ジニ係数
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ジニ係数(Gini coefficient または Gini's coefficient)とは、主に社会における所得分配の不平等さを測る指標。ローレンツ曲線をもとに、1936年、イタリアの統計学者コッラド・ジニによって考案された。所得分配の不平等さ以外にも富の偏在性やエネルギー消費における不平等さなどに応用される。
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[編集] 概要
係数の範囲は0から1で、係数の値が0に近いほど格差が少ない状態で、1に近いほど格差が大きい状態であることを意味する。ちなみに、0のときには完全な「平等」―つまり皆同じ所得を得ている状態を示す。
目安として、一般的には0.2~0.3(市場経済(自由経済)においては0.3~0.4。これは市場経済では競争を促すため、格差が生じやすくなる)が通常の値と言われている。なお、0.5を超えると格差が大きく社会の歪みが許容範囲を超えるので、政策などで是正することが必要とされる。
[編集] 留意点
ジニ係数は不平等さを客観的に分析、比較する際の代表的な指標のひとつとなっているが、以下の点には留意する必要がある。
- 同じジニ係数で示される状態であっても、ローレンツ曲線の元の形が著しく違えば、実感として感じる不平等さがまったく変わってくる可能性がある。
- 税金や社会福祉などによって再分配機能が充実した国の場合、初期所得(税引き前の給与)でのジニ係数と、所得再配分後のジニ係数が異なる。
- 調査対象に特定の傾向がある場合は、1に近いからといって必ずしも不平等が悪いことになるとは限らない。
- 例えば、ある高級住宅地に年収10億円の人が99人、年収1兆円の大富豪が1人いるとする。そこでこの高級住宅地に住む100人を対象にジニ係数を計算すると約0.91となり、非常に格差が大きいが、年収10億円でもかなりの高収入であり、この状態が悪いとは一概に言えない。
[編集] 使用例
ジニ係数を使って日本の所得分配の不平等度を計測している統計には、厚生労働省が実施している所得再分配調査がある。このほかにも、家計の所得、支出を調査している家計調査や全国消費実態調査のデータを使ってジニ係数が計算されている。
ジニ係数を計算するためには、個々の家計の所得を使ってローレンツ曲線を描く必要があるが、家計調査や全国消費実態調査などでは、ジニ係数の計算に利用できる公表データが、所得金額ごとや所得金額によって全体を5分割、10分割した世帯の平均値であったりする。こうした階層ごとの平均値を使って求めたジニ係数の近似値は、擬ジニ係数と呼ばれることがある。
[編集] 外部リンク
- 全国消費実態調査トピックス -日本の所得格差について-(総務省統計局)