ゲームマスター
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ゲームマスター(Game Master、GMとも)とは、テーブルトークRPGにおける、ゲームの進行を取り仕切る人物のこと。また、オンラインゲームにおいて管理者としての権限を持つ者を指す言葉としても用いられる。
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[編集] テーブルトークRPGにおけるゲームマスター
テーブルトークRPGにおけるゲームマスターは、参加者の1人でありながら、「ゲームの進行を取り仕切る」という映画の総監督のような役回りになる。一般的にゲームマスターは、ゲームの筋道を用意し、プレイヤーをまとめつつ、ルールを運用し、ゲームを展開する。D&Dではダンジョンマスターと呼ぶ。この他にも、ゲームシステムによって「ジャッジ」「レフェリー」「ストーリーテラー」「ルーラー」「キーパー」「DD」など、さまざまな呼称がある。
同じゲームの参加者であるプレイヤーと比較すると、「事前の準備」「ゲームの進行」「各プレイヤーへの配慮」等、その労力は大きい。故に、プレイヤー専門でGMはやらない、という者も少なくはない。このような問題を緩和する試みとして、GMにはその労力に見合った報酬(多くの場合、プレイヤーとなった際に利用できる経験点)が与えられる、というシステムも日本には存在する(主としてF.E.A.R.の製品に見られる)。
また、ゲームマスターの進行手法(マスタリングと呼ぶ)は、上のように自己の裁量で行うところが多いため、個人差が大きい。そのため、TRPG愛好者の間では、マスタリング手法の傾向によってゲームマスターを分類して、これに様々な俗称をつけることがある。例えば日本では、自分が用意した物語を一方的に押し付ける(プレイヤーに選択の自由を与えない)者を「吟遊詩人マスター」、事前に筋道やデータの準備をほとんどしない者を「アドリブマスター」などと呼ぶ。これはどちらも極端な者を指しているので、あまり良い意味では使われない(ゲームマスターはアドリブを行うことが要求されるが、それだけで全て処理するのは望ましくないとされている)。
[編集] ゲームマスターに求められる事
- ゲームの準備(実際にゲームする日よりも前に行う事が多い)
- ゲームの進行
- 準備したシナリオを元に、プレイヤーに対して情景や状況の説明・描写・演出を行う。
- シナリオやルールに基づき、プレイヤーが決めたPCの行動に対応する。必要なら、プレイヤーをそれとなく誘導する。
- (想定外の行動をプレイヤーが取った場合、適宜アドリブにて対応する)
- ルールを適切に運用し、ルール想定外の事態については状況に応じて柔軟に対応する。
- NPCがいる場合、それらを適切に運用する。
- 各プレイヤーへの配慮
- プレイヤーが望む事を汲み取り、可能であれば反映する。
- 特定のプレイヤーを贔屓せず、差別的にも扱わず、全プレイヤーに公平であるよう留意する。
[編集] オンラインゲームにおけるゲームマスター
個人運営のゲームの場合は、ゲームの管理者とほぼ同義である。ゲームの運用を行い、不正ユーザに対処し、ユーザの要望に適切に対応し、さらに処理プログラムの開発やメンテナンス、あるいはゲームデザインそのものを行う場合もある。テーブルトークRPGにおけるゲームマスターと異なり、「参加者の1人」という位置付けになる場合は少ない。
商用のオンラインゲームにおけるゲームマスターは、名称や個人運営のオンラインゲームでの印象からゲームの管理者と取られがちだがゲームの管理者ではなく、主にサポートスタッフのことを指す。 一般的なゲームマスターの仕事内容は他業種でいうところのヘルプデスクに近く、サポートする内容はゲーム内に関係する事柄に限定されているのが特徴。 (他プレイヤーからハラスメント行為を受けた、キャラクターの持っているアイテムが消えてしまった、プレイヤーのクレーム処理など) 場合によってはゲームマスター専用のコマンドを駆使してプレイヤーを意のままにすることができるゲームもあるため、ゲーム内では絶対の存在に見られることが多いが、あくまでもサポートスタッフであり、ゲームの管理者ではない。そのため、ゲーム内容を1ゲームマスターの権限で変更するなどということは無い。 さらにゲームに関連する事柄であっても、ハードウェアについてなどのゲーム外になる質問に答えることは基本的に無い。この場合はテクニカル・サポートなど専門の部署がサポートの担当になる。
しかし、実際の仕事内容は運営会社によってまちまちである。 ゲームマスター専用のコマンドを駆使してインイベントを実行、テクニカル・サポート相当のゲーム外の質問に答える、NPCなどの会話を二次・三次翻訳、運営公式WEBサイトの更新作業、アップデート時のデバッグ作業、公式WEBサイト掲示板のモデレータ、など。 特に外国産のゲームを小さな会社が日本国内で運営するパターンのオンラインゲームでは、ゲームマスターが上記のようなサポートスタッフ以外の仕事を兼務する傾向が強い。
このようにゲームによってまちまちな仕事内容の場合があるためか、大抵のオンラインゲームの公式WEBサイトにゲームマスターはどのような仕事をするものか掲載されていることが多い。
[編集] 商用のオンラインゲームのゲームマスターの名称の起源
商用のオンラインゲームにおけるゲームマスターの呼称が誕生したのは、エレクトロニック・アーツ株式会社が運営するウルティマオンラインがアルバイトの募集でゲームマスターと公式サイトに明記したことが初めてとされており、その後オンラインゲーム業界ではウルティマオンラインの例を真似たかどうかは不明だが、これ以降ゲームマスターという呼称が定着することになる。
[編集] 注意事項
なお、ギルドが存在するオンラインゲームでは、GMは「ギルドマスター」(ギルドの管理者)もしくは「ギルドメンバー」(ギルドの構成人)の略称としても使われることが多い。