スチレン
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スチレン | |
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IUPAC名 | Phenylethene |
別名 | ビニルベンゼン フェニルエチレン スチロール |
分子式 | C8H8 |
分子量 | 104.1 g/mol |
CAS登録番号 | [100-42-5] |
形状 | 無色透明の液体 |
密度と相 | 0.9 g/cm3, 液体 |
相対蒸気密度 | 3.6(空気 = 1) |
融点 | −30.6 ℃ |
沸点 | 145 ℃ |
昇華点 | {{{昇華点}}} ℃ |
SMILES | c1ccccc1C=C |
出典 | 国際化学物質安全性カード |
スチレン (Styrene) は化学式C6H5C2H3、分子量104の芳香族炭化水素である。天然の樹脂である蘇合香(そごうこう、styrax)の成分として発見され、慣用名のstyrol、styreneの由来となっている。熱あるいは光により容易にラジカル重合するので、メーカーで市販されているものには基本的に重合阻止剤が含まれている。
目次 |
[編集] 製造
工業的にはエチルベンゼンを鉄触媒等で脱水素してスチレンが製造される。かつては、エチルベンゼンを塩素化したのちに脱塩化水素でオレフィンとする方法やエチルベンゼンを酸化したアセトフェノン、還元したフェニルカルビノールを経由して脱水反応オレフィンとする方法なども存在したが、今日では経済的な理由で触媒により脱水素する方法以外は利用されない。
スチレンモノマーの2004年度日本国内生産量は3,345,334t、工業消費量は117,373tである。
[編集] 利用
もっぱら、重合用のモノマーとして利用される。スチレンモノマーはイオン重合、配位重合などにより生成するコポリマーとしてスチレン・ブタジエンゴムを始めとしてエラストマー、熱硬化性樹脂、エマルジョンとなど多くの合成樹脂原料としても利用される。
ラジカル重合による重合体のポリスチレン樹脂は熱可塑性樹脂としてポリエチレン、ポリ塩化ビニルと並んで重要な合成樹脂である。ポリスチレンは透明容器として、ポリスチレンフォームは発泡スチロールとも呼ばれ食料品の保温容器や緩衝材として多用される。
[編集] 安全性
シックハウス症候群の原因物質の一つであると言われている。発癌性があるという説があり、IARCの発がん性評価ではグループ2Bの発がん性の可能性がある物質として指定されている。また日本では消防法により危険物第4類に指定されている。