国債
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国債(こくさい)は国が財政上の必要から発行する債券で国の運営に必要な資金を集めるために発行される。
国債は発行時に償還期限と利率が定められており、購入者はこれに応じた利息を受け取ることができる。償還期限を迎えると、元金である国債の発行時の金額(額面額、または額面価格という)が支払われる。
国債は他の債券同様、発行された後でも市場で売買できるため、価格は常に変動している。国債価格とその裏返しとしての国債金利:長期金利は世界情勢や、国債を発行している国の社会動向、経済状態を反映するため、政治的にも非常に重要な要素である。
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[編集] 日本国債発行額の増大
国債は簡単に言えば国の借金である。日本では、1965年(昭和40年)に赤字国債が発行されてからその総借金額は2006年(平成18年)3月末現在に於いて670兆5794億円である。
(参考:同日付に於いて政府の借入金が59兆2737億円、政府短期証券が97兆6274億円あり、これに国債の670兆5794億円を加えた827兆4805億円が国の借金である。政府の金融資産は社会保障基金、内外投融資、外貨準備などがあり、政府純債務は400兆円未満である。他に確定していないものの、政府保証債務が存在し、これが更に加わる可能性がある。)
日本は他の先進国に比較して、国内総生産(GDP)に対する国債の発行残高の割合が著しく高く、その持続可能性が議論になっているが、政府債務から政府の金融資産を差し引いたGDP比の純債務で見れば他の先進国と比べてそれほど高いわけではなく、9割以上は国内から借りており、半分以上が日本銀行・財政融資資金・社会保障基金・郵便貯金・簡易保険などの公的部門に保有されている。 増税、高インフレ、債務不履行などの経済的危機が懸念される一方、歴史的に見ても問題になる水準ではないとする見方もある。
日本の場合、1980年代後半のバブル経済の頃は好況により税金が多く入っていたため、国の収入である歳入は潤っていた。そのため国債の発行額もそれほど多くはなかった。しかし、バブル経済が崩壊して税収が減少すると、それにともなって歳入が減少。併せて幾たびも景気浮揚を目的にした財政出動が行われた結果、国債を多く発行するようになった。国債の大半は固定金利であるため、デフレにより名目成長率が伸び悩むことでGDP比の債務が増大しやすくなっている。
不況の長期化により歳入の伸びは低迷し償還資金が不足した。このため、国は償還を目的に追加で国債を発行するようになった。この国債を借換国債という。この場合、事実上償還されていないことになり国の借金である国債はさらに増えてしまう。バブル経済崩壊後、日本は新規国債(新しく発行される国債)、借換国債ともに発行額が増加して問題になっている。
そのため、利息元金の返済(償還)に対する懸念はことあるごとにクローズアップされ、にわかに財政再建推進が盛り上がる局面があった。しかし財政再建などに由来する危機的な景況悪化に際して財政出動する局面があるために、政策の方向性は定まらず、日本経済の実力を大きく損なった。(ストップゴー政策)
1998年に小渕恵三内閣が発行した国債40兆円の多くが、2008年に償還期限を迎えるため、それにより国債危機が発生するのではないかと言われていたが、実際にはすでに各種の借換対策が進行しており、2008年における償還集中は回避されることになっているため誤りである。このため、デュレーションに由来する問題は発生しない。尚、現在、日本政府の税収入が約50兆円である。
現在、日本国債の格付けは、他の先進国諸国と比べると極めて低いが、どの格付け会社も「返済能力が高い」という見解は崩していない。 今日の景気回復に伴い、我が国の財政は最悪の状態は脱したと言えるが、未だ累積債務の増加は続いており、このまま累積債務が増え続ければ、国債の信用や経済に深刻な影響を与えることが懸念されるため、一刻も早い財政再建を望む声は根強い。しかしながら、現在の景気の状況をかんがみると、「公共工事」「公共事業」を望む声は、地方、建設業者などから依然多く、「地方の活性化」「国土の均衡ある発展」などの見地からも、国債を発行し、公共工事などの拡大を望む声もあるのは事実である。
[編集] 外国の国債と歴史
国債をめぐる政策は、広義の近代化である大航海時代以来、長く社会問題の軸になってきた。 君主が発行する公債は、君主の私的債務か国家の公的債務かの区別が曖昧で、償還の原資が必ずしも保証されておらず、金繰りに困った君主により恣意的に債権放棄させられる危険性ばかりでなく、次代の君主が先代の債務を引き継がないなどの原因でしばしばデフォルトに陥った。
そのため、公債は償還期限が短期でリスクを反映して利率が高く、それゆえ君主が返済に困ってデフォルトを繰り返すという悪循環を繰り返していた。絶対王政の時代には欧州の君主はしばしば戦争を行い、それらの戦費はこうした公債で賄われることがしばしばであった。
償還期限が長期で利率の低い(すなわちリスクが低い)国債が安定して発行されるのは、恒久的な議会が国家の歳出と歳入・課税に関する権利を国王から奪取し、君主の私的財政と国家の財政(国庫)を分離するする時代まで待たなければならなかった。
オランダではホラント州の議会がそのような先鞭を付け、オランダ国王はホラント州議会の保証を裏付けとして公債を発行することができた。イギリスはオレンジ公ウィリアムの時代にオランダの制度を導入して、国債の発行時に返済の裏付けとなる恒久的な税を創設することなどが行われるようになった。名誉革命と権利章典により、議会が国庫と課税を管理し、君主は議会の同意なしに課税も国庫からの支出も行えなくなった。
イギリス議会はコンソル債とよばれる単一の国債に既に発行済みの複数の公債を一元化し、金利の安定化と流動性の確保に務めた。それにより、コンソル債は欧州でもっともリスクの低い債券として信用され、各国の国債のベンチマークとなった。この過程でイングランド銀行は国家の歳出・歳入口座をもつ唯一の銀行、すなわち中央銀行としての地位を確立した。 欧州では18世紀までの度重なる戦争で、諸国政府は莫大な国債発行残高を抱えていた。イギリスは19世紀初頭には国民所得の数倍に達するほどの発行残を抱えていたが、産業革命による活発な民間投資と経済成長、夜警国家政策により国民所得に対する比率を低下させた。
1990年代始めごろ、米国政府は史上最悪の財政赤字を抱えていたが、1998年には財政黒字に転換した(その後、2002年に再び赤字になっている。)。背景には、クリントン政権の財政再建政策とITを軸とした活発な民間投資がある。
21世紀に入って、資源価格高騰などで活況を呈するオーストラリアは、とうとう累積国債の完済を実現できる段階にまで達した。完済により、長期金利の基準がなくなることが憂慮されるほどである。
[編集] 日本国債の種類
日本の国債には多くの種類があるが、それらは発行の目的や償還期間の長短などにより分類される。
- 利払いによる分類
- 利付債
- 半年毎に利子が支払われ、償還時に額面金額が支払われる。
- 割引債
- 途中での利払いはないが、額面を下回る額で発行され、償還時に額面金額が支払われる。2002年11月以降、割引債は発行されていない。
- 国債の目的による分類
- 普通国債
- 建設国債(4条国債)
- 道路、住宅、港湾等の社会資本の建設のため財政法4条に基づき発行される。
- 赤字国債(特例国債)
- 歳入の不足を補うために発行される国債。財政の一般法である財政法に規定が無く発行が禁止されているが、特別法により発行される。
- 1965年(昭和40年)補正予算で戦後初めて発行され、1991年から1993年まで発行されず、1994年(平成6年)から再び発行された。
- 交付国債
- 財政融資資金特別会計国債(財投債)
- 個人向け国債
- 普通国債
- 償還期間による分類
- 超長期国債(15年(変動利付国債)・20年(利付債)・30年(利付債))
- 長期国債(10年(利付債)・10年(個人向け国債)・10年(物価連動国債))
- 中期国債(2年(利付債)・3年(利付債)・3年(割引債)・4年(利付債)・5年(利付債)・5年(割引債)・5年(個人向け国債)・6年(利付債))
- 短期国債(6カ月(利付債)・1年(割引債))
- 政府短期証券(60日(割引債))
4年債は2001年2月以降、6年債は2001年3月以降は5年利付債に統合されたため発行を停止した。割引債は、3年債は2002年11月に、5年債については2000年9月をもって発行を打ち切っている。
物価連動国債は、金利は固定であるが元金が全国消費者物価指数に連動する。そのため、元本割れになることもあり得る。
個人向け国債は10年変動金利のものと5年固定金利のものがあり、前者は2003年3月に発行が開始され、後者は2006年1月より発行開始。いずれも、中途解約の際の買い取り額保証を定めているのが特色。
国債の額面は、15年変動利付国債と物価連動国債が10万円、個人向け国債が1万円、そのほかは5万円である。物価連動国債と割引短期国債(TB)、政府短期証券(FB)は金融機関系の法人のみ購入が可能で、個人向け国債は個人のみ購入が可能である。
2003年1月27日以降に発行された物価連動・個人向けを除く固定利付国債は、元本部分と利札部分を分離して別々に流通させる事が出来るようになった(ストリップス債)。これらの分離された元本部分、利札部分はそれぞれ割引債であり、分離元本振替国債、分離利息振替国債と呼ばれる。名前に”振替”の文字が入っているのは、これらの分離国債が振替決済制度によってのみ流通する事が出来るからである(従って個人は購入できない)。
[編集] 日本国債の発行と流通のしくみ
日本国債は国からシ団引き受け(平成17年度末をもって廃止)または入札方式により銀行・証券会社・生損保等の金融機関が購入し、これがその他の機関投資家や個人に販売される。また、財投債という形で郵貯・簡保・年金資金運用基金が引き受けている部分もある。 流通においては、通常の売買、レポ・現先といった貸借取引の他、日銀によるオペレーションも大きな役割を担っている。
- 入札方法
- コンベンショナル方式
- ダッチ方式
- 非価格競争入札
[編集] 国債が購入できる場所
日本国債は主な銀行、郵便局、証券会社。銀行では保管料を徴収するところがある。外国国債も証券会社を中心に、アメリカ・イギリスなど先進国のものから、アルゼンチンなど開発途上国のものまで、日本国内においても販売されることがある。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 財務省 国債等に関する情報
- 財務省 国債及び借入金並びに政府保証債務現在高 国債及び借入金及び政府保証債務の最新情報