ユーカリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ユーカリ属 | ||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ユーカリ |
||||||||||||||||
分類(クロンキスト体系) | ||||||||||||||||
|
ユーカリとはフトモモ科ユーカリ属(Eucalyptus)に属する常緑高木の総称。オーストラリア南東部とタスマニア島におもに分布する。ユーカリには500種類もあり、変種も含めると800から1000もの種類になる。成長がとても早く、材木として注目される。70メートルを超える高さになるものから、5メートル程で枝分かれする種類もある。
コアラの食物としてよく知られている。
葉から取れる精油は殺菌作用や抗炎症作用、鎮痛・鎮静作用があるとされる。オーストラリア先住民族(アボリジニ)は傷を癒すのに葉を利用した。現在ではアロマテラピーなどに利用される。また、健康茶等にも利用される。
根を非常に深くまで伸ばし地下水を引き寄せる力が強いので、インド北部のパンジャーブ地方の砂漠化した地域の緑化に使われて成功した。旱魃(カンバツ)に苦しんでいた地方が5年程で甦った例がある。(参照:杉山龍丸)。
目次 |
[編集] 発芽方法
オーストラリアでは気候がとても乾燥しており、山火事が頻繁に起こる。ユーカリの種は、山火事を経験し、その後、雨が降ると発芽すると言われている。
人工的にこの条件を満たすには、フライパンで種をさっと煎ったり、熱湯をかけたりする。
[編集] オーストラリアのユーカリ
ユーカリは、オーストラリアの原産で、森の木の4分の3がユーカリと言われる。
近年、パルプ用のチップ生産に使われ、ユーカリの森林破壊が進み、有袋類の生息環境が危機にさらされている。
[編集] 精油の作用
ユーカリに含まれる精油成分はシトロネラール、シオネールなど。民間薬等で下記のように利用される。
- 殺菌作用、解毒作用
- 鎮痛作用により、筋肉痛、打撲の痛みを和らげる効果
- 頭を明晰にして、集中力を高める
- 花粉症の緩和にも効果があると言われる
[編集] その他
- 「ユーカリは地中に他の樹木の成長を抑える成分を分泌する」という意見があるが、事実ではないらしい[1]
- コアラはユーカリの葉を主食とするが、若木の葉はコアラにとって毒性が強いため、コアラは十分に生長したユーカリの木の葉のみを食べる。
- アルカリ性土壌でも強く育つため、土壌がアルカリ性になっている乾燥地帯の緑化に使われる事が多い。また、土壌をアルカリ性から酸性へと移行する。そのため、酸性の土壌に育てた場合、土壌の酸性が強くなりすぎる場合がある。