デスクトップパソコン
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デスクトップパソコン(desktop personal computer)とは、主に机の上に備え置いて使用する用途で作られ、移動して使うことを前提とはしていないパーソナルコンピュータの事である。パーソナルコンピュータの筐体は黎明期より机の上へ据え置くスタイルが主流であったが、ノートパソコンの前身であるラップトップパソコンが普及を始めた1980年代中ごろから、その対語として用いられるようになった。
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[編集] 概要
初期には横型の筐体のものをデスクトップ、縦型の筐体のものをタワー(ミニタワー、マイクロタワー)と呼び、横型の場合はその上にCRTディスプレイをのせて使用していた。その後机の上におけるもので一体型でないものは全てデスクトップパソコンと呼ぶようになり、現在では一体型のものも含め据え置きで使うことを前提としたパソコン全てをデスクトップパソコンと呼ぶようになっている。近年では液晶ディスプレイの普及によって、そのほとんどが筐体の上にCRTディスプレイなどをのせることを想定して作られていない。かつてのパーソナルコンピュータはこのデスクトップパソコンが主流であったが、2001年頃より省スペース性に優れるノートパソコンが主流となってきている。
ノートパソコンとは違い、通常ディスプレイやキーボードは本体と一体ではない。デスクトップ型では物により程度の差はあっても、以下のような特長がある。
- 筐体内に物理的なスペースの余裕があるため、拡張性に優れている。PCIバス製品などの安価な拡張製品も多数販売されている。
- 省消費電力・省スペースと言うよりはむしろ高パフォーマンス(高コストパフォーマンス)の構成部品を使う事ができる。
- 電力供給もコンセントから比較的大型の電源装置を使い安定供給できるなど、より低コストで安定した高いパフォーマンスを得ることができる。
近年では主に企業内への大量導入を想定し、拡張性をある程度犠牲にして小型化したデスクトップパソコン(スリム型などと呼ぶ)も多く市販されている。日本では大手メーカー製のデスクトップパソコンはこの省スペース型がほとんどである。ノートパソコンの部品を使用し、拡張性を犠牲にして小型化した小型デスクトップパソコン(Mac miniなど)も人気を集めている。
キーボードが分離されているため、ノートパソコンと違い、キーボード上からの発熱が少なく長時間の作業を行いやすいという利点や、筐体の制約によりキーボードの面積が小さくなって、操作性が低下するという事もない。
ディスプレイも通常は分離されているため、キーボードその他の部品(さらにはパソコン本体内部の構成部品《ハードディスク、etc.》)などと併せ、市販の汎用部品・製品が容易に入手でき、各構成部品・製品の交換や修理、さらにはグレードアップ(大型のディスプレイなど)が比較的容易・安価に行えると言うメリットがある(ただし、メーカー製PCによってはディスプレイと本体の接続に特殊なコネクタを用いている場合がある。)。
[編集] 一体型パソコン
ディスプレイまたはキーボードが筐体と一体になっているパソコンを一体型パソコンと呼ぶ。8ビットCPUの時代は、キーボード一体型が全盛であった。また、ディスプレイ一体型は現在に至るまで省スペース家電的な販売がされている。
ほとんどの場合、拡張性が犠牲になっているが、省スペースで配線の手間が省けることや、液晶ディスプレイ一体型の場合、省スペース性が高いことから企業内に大量に導入されることも多い。しかしメモリの増設など、パソコンの内部を見る際に付属のパーツごと持ち上げたりしなければならず、拡張時に手間がかかる事が多い。また、ディスプレイが壊れるとその他の部分が故障していなくても使えなくなってしまったりすることもあるので、注意を要する。
[編集] ディスクトップという誤記について
日本では、デスクトップパソコンを、ディスクトップパソコンと誤記されることが少なからずある。
この表記は役所や事務用のパソコンなどで多く見られるほか、パソコン売り場でも見られる。
この表記の由来については、日本におけるパソコン黎明期には、フロッピーディスクドライブがまだ珍しく、キーボード一体型パソコンや外部記憶装置が内蔵されていないパソコンも多かったため、あえてデスクとディスクをかけて製品構成および販売上の差別化のために考案されたという説もある。