勅使河原宏
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勅使河原 宏(てしがはら ひろし、1927年1月28日 - 2001年4月14日)は、華道三大流派と呼ばれるうちのひとつ、『草月流』三代目家元、映画監督。
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[編集] プロフィール
1927年1月28日、東京都出身。草月流創始者、勅使河原蒼風の長男。夫人は女優の小林トシ子。
東京芸術大学に進学後、油彩画を専攻する。在学中、岡本太郎や安部公房らによる前衛芸術グループ『世紀』に参加。安部公房の原作・脚本による映画作品を多く手がけ、監督としての地歩を築いた。1992年、紫綬褒章を受章。
[編集] 監督した映画作品
- 『おとし穴』(1962年)
- 『砂の女』(1964年) カンヌ国際映画祭、審査員特別賞を受賞。
- 『他人の顔』(1966年)
- 『燃えつきた地図』(1968年)
- 『サマー・ソルジャー』(1972年)
- 『アントニー・ガウディー』(1984年)
- 『利休』(1989年) モントリオール映画祭、最優秀芸術貢献賞を受賞。
- 『豪姫』(1992年)
[編集] 華道家としての活動
1980年、草月流二代目家元勅使河原霞の死去に伴い、草月流第三代目家元を継承。ソウル、ミラノ、ニューヨークといった世界各地で、『竹』使った個展を開催。その規模の大きさに加え、自由で独創的な表現方法が注目される。
国内での活動も目覚しく、猪熊弦一郎美術館や広島市現代美術館など、全国各地で個展を開催。また、いけばなとしての『インスタレーション』を提唱、発表する。この新しい表現方法は、従来の華道の枠を超えた芸術として、見る人を驚かせた。
また、舞台美術の創作にも精力的に取り組み、オペラ『トゥーランドット』(1992年)を手始めとして、『スサノオ』(1994年)、『スローカ』(1999年)、同年作、『すさのお異伝』を手掛ける。宏が生涯拘り続けた花材『竹』で構成した舞台美術と演出は、各地で多大な評価を受ける。
後進に假屋崎省吾がいる。
[編集] その他の活動
陶芸、書に於いてもオリジナリティ溢れる才能を発揮。ジャンルを超えた創作芸術家として名を馳せる。
1990年代からは、『連花 』(れんか:いけばなの即興での創作。複数人数で行う) の普及を呼びかけ、華道にまた新たな魅力と可能性を与える。死去後、次女の勅使河原茜が草月流四代目家元となっている。