーゼ (EC 2.7.1.1)、ホスホグルコムターゼ (EC 5.4.2.2)、UTP-グルコース-1-リン酸ウリジリルトランスフェラーゼ (EC 2.7.7.9)、グリコーゲンシンターゼ (EC 2.4.1.11) の作用により合成される。分枝は1,4-α-グルカン分枝酵素 (EC 2.4.1.18) により形成される。
EC 2.7.1.2 : ATP + D-hexose = ADP + D-hexose-6-phosphate
EC 2.7.1.1 : ATP + D-glucose = ADP + D-glucose-6-phosphate
EC 5.4.2.2 : a-D-glucose-6-phosphate = a-D-glucose-1-phosphate
EC 2.7.7.9 : UTP + a-D-glucose-1-phosphate = diphosphate + UDP-glucose
EC 2.4.1.11 : UDP-glucose + (1,4-a-D-glucosyl)n = UDP + (1,4-a-D-glucosyl)n+1
EC 2.4.1.18 : Transfers a segment of a 1,4-a-D-glucan chain to a primary hydroxy group in a similar glucan chain
[編集] その他
グリコーゲンを効率的に貯蔵することをスポーツ医学ではグリコーゲン・ローディングまたは、カーボ・ローディングと呼ぶ。グリコーゲンの貯蔵を増やすことで、グリコーゲン枯渇による運動能力の限界を上げるために用いられる。前処理としてグリコーゲン枯渇を起こし、グリコーゲン合成能力を上げた後、炭水化物食品を摂取する古典的方法や、炭水化物とグリコーゲン分解を阻害するクエン酸とを同時に摂取する高速ローディング法などがある。
[編集] 関連項目
- 糖原病 - グリコーゲンの代謝障害で引き起こされる異常
- 江崎グリコ - 「江崎グリコ」の「グリコ」は「グリコーゲン」に由来