ポーン
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チェスの駒 | |
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キング | |
クイーン | |
ルーク | |
ビショップ | |
ナイト | |
ポーン |
ポーン (Pawn) は、チェスの駒の一種。歩兵を表す。略号として P が使われることもあるが、棋譜上では通常何も書かないことで表される。
目次 |
[編集] 初期位置
チェスボードの、自分から見て二番目に近い列(ランク)に並べて配置する。すなわち、白なら2ランク、黒なら7ランクのマスに配置する。
[編集] 駒の動き
- 前方(相手の方)に1マス移動できる。
- 前方に他の駒がある場合、前方に移動することはできない。
- 初期位置にある場合にのみ、前方に2マス移動することもできる。
- その際に他の駒のあるマスを飛び越えて移動することはできない。
- 斜め前方に相手の駒(違う色の駒)があった場合、駒を取り除きそのマスに移動することができる。
- 味方の駒(同じ色の駒)のあるマスには移動できない。
- マークルックのビアと同じ動き。
- 条件がそろっていれば、アンパッサン(下記参照)を行える。
- 相手側の最終ランク(白なら8ランク、黒なら1ランク)に到達すると、ポーンとキングを除く他の駒に成る。この成る行為をプロモーション(下記参照)という。
[編集] アンパッサン
自分のポーンが相手側の4番目の列(白なら5ランク、黒なら4ランク)にある時に、初期位置にある相手のポーンが取られるのを避けるために2マス移動した場合、その移動の直後の手番であれば、相手ポーンを獲りながら斜め前に進むことができる。これがアンパッサン (en passant) というルールで、フランス語で「通過の途中で」を意味する。文字通り、相手のポーンが2マス移動する「途中」の状態で獲ってしまうのである。アンパッサンが可能となるのは初期位置の相手ポーンの移動の直後の手番のみであり、他の手を挟んだ後ではアンパッサンすることは出来ない。棋譜でe.p.等と表記されることもあるが、必ずしも明記される必要はない。
アンパッサンはポーンだけのルールであり、他の駒には同種の移動はない。
[編集] プロモーション(成り)
ポーンの動きは前方に進むだけで、後方に戻ることはできない。そのため相手側の最終ランクに到達したポーンはそのマスから動くことができなくなる。この事態を解消するのがプロモーション(成り)と呼ばれるルールで、相手側の最終列に達したポーンはキングとポーンを除く任意の駒(クイーン、ビショップ、ナイト、ルーク)のいずれかに成らなくてはならない。特別な事情の無い限り、普通は最も強力なクイーンに成る(ステイルメイトの可能性を排除するためクイーンを避けたり、スマザードメイトを狙ってナイトを選んだりするケースがある)。盤上の同種の駒の数に制限はない。
将棋の成りとほぼ同じだが、チェスにおいてプロモーションがあるのはポーンのみである。
[編集] ポーンの価値
ポーンはチェスで最も弱い駒、価値のない駒とみなされる事が多く、他の駒の価値判断の基準としても使われる。ただしこれらの評価は絶対的なものではなく、局面によってそれぞれの駒の持つ価値は変わる。また、ポーンにはプロモーションがあるため、他の駒以上に局面による価値の変動が大きい。
- クイーンの価値はポーン9つ分とされる。
- ルークの価値はポーン5つ分とされる。
- ビショップの価値はポーン3つ分とされる。
- ナイトの価値はポーン3つ分とされる。
- 7ランクにいるポーンの価値はそうでないポーン3つ分とされる。