マツダ・MX-6
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MX-6は、かつてマツダが製造、販売していたクーペ型の自動車である。
1991年のマツダ期待のミドルクラスセダン、マツダ・クロノスの登場によって、マツダの多チャンネル戦略はより鮮明になっていった。 まずは核となるクロノスを皮切りに、アンフィニチャンネル専売のそのハッチバック版マツダ・MS-6と、トヨタ・カリーナEDのマーケットにあやかるべくつくったペルソナの後継のポジションを引き継ぎ、当時新しかったインストパネルシフトで話題を呼んだハードトップボディのマツダ・MS-8、高級ブランドのユーノスチャンネル専売のユーノス500、軽自動車チャンネルのオートザムに当チャンネルのフラッグシップとなるべく投入されたセダンボディのオートザム・クレフ、そして、従来のカペラC2に取って代わるべく生まれたこのMX-6、唯一日本国外で生産されたフォード・プローブ(2代目)など、数えるだけでも、クロノスの姉妹車は多岐に及んだ。
そのなかでも、MX-6は核となるべきマツダ店専売のスペシャリティカーで、当時のS13シルビア、3代目プレリュード、5代目セリカをライバルとした。ボディはそのクラスの定番たるピラード2ドアハードトップだが、クロノス同様、3ナンバーワイドボディを採用し、ライバルが5ナンバーのなか、ボリュームのある曲線を多用したスタイルは新鮮だった。しかし、リアにいくにしたがい、ルーフが極端に流れるグリーンハウスが、ボディに対し、ややフロントぎみに設定していることから、当時、S13やプレリュードに注目するマジョリティからは不評を呼び、投入されてから、販売中止にいたるまで、核となるクロノスともども販売成績は最後まで好転することはなかった。
エンジンは、クロノスをはじめとする他の姉妹車の共通の特徴となる新型のK型V6ツインカムの2500と2000の二本。これに5段マニュアルと4段オートマチックが組み合わされた。 このV6エンジンは、当時の日産や三菱のV6をはるかに凌駕するもので、特にトップエンドまで気持ちよく吹けるフィーリングは官能的でとても評価が高く、後にマツダの新しい中間モデルとして登場するマツダ・ランティスにも搭載され、さらに好評を博すことなった。しかし、当時のマツダ車の悪しき特徴であった、剛性が足りないリアがブレークするハンドリング特性はこのクルマにも残っており、”鬼のハンマー”の如く大きく感じるATのショックと合間って、クルマ自体のバランスは当時のこのクラスのライバルに比べ、やや落ちる感は否めなかった。
バブル期のマーケットの好景にのるべく、当初の予定よりもはやく投入されたことから、足回りのセッティングやAT、また、問題となったコンセプトに起因するボディなど、旨く消化できなかったこともあり、もともと低調だった販売台数は最後まで好転することはなく、クロノスともども国内マーケットからは1996年一杯で姿を消した。以降、マツダのスペシャリティカーが現れることは、今日に至るまで訪れていない。
[編集] CM
- ジプシー・キングスの曲を起用し、「ラテンの旋律」というキャッチコピーだった。