シャンパン
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シャンパン または シャンペン(Champagne)とは、フランスのシャンパーニュ地方特産の発泡ワインである。
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[編集] シャンパンとは
現在、主に使われるブドウの品種は、ピノ・ノワール(Pinot Noir)、シャルドネ(Chardonnay)及びピノ・ムニエ(Pinot Meunier)の3種類であるが、この3種しか使えないというのは根拠のない俗説である。正しいAOC(原産地呼称統制)による定義では、アルバンヌ(Arbanne)、プティ・メリエ(Petit Meslier)、及びピノ(Pinot)系の全てのブドウが指定品種になっている。シャルドネが指定品種の中に含まれていないのは、シャンパンがAOCに指定された1919年当時は、ブドウ品種の分類に関する研究があまり進んでおらず、シャルドネはピノ系のブドウと思われていた為である。
シャンパンの呼称は、日本では発泡ワインを総じて指されることも多いが、本来は「シャンパーニュ産の発泡ワイン」にのみ許されたものである。AOC(原産地呼称統制)の規格に則って製造された発泡ワインだけが、シャンパンと名乗ることを認められる。かつて日本ではこれに似せて作られた清涼飲料水を「シャンパン」と名付けて販売していたことがあるが、これに対してはフランス政府からの抗議があり、シャンメリーという名称に変更された。
シャンパンは産地、原料、製法が限定されるが、シャンパーニュ以外の地方で作られた発泡ワインも合わせてその総称をヴァンムスー(Vin Mousseux)と呼ぶ。
フランスのシャンパーニュ協会ではシャンパンの正式名称として「シャンパーニュ」を推奨している。
シャンパンは生産者毎に番号が振られており、ラベルに記載される。
- (例:KRUG、NM225-001)
最初2桁のアルファベットは、生産者の形態を表す。
- NM:Negociant Manipulant(ネゴシアン マニピュラン)、ブドウの一部または全量を購入して製造する会社。
- RM:Recoltant Manipulant(レコルタント マニピュラン)、自社のブドウだけで製造する会社。
- CM:Cooperative Manipulant(コーポラティブ マニピュラン)、シャンパーニュ生産者の協同組合。
- RC:Recoltant Cooperative(レコルタント コーポラティブ)、ブドウ栽培者の協同組合。
- SR:Societe de Recoltant(ソシエテ ド レコルタント)、同族のブドウ栽培者によって構成される会社。
[編集] シャンパンの製法
シャンパンは最も多くの場合、黒と白の葡萄の配合によって造られる。白葡萄で主に使用されるのはシャルドネ種であり、黒葡萄でよく使用される2種類はピノ・ノワールと、ピノ・ムニエである(近年、上記以外のフロモントー(Fromonteau)、アンフュメ(Enfume)などの品種が使われている銘柄も存在する)。
赤ワインの色合いはその果皮に由来するため、果汁は手早く搾られ、白い果汁が取り出される。「ロゼ」または「ピンク」のシャンパンは、黒葡萄の果皮を微かに色付けのために与えた後に取り出すセニエ方式、または、瓶内二次発酵前に赤ワインの添加によって造られる。シャンパンに使用される葡萄は一般に、糖度が低く酸の強い、比較的早い時期に摘み取られる。
最初の発酵は秋に、非発泡性ワインと同じ方法で行われ、果実に含まれる糖分がアルコールへと転換される。これが「ベース・ワイン」となるが、このワイン自体は酸味が強過ぎて面白みに欠ける。この時点で、様々な畑の、あるいは、「ノン・ヴィンテージ・シャンパン」の場合には様々な年のワインを使ったブレンド(アッサンブラージュ)が行われる。
ブレンドされたワインは、発酵を促進するため蔗糖の入ったシロップが加えられ(ティラージュ、tirageと呼ばれる作業)、瓶の中に置かれ、発酵のために最初横に寝かせてワインの貯蔵室にピュピートルと呼ばれる台に差し込み保管される。発酵により二酸化炭素が発生し、瓶内に閉じ込められ、ワインの中に溶け込む。瓶は保管されている時に、「ルミアージュ」と呼ばれる、毎日微かに(1/8)回転させながら徐々に倒立した状態にさせられる過程を経験し、澱が瓶の首の部分に集められ除去が可能となる。出荷が近づくと瓶の口を氷点下25度に冷却し、ほんの一瞬栓を抜くことで澱が除去(デコルジュマン)される。冷却せずに手作業で澱を除去する昔ながらの方法もある。目減りした分はワインやシロップで補充される。このときのシロップの比率で甘口か辛口かが決まる。この製法を取るため、シャンパンは悪酔いを起こしにくいとも言われる。この方法が(世間的にはクリコ夫人によって)編み出されるまで、シャンパンは今日でも時折見掛けるmethode ancestral とラベルに書かれたものの様な品性であり、冴えなかった。
甘さを調整する為様々な量のシロップが添加され(ドサージュ、dosageという工程)、瓶にコルクで栓がされる。最も甘口のものは「ドゥー」(doux)と呼ばれ、辛口になるにつれて「ドゥミ・セック」(demi-sec)、「セック」(sec)、「エクストラ・セック」(extra sec)、そして「ブリュット」(brut)がある。従ってエクストラセックを直訳した「極辛口」のシャンパンは実際には、ブリュットと書かれたものよりは甘いのである。幾つかの製造者は「エクストラ・ブリュット」(extra brut)、あるいは、砂糖を添加しないものも造っている。この作業はシャンパーニュ造りの終りの工程であるため、門出のリキュールと呼ばれる。
製品は最低でも一年寝かせるまでは、法的に出荷が禁止されているが、より長い方が望ましい。「ヴィンテージ・シャンパン」は、最低3年寝かせる事が決められている。
[編集] シャンパンを用いた料理
- シュークルート・ア・ラ・シャンパーニュ Choucroute à la Champagne - 仏語:シュークルート(独語:ザワークラウト)は、通常では白のアルザスワインで煮るが、これの代わりにシャンパンで煮る贅沢な料理。レストラン(ブラッスリー)では客の目の前でアルコールランプなどを用いて鉄皿をあぶりつつシャンパンをまぶして煮る。
[編集] シャンパンが登場する作品
- ヨハン・シュトラウス2世のポルカに「シャンペンポルカ」という作品がある。
- クイーンのアルバム「シアー・ハート・アタック」収録「キラー・クイーン」にてモエ・エ・シャンドンが歌われている。
- カサブランカ
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- シャンパン協会 (フランス語、英語)
主なシャンパンの銘柄
- Henri Abele アンリ・アベレ
- Ayala アヤラ
- Baumont des Crayeres ボーモン・デ・クレイエール
- Bollinger ボランジェ
- Billecart Salmon ビルカール・サルモン
- Cattier カティエ
- Guy-Charlemagne ギィ・シャルルマーニュ
- Delamotte ドゥラモット
- Drappier ドラピエ
- Duval-Leroy デュヴァル・ルロワ
- Nicolas Feuillatte ニコラ・フィアット
- Gosset ゴッセ
- Alfred Gratien アルフレッド・グラシアン
- Henriot アンリオ
- Jacquart ジャカール
- Perrier-Jouet ペリエ・ジュエ
- Krug クリュッグ
- Lanson ランソン
- La Seule GLOIRE ラ・スル・グロワール
- Laurent Perrier ローラン・ペリエ
- A.R.Lenoble A.R.ルノーブル
- Moet & Chandon モエ・エ・シャンドン
- Dom Pérignon ドン・ペリニョン モエ・エ・シャンドン社が製造しているブランドの一つ。
- Bruno Paillard ブリュノ・パイヤール
- Piper-Heidsieck パイパー・エドシック
- Pommery ポメリー
- Louis Roederer ルイ・ロデレール
- Ruinart リュイナール
- Salon サロン
- Tarlant タルラン
- Taittinger テタンジェ
- Georges Vesselle ジョルジュ・ヴェッセル
- Jean Vesselle ジャン・ヴェッセル
- De Venoge ド・ヴノージュ
- Vve Fourny & Fils ヴーヴ・フルニ・エ・フィス
- Veuve Clicquot ヴーヴ・クリコ