モントリオール事件
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モントリオール事件(Montreal Screwjob)は、かつてWWFの興行中に起こったシュートの通称。1997年11月9日のサバイバー・シリーズでのブレット・ハート対ショーン・マイケルズのWWF王座を賭けた試合にて起こった出来事で、興行が行われたモントリオールの地名を取って『モントリオール事件』と呼ばれる。
[編集] 概要
事件が発生した1997年は、WWFの先行番組「マンデーナイト・ロウ」に対抗する為、同一時間帯によく似た名称のWCW「マンデー・ナイトロ」をぶつけ、放送開始したことに端を発した視聴率戦争、いわゆる「マンデー・ナイト・ウォー」が繰り広げられている最中で、WWFは劣勢に立たされて経営は逼迫していた。WWFはWCWに対抗するために、それまでのファミリー路線から下品で過激さを持つアティテュード路線へ転換していき、D-ジェネレーションXなどを強烈にプッシュしていった。この路線に対して、プロレスは健全であるべきと考えるブレットは反発し、WWFとの関係は悪化していった。また資金的に困窮していたWWFは、当時の看板レスラーを1人解雇して経費を節減する必要があった。ショーン・マイケルズ、ジ・アンダーテイカー、ブレット・ハートの3人のトップレスラーのうちアティテュード路線に反対していたブレットが指名され、結果1996年に締結した20年契約を破棄して解雇されることとなり、ブレットはWCWへ移籍することとなった。
ブレットは1997年のサバイバー・シリーズを最後にWWFを退団することが決まっていたが、当時ブレットが保持していたWWF王座を移動させる問題が残った。特に、WWF女子王座に戴冠したままWCWに移籍したアランドラ・ブレイズが、WCWの番組中にベルトを捨てるパフォーマンスを行っていたこともあり、WWFの経営者であったビンス・マクマホンは移籍前のタイトル移動は絶対、としていた。当初はサバイバー・シリーズでショーン・マイケルズに敗れて王座流出がストーリーラインとして書かれたが、地元カナダでの敗戦をブレットが拒否。そのためサバイバー・シリーズでは、試合中にD-ジェネレーションXとハート・ファウンデーションが乱入することにより試合無効となって王座移動はせず、翌日のRAWで王座返上する、というストーリーラインに変更された。
サバイバー・シリーズ当日、試合はストーリーライン通り進むかと思えたが、ショーン・マイケルズがブレット・ハートの必殺技であるシャープ・シューターを出した瞬間、リングサイドにいたビンス・マクマホンがレフェリーのアール・ヘブナーにゴングを要請し、サブミッションによりショーン・マイケルズの勝利、と宣告された。
ハメられた、と気がついたブレットは、リングサイトにいたビンスに唾を吐き掛け、放送用機材を壊し、また控え室に戻ったショーンを問い詰めた後ビンスを控え室まで殴りに行った。
[編集] 事件後
事件後、ハート・ファウンデーションのメンバーもオーエン・ハートを残してWCWに移籍した。またWWFはブレット・ハートのコスプレをしたミゼットレスラーを登場させるなど、ブレットを馬鹿にする行為を行いもした。
ショーン・マイケルズは事件当日にブレットに詰問された際にはストーリー変更を知らないと答えていたが、後年WWE・コンフィデンシャルでのインタビューで事前に知っていたことを告白している。
事件以降、ショーン・マイケルズのカナダでの地位はヒールとなり、観客からは"You screwed Bret!"（お前はブレットをハメた）とチャント（掛け声）を浴びるようになった。この事件をミック・フォーリーは『Vince Screwed Bret（ビンスがブレットをハメた）』と評している。
[編集] その他
- WWFがバックステージでの撮影を許可していた事もあり、この事件は後にレスリング・ウィズ・シャドウズというタイトルでドキュメント映画化された。
- 2006年3月18日に行われた興行、サタデー・ナイト・メイン・イベントでのシェイン・マクマホン対ショーン・マイケルズの試合において、シェインがシャープ・シューターを出した直後にビンスがゴングを要請し、モントリオール事件を再現させた。
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