ヤマハ・R1-Z
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R1-Zとは、1990年にヤマハ発動機が発売したオートバイである。型式3XC。水冷2サイクル250ccエンジンを搭載。外観上は、鋼管トラス構造のフレームとスイングアーム、2気筒分の排気管が右側に設置されていることなどが特徴。
[編集] 概要
水冷2サイクル並列2気筒249cc。初代TZR250(1KT)と同系のエンジンを搭載するが、ミッションのギア比などが異なる。最高出力は45馬力を発揮(1993年モデルより自主規制強化のため40馬力へ変更)。これを鋼管トラス構造のフレームに搭載する。 ブレーキはフロントがダブル、リアがシングルの油圧式ディスクブレーキを採用。 サスペンションは、フロントがφ38mmのフリーバルブ・テレスコピック、リアはリンク式モノクロス。前後ともスプリング初期荷重が調整可能である。
ライバル機種は2サイクル2気筒250ccロードスポーツや4サイクル4気筒400ccロードスポーツ。
R1-ZはNSR250R(ホンダ)、RGV250Γ(スズキ)等のレーサーレプリカとは明らかに異なる味付けがなされている。
当時の2サイクルロードスポーツ車はレーサーレプリカタイプが主流で、高出力を追求したメッキシリンダー採用のV型エンジンを、軽量高剛性なアルミ合金製のフレームに搭載した車種が殆どであった。
対して、R1-Zは鉄スリーブのパラレルツインエンジンであり、出力で劣ることは否めない上、フレームもスイングアームもスチール製である。サスペンションのグレードも決して高いとは言えない。
しかし、個性的なスタイリング、ヤマハ伝統の2サイクルパラレルツインエンジンの味など、絶対的な速さよりもライディングプレジャーを押し出したキャラクターは、当時あまりにも先鋭化していたレーサーレプリカをためらうユーザーを惹きつけ、1990年代に環境問題で2サイクルエンジン搭載モデルが消滅していく中で、2サイクル250ccの市販車では最後(1999年)まで販売された車種となった。
ちなみに、ネーミングは、過去の名車RZ250と国道1号の名を掛け合わせたものである。 本来はRZ-1と名乗るべきだったが、日産自動車にサニーRZ-1が存在していたためR1-Zとなったといわれる。また、本車の本来の発音は、「あーるわんずぃー」であるが、「あーるわん」と呼ぶ人もいるようだ。2サイクルパラレルツインの「ヤマハRシリーズ」はR1から始まり、R2、R3、RX、RD、RZと続き、R1-Zで終わった。しかし、ヤマハ製2サイクルスポーツの復活を望む声は今なお多い。