原子論
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原子論(げんしろん、Atomism)は「すべての物質は非常に小さな粒子(原子)で構成される」という理論の総称。
[編集] ギリシャ哲学のアトム論
古代ギリシアでは、エレア派のレウキッポスやデモクリトスによって不可分の粒子である「アトム」が物質を構成する最小単位であるというアトム論を唱えた。 しかし、アリストテレスによりその存在を否定され、長い間その影響が残った。
[編集] 近代の原子論
16世紀以降化学や物理学が進歩し、ラボアジェ、ドルトンなどにより物質の構成要素として元素概念が提唱され、かれらの論が近代原子論の源流である。
マッハやオストヴァルトなどは実証主義の立場から観測不能であることを理由に原子論に反対しエネルギー論を主張していた。そして原子論を支持するボルツマンと激しい論争を繰り広げた。この論争はペランによるブラウン運動の研究により原子の実在が確認されることによって決着がついた。
また古代以来、原子の属性として「不可分の基本粒子」という考え方があるが、18世紀以降の物理学の進歩により原子自体も構造を持ち、陽子、中性子と電子で構成されることがわかった。さらに、陽子や中性子は内部構造を持ち、クォークにより構成されることが明らかとなった。現代物理学ではレプトンとクォークが発見されている最小の構成要素、つまり素粒子であるが、それぞれが内部構造を持つか否かは未解明である。もしレプトンやクォークにさらに内部構造があることが発見されれば、定義によりそれらは素粒子と呼ばれなくなる。