フォークボール
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フォークボール (fork ball) は、野球で、投手が投げた球が打者の近くで落下する変化球。ボールの握りが食事のときのフォークで挟んだように見えることからこの名前がついた。略してフォークともいう。
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[編集] 投げ方と落ちる原理
フォークボールは一般に落ちる球種だと思われているが、これはバックスピンによって発生する揚力により落ちにくい球種であるストレートボールに比較して、相対的に落ちていることを意味する。フォークボールは揚力をほとんど生じず斜方投射に近い運動をする。後述のように握ったときの縫い目の位置等で数種類のフォークボールを操る投手もいる。
代表的な投げ方は人差し指と中指の間にボールを挟み、ストレート(直球)の様に投げるが、リリース(球を離す瞬間)時は手首を動かさない。そして、指の間からボールを抜くようにして投げる。これによってボールの縦回転を殺しつつ僅かな横回転がかかり、バッターの近くで鋭く落下する。その握りと変化から暴投や捕逸を起こしやすい球種で、村田兆治は通算暴投数148回を記録している。そのため、三塁にランナーがいる場面では多用はできないのが定説である。またフォークの握りで投げて投球ミスやコントロールミスをした場合によく「フォークのすっぽ抜け」と称されるが、これは握力が不十分だとボールが挟んだ指の間から投手の意図に反して滑り抜けてしまう事が多いためである。だが、このフォークのすっぽ抜けはごくまれに伸びる球筋となり、魔球ともなりうるが[要出典]これを操れるフォークピッチャーはいない。
[編集] 変化の種類
横浜ベイスターズやシアトル・マリナーズで投げた佐々木主浩のフォークはその変化の大きさから有名で、ボールが打者の捉えたと思ったインパクトの瞬間にバットの下にくぐり込むため、松井秀喜が語った所だと、消えるような錯覚を覚えるとの話である。また、日本人大リーガーのパイオニア、野茂英雄は2種類のフォーク(縦に落ちるものとシンカー気味に右下に落ちるもの)を投げ分けることが知られ、上原浩治は横変化でスライド気味とシュート気味に落ちるもの、落差では小さいものと大きいものの4種類を操るなど、同じフォークと称される球種でも変化は多彩である。中には杉下茂、金剛弘樹のように横回転をも殺してほぼ無回転なボールを投げる投手がおり、その弾道はナックルボールのように左右へ揺れながら落下するものである。杉下は、フォークボールはナックル系の球種であるとの考えからこれをフォークとし、一般的な日本人選手がフォークとして投げているものをスプリットフィンガード・ファストボール(SFF)と呼んでいる。
[編集] 体への負担
数ある変化球の中でも肘、肩への負担が大きい事が知られており、大きな落差を誇るフォークの使い手は大概肘か肩にメスを入れている(代表例は村田兆治や野茂英雄、佐々木主浩、斉藤和巳)。そのためかメジャーリーグでこの変化球を使う選手は思いのほか少なく、フォークに比べて握りの浅いSFFなどが多用されている。しかし、最近はひねって投げるスライダーよりも負担が少ないのではないかという意見もある。
[編集] フォークボールで著名な投手たち
[編集] 引退選手
[編集] 現役選手
[編集] フォークボールについての研究
- 福岡工業大学教授の溝田武人が、流体力学の研究の一環としてフォークボールを研究し、論文を発表している。論文「フォークボールの不思議?」
- 変化球の謎に迫る(姫野龍太郎 理化学研究所情報基盤研究部情報環境室室長)
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