ダンジョンズ&ドラゴンズ
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ダンジョンズ&ドラゴンズ (Dungeons & Dragons : 略称は"D&D")とは、ファンタジー系テーブルトークRPGであり、世界で最初かつ最大のロールプレイングゲームである。
アメリカのTSR社が1974年に制作・販売した。その後、何度か改版を重ねたが、1997年にウィザーズ・オブ・ザ・コースト(Wizards of the Coast:略称WotC)社がTSR社を買収して以降は同社より販売されている。2000年には大幅に変更を加えた第3版が発売された。
日本では新和が1985年に邦訳版を発売してサポートを行ったが、1993年時点でメディアワークスに翻訳出版の権利が移行した。しかし上記のTSR社買収のため1998年で契約は打ち切られ、メディアワークスによる日本語のD&Dは商品展開半ばで姿を消した。だがアメリカでの第3版発売とその大ヒットにより状況は大きく変わり、ホビージャパンが2002年より第3版の日本語版を制作・販売するに至った。その後もホビージャパンは日本のTRPGとしてはかなりの頻度でD&D製品を発売し続けている。
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[編集] 系譜
最初の発売以来、ルールシステムに幾度かの改訂を重ねており、その過程でいったんダンジョンズ&ドラゴンズ(日本のユーザーの間で通称、赤本・青本等の呼ばれ方をした)とアドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ(Advanced Dungeons & Dragons : 略称はAD&D)の2つに分かれた。前者は簡潔さを重視した製品であるのに対し、後者は広範な状況を再現できるように多数のルールやデータを持つものだった。
2000年には第3版(D&D 3rd Edition : 通称D&D3e)が発売されているが、これはAD&Dの流れの上での「第3版」であり、従来D&Dと呼ばれていたゲームとは異なった思想と構造を持つシステムになっている。これに伴い以前のD&Dのシリーズは「クラシック」と銘打たれるようになった。
現在、第3版の改定版として、第3.5版が2003年に発売されている(日本語版は2005年に発売)。
- ダンジョンズ&ドラゴンズ初版
- Dungeons & Dragons (一般に Original Dungeons & Dragons と呼ばれる)
- ダンジョンズ&ドラゴンズ シリーズ
- Dungeons & Dragons (第2版)
- Dungeons & Dragons (第3版)
- Dungeons & Dragons (第4版)…邦訳は新和版
- Dungeons & Dragons Rules Cyclopedia(第5版)…邦訳はメディアワークス版
- Classic Dungeons & Dragons GAME(第6版)
- アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ シリーズ
- Advanced Dungeons & Dragons 1st edition
- Advanced Dungeons & Dragons 2nd edition(第2版)…邦訳は新和版
- Dungeons & Dragons 3rd edition(第3版)…邦訳はホビージャパン版
- Dungeons & Dragons V3.5(第3.5版)…邦訳はホビージャパン版
- (D&D第5版までおよびAD&D第2版まではTSR社より販売された)
以下、特に付記のない限り、第3版(D&D3e、2000年)および第3.5版(D&D3.5eもしくはD&D V3.5、2003年)に関して述べる。
[編集] ゲームの概要
成功判定には20面ダイス1個を用いる。ただし、この他にもダメージ決定などで4面、6面、8面、10面、12面、20面まで6種類の多面体ダイスを使用する。
また、第3版に改定された際、基本ルールが大きく変更・整理された。この第3版以降のD&Dは、WotC社によるd20システムを導入し、WotC社から提示された条件を満たすことで他社はd20システム関連製品を制作・販売できるようになっている。そのため、D&D以外のTRPGでも幅広く使用されるようになった。
プレイヤーは、まず人間、エルフ、ドワーフなどの種族を選択し、次にファイター(戦士)、ウィザード(魔法使い)、クレリック(僧侶、聖職者)、ローグ(盗賊、密偵)などのクラス(キャラクターの種別)を選択しキャラクターを作成する。
第3版以降においては、キャラクターは「特技(Feat)」という選択式の能力を作成時及び一定レベルごとに得る。
レベルアップ時には既に選択したものとは別のクラスを選び、複数のクラスを持つ「マルチクラス」も可能で、特定の条件を満たす事で「上級クラス(Prestige class)」を選択する事も出来る。
なお、クラシックではエルフ、ドワーフなどの種族はそれ自体がクラスであり、ファイターなどのクラスは原則的に人間のみである。また、マルチクラスなどのルールも存在していない。
[編集] 背景世界
D&Dは当初はダンジョン探索が中心のゲームだったこともあり、背景となる世界については重視されていなかった。ルールブックでも背景世界については大まかな指針が示されるだけで、ダンジョンマスターの裁量に委ねられる部分も多かった。しかし、緻密な背景世界グローランサを持つ『ルーンクエスト』をはじめ、特徴的な背景世界を持つテーブルトークRPGが増えてくると、D&Dでもドラゴンランスをはじめとしてさまざまな背景世界が発表されていった。
以下に代表的なものを挙げる。
- グレイホーク (Greyhawk)
- ゲイリー・ガイギャックスが創造したワールドで、D&Dの背景世界としては最古のもの。第3版では標準の背景世界となった。
- フォーゴトン・レルム (Forgotten Realms)
- 地域ごとに詳細なデータが提供され、膨大な規模を誇るワールド。この世界を舞台にした小説やコンピュータゲームも多い。
- ドラゴンランス (Dragonlance)
- 『ドラゴンランス戦記』などの小説が人気を博し、小説を中心に展開されたワールド。
- ミスタラ (Mystara)
- クラシックD&Dの舞台として展開されたワールド。古代ローマ風の国やヴァイキングの国、遊牧民の国など、多様な文化圏の国々が存在する。
- またこのワールドのサプリメントのガゼッタシリーズはサプリメントごとに様々な追加ルールが発表されており、Rapid Fireなど三版以降の速射(Rapid Shot)特技の元になった技能やWrath of the Immortals(神々の怒り)というサプリメントにおいては信仰特典というクレリックが信仰する神によって様々な信仰特典を得られるルールなどAD&D2NDのスペシャリティープリーストや3版以降の領域(Domain)特典の先駆と見られるルールがあり後のD&Dへの影響が色濃く見られる
- エベロン (Eberron)
- アイデアを一般から募集し、1万を超える応募の中から選ばれたワールド。
- その他
- バースライト (Birthright)
- ダーク・サン (Dark Sun)
- プレーンスケープ (Planescape)
- レイブンロフト (Ravenloft)
- スペルジャマー (Spelljammer)
[編集] ラインナップ(書籍)
英語で書かれているものは未訳である。
[編集] 基本セット
- プレイヤーズハンドブック/Players Handbook(「PHB」と略称されることもある)
- ダンジョンマスターズガイド/Dungeon Masters Guide(「DMG」と略称されることもある)
- モンスターマニュアル/Monster Manual(「MM」と略称されることもある)
[編集] サプリメント
- モンスターマニュアルII/Monster Manual II
- 次元界の書/Manual of the Planes
- Psionics Handbook
- Deities and Demigods
- Epic Level Handbook
以後は3.5版対応
- プレイヤーズ・ハンドブックII/Players Handbook II
- Dungeon Masters Guide II
- Monster Manual III
- Monster Manual IV
- Planar Handbook
- サイオニクス・ハンドブック/Expanded Psionics Handbook
- Unearthed Arcana
[編集] クラス・サポート・ブック
- Sword and Fist: A Guidebook to Fighters and Monk
- Defenders of the Faith: A Guidebook to Clerics and Paladins
- Tome and Blood: A Guidebook to Wizards and Sorcerers
- Song and Silence: A Guidebook to Bards and Rogues
- Masters of the Wild: A Guidebook to Barbarians, Druids, and Rangers
以後は3.5版対応
- 戦士大全/Complete Warrior
- 信仰大全/Complete Divine
- 秘術大全/Complete Arcane
- 冒険者大全/Complete Adventurer
- Complete Psionic
- Complete Mage
[編集] アクセサリー
- キャラクター作成ガイド/Hero Builder's Guidebook
- 武器・装備ガイド/Arms and Equipment Guide
- 挑戦の書~ダンジョンの部屋、パズル、罠/Book of Challenges: Dungeon Rooms, Puzzles, and Traps
- 不浄なる暗黒の書/Book of Vile Darkness
- D&D Gazetteer
- Enemies & Allies
- Stronghold Builder's Guide
- Savage Species:Playing Monstrous Heroes
- Fiend Folio
- Ghostwalk Campaign Option
- Oriental Adventures
- Dragonlance Campaign Setting
- D&D Map Folio 1
- D&D Map Folio 2
- Map Folio 3-D
- 30 Years of Adventure: A Celebration of Dungeons & Dragons
以後は3.5版対応
- 高貴なる行ないの書/Book of Exalted Deeds
- Lord of Madness
- Draconomicon
- Libris Mortis: Book of the Undead
- Fiendish Codex I: Hords of the Abyss
- Fiendish Codex II: Tyrants of the Nine Hells
- Frostburn
- Sandstorm
- Stormwrack
- 石の種族/Races of Stone
- 宿命の種族/Races of Destiny
- 自然の種族/Races of the Wild
- Races of the Dragon
- Tome of Magic: Pact, Shadow, and Truename Magic
- Tome of Battle: the Book of Nine Swords
- Dragon Magic
[編集] グレイホーク関連
- グレイホーク・ワールドガイド/Living Greyhawk Gazetteer
- 冒険シナリオ 邪悪寺院、再び/Return to the Temple of Elemental Evil
[編集] 冒険シナリオシリーズ
- 地底の城砦/The Sunless Citadel
- 秘密の工房/The Forge of Fury
- 夢でささやく者/The Speaker in Dreams
- 環状列石の謎/The Standing Stone
- 夜牙塔の心臓/Heart of Nightfang Spire
- 現れた地下都市/Deep Horizon
- 鋼鉄城の主/Lord of the Iron Fortress
- 迷える魂を喰らう者/Bastion of Broken Souls
以後は3.5版対応
- 赤い手は滅びのしるし/Red Hand of Doom
[編集] フォーゴトン・レルム関連
- フォーゴトン・レルムワールドガイド/Forgotten Realms Campaign Setting
- フェイルーンのモンスター/Monster Compendium: Monsters of Faerûn
- フェルイーンの魔法/Magic of Faerûn
- Lords of Darkness
- Into the Dragon's Lair
- Pool of Radiance: Attack on Myth Drannor
- Faiths & Pantheons
- Silver Marches
- City of the Spider Queen
- Races of Faerûn
- Unapproachable East (Forgotten Realms Accessories)
- Forgotten Realms Dungeon Master's Screen
以後は3.5版対応
- フェイルーン・プレイヤーズ・ガイド/Player's Guide to Faerûn
- アンダーダーク/Underdark
- Serpent Kingdoms
- Shining South
- Lost Empires of Faerûn
[編集] エベロン関連
- エベロン・ワールドガイド/Eberron Campaign Setting
- エベロン・プレイヤーズ・ガイド/Player's Guide to Eberron
[編集] ディアブロ2関連
- Diablo II: Diablerie
- Diablo II: To Hell and Back
[編集] d20システム関連
- d20モダン/d20 Modern
[編集] 日本オリジナル
- 君が作る街、トーチ・ポート
- Seven tales of Adventures
- A Seven-game Match
[編集] 関連作品
[編集] コンピュータゲーム
D&Dを元にコンピュータゲーム化した作品が多数作られている。以下、代表的なものを挙げる。
- Pool of Radiance (Westwood/SSI、日本語版:ポニーキャニオン)
- Eye of the Beholder (Westwood/SSI、日本語版:ポニーキャニオン)
- Eye of the Beholder II (Westwood/SSI、日本語版:カプコン)
- Eye of the Beholder III (SSI、日本語版:ビング)
- Baldur's Gateシリーズ (Interplay、日本語版:セガ)
- Tower Of Doom (カプコン)
- Shadow over Mystara (カプコン)
- Icewind Dale (Interplay、日本語版:セガ)
- Neverwinter Nights (BioWare/ATARI、日本語版:セガ)
- Dungeons & Dragons Online (Turbine Entertainment/ATARI、日本版運営:さくらインターネット)
[編集] 映画
- ダンジョン&ドラゴン
- ダンジョンズ&ドラゴンズの一般的な世界観をモチーフとしたアメリカ映画で、2001年公開。日本への紹介時、国内映画界の慣例に従い複数形の発音が省かれ『ダンジョン&ドラゴン』となっている。
- 制作:ジョエル・シルバー、監督:コートニー・ソロモン、出演:マーロン・ウェイアンズ、ソーラ・バーチ、ジェレミー・アイアンズ他。
- ストーリーや世界観の表現や演出、特撮面、演技面などのいずれも巷の評価は決して高いとは言えない。
- ダンジョン&ドラゴン2(原題:DUNGEONS & DRAGONS THE ELEMENTAL MIGHT)
- 1作目同様、アメリカで制作された。アメリカではソフト発売で公開はされていない。日本では、2006年10月劇場公開。近年のCG技術の進化とともに、1作目よりも映像的迫力がある。また、本作の方がダンジョンズ&ドラゴンズの世界観により近い形で作成されている。
- 制作:コートニー・ソロモン、監督:ゲリー・ライブリー、出演:マーク・ダイモン、クレメンシー・バートン=ヒル、ブルース・ペイン他。
[編集] 小説
- ドラゴンランスシリーズ
- マーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマンによるファンタジー小説の連作。
- フォーゴトン・レルムシリーズ
- グレイホークシリーズ
[編集] 外部リンク
- Dungeons & Dragons Roleplaying Game Official Home Page (英文)
- ダンジョンズ&ドラゴンズ日本語版公式ホームページ
- ダンジョンズ&ドラゴンズ・オンライン:ストームリーチ
- ダンジョンズ&ドラゴンズ小説・日本公式サイト
- ダンジョン&ドラゴン2映画・日本公式サイト
- D&D Wiki
- CDS:PE