トラコーマ
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トラコーマ(Trachoma)は、クラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)を病原体とする感染症。伝染性の急性および慢性角結膜炎。別名はトラホーム(トラコーマのドイツ語読み)、はやり眼、顆粒性結膜炎。
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[編集] 原因
流行地ではクラミジア・トラコマチスのA,B,C型が、垂直感染ではD,E,F,G型が病原体となることが多い。
直接接触による感染のほか、手指やタオルなどを介した間接接触による感染も多い。また、母親が性器クラミジア感染症を持つ場合、分娩時に産道で感染することがある。
[編集] 疫学
先進国ではほとんど見られなくなったが、アジアやアフリカなどの発展途上国ではいまだに流行が見られ、年間600万人が失明するといわれている。先進国でも見られるトラコーマはほとんどが垂直感染によるものである。
[編集] 症状
病原菌は結膜上皮細胞内に寄生する。初期には結膜に濾胞や瘢痕を形成したり、乳頭増殖したりする。その結果、充血や眼脂が見られる。慢性期には血管新生が見られ、トラコーマパンヌスと呼ばれる状態になる。
その後瘢痕を残し治癒することもあるが、さらに重症となり、上眼瞼が肥厚することがある。その結果睫毛が偏位し、角膜に接触するため、瞬きするたびに角膜を刺激し、角膜潰瘍を引き起こす。そこに重感染が起こることで、失明や非可逆性の病変を残すこととなる。
産道感染例では重症化することはほとんど無い。偽膜形成が見られる。
[編集] 治療
テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系の抗生物質を内服あるいは点眼する。
[編集] 予後
適切な治療が行われれば完全に治癒する。
[編集] 余談
古くは、見苦しいものを見ないように勧める言い回しで「見たらトラホームになる」というのがあった。