宮台真司
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宮台 真司(みやだい しんじ、1959年3月3日 - )は、宮城県仙台市出身の社会学者、首都大学東京准教授(旧東京都立大学助教授)。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。社会学博士(博士論文『権力の予期理論』)。
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[編集] 概略
父親の転勤に伴い小学校時代の大部分を入間市と京都市で小学6年の秋から大学時代まで三鷹市と大和市で過ごす。中高時代は一貫制進学校の麻布学園に通っていた。
博士論文「権力の予期理論」を通して、社会システム理論家として名を馳せた。中森明夫らとサブカルライターとして活躍していた大学院時代、特に大きな学恩を受けたのは、社会学者の小室直樹、哲学者の廣松渉であり、宮台自身はそれぞれを「極右御師匠」、「極左御師匠」と呼んでいる。
その後は、青少年の「性の自己決定」問題、政治思想、教育問題、国際政治と発言の幅を広げていった。この時期にテレビやラジオの出演も多くなった。
草創期からテレフォンクラブに通いつめ、女子高生の援助交際・コギャル・日サロブームの実態をフィールドワークを通じて分析した。その結果、こうした行為に及ぶ女子高生の生き方を「キツい学校的日常を潰されずに生き抜く知恵」、つまり「まったり」であると評価した。その折、松原隆一郎や、小林よしのりに「ブルセラ評論家」と批判された。 “ポップ系社会学者”の評もある。
2000年代に突入すると、かつて叫ばれた「キツさ」は次第に沈静化。これは「まったり革命」の勝利であると宣言。しかし現在、当時の女子高生らの一部がメンヘラーになった為、当時の主張を一部修正している。一時期、ジャーナリストの速水由紀子との事実婚関係だったが、現在は解消し、書店員の女性(佐伯胖の娘)と結婚している(ちなみに宮台は佐伯の教育論を門下の佐藤学を含め痛烈に批判していたことがある)。
30歳を過ぎてから宮台は、雑誌編集者の紹介で新右翼の活動家見沢知廉氏と知り合う。その後二人は親友になり、宮台は渋谷のブックファーストで天皇や右翼について書かれた本を買いあさり当時学生だった鈴木謙介ら学生を「先生、天皇とか右翼に批判的だったじゃん」とビックリさせる。
また、日本の55年体制的左翼・右翼思想を「大いなるものに一体化したがるヘタレ」として批判した。「左」とは「条理で世界を覆す」立場、「右」とは「不条理に貫かれる事に打ち震える」立場であると定義し、「解放的関心の強い「左」と条理で条理の限界を見極める「右」は論理的に両立可能」と主張する。
複雑化する靖国問題も、「田吾作宮司」松平永芳宮司(当時)の馬鹿な判断から始まったと、ラジオ番組内で批判している。
K DUB SHINEとは友人。
[編集] 学歴
- 1971年 麻布中学校・高等学校入学
- 1977年 同校卒業
- 同年 駿台予備校入校
- 1978年 東京大学教養学部文科Ⅲ類入学
- 1980年 同大文学部社会学科進学
- 1982年 同学科卒業
- 同年 東京大学大学院人文社会系研究科入学
- 1984年 同大学院修士課程修了
- 1987年 同大学院博士後期課程修了
[編集] 職歴
[編集] 著作
[編集] 単著
- 『権力の予期理論――了解を媒介にした作動形式』(勁草書房, 1989年)
- 『制服少女たちの選択』(講談社, 1994年)
- 『終わりなき日常を生きろ――オウム完全克服マニュアル』(筑摩書房, 1995年)
- 『まぼろしの郊外――成熟社会を生きる若者たちの行方』(朝日新聞社, 1997年)
- 『透明な存在の不透明な悪意』(春秋社, 1997年)
- 『新世紀のリアル』(飛鳥新社, 1997年)
- 『世紀末の作法――終ワリナキ日常ヲ生キル知恵』(メディアファクトリー, 1997年)
- 『<性の自己決定>原論――援助交際・売買春・子どもの性』(紀伊國屋書店, 1998年)
- 『これが答えだ!――新世紀を生きるための100問100答』(飛鳥新社, 1998年)※
- 『野獣系でいこう!!』(朝日新聞社, 1999年)
- 『自由な新世紀――不自由なあなた』(メディアファクトリー, 2000年)
- 『援交から革命へ――多面的解説集』(ワニブックス, 2000年)
- 『援交から天皇へ――Commentaries 1995-2002』(朝日新聞社, 2002年)
- 『絶望から出発しよう』(ウェイツ, 2003年)
- 『絶望 断念 福音 映画――「社会」から「世界」への架け橋』(メディアファクトリー, 2004年)
- 『亜細亜主義の顛末に学べ―宮台真司の反グローバライゼーション・ガイダンス』(実践社, 2004年)
- 『宮台真司interviews』(世界書院, 2005年)
※後に8問8答追加された『これが答えだ!――新世紀を生きるための108問108答』として朝日新聞社より出版される。ちなみにこの本に描かれている、タイトルを唱えながら「うりゃーっ!!」と絶叫している宮台のイラストは江川達也の手によるものである。
[編集] 共著
- (石原秀樹・大塚明子)『サブカルチャー神話解体――少女・音楽・マンガ・性の30年とコミュニケーションの現在』(PARCO出版, 1993年)
- (藤井良樹・中森明夫)『新世紀のリアル』(飛鳥新社, 1997年)
- (尾木直樹)『学校を救済せよ――自己決定能力養成プログラム』(学陽書房, 1998年)
- (藤井誠二)『学校的日常を生きぬけ――死なず殺さず殺されず』(教育史料出版会, 1998年)
- (松沢呉一)『ポップ・カルチャー』(毎日新聞社, 1999年)
- (藤井誠二)『美しき少年の理由なき自殺』(メディアファクトリー, 1999年)
- (三沢直子・保坂展人)『居場所なき時代を生きる子どもたち』(学陽書房, 1999年)
- (姜尚中・水木しげる・中西新太郎・若桑みどり・石坂啓・沢田竜夫・梅野正信)『戦争論妄想論』(教育史料出版会, 1999年)
- (上野千鶴子)『買売春解体新書――近代の性規範からいかに抜け出すか』(柘植書房新社, 1999年)
- (速水由紀子)『サイファ覚醒せよ!――世界の新解読バイブル』(筑摩書房, 2000年)
- (宮崎哲弥・網野善彦・姜尚中・辛淑玉・加納美紀代・藤井誠二・樹村みのり・斎藤貴男・太田昌国・沢田竜夫・梅野正信)『リアル国家論』(教育史料出版会, 2000年)
- (香山リカ)『少年たちはなぜ人を殺すのか』(創出版, 2001年)
- (藤井誠二)『「脱社会化」と少年犯罪』(創出版, 2001年)
- (奥平康弘)『憲法対論――転換期を生きぬく力』(平凡社[平凡社新書], 2002年)
- (藤井誠二・内藤朝雄)『学校が自由になる日』(雲母書房, 2002年)
- (速水由紀子)『不純異性交遊マニュアル』(筑摩書房, 2002年)
- (姜尚中)『挑発する知――国家、思想、そして知識を考える』(双風舎, 2003年)
- (金子勝・藤原帰一・A・デウィット)『不安の正体!――メディア政治とイラク戦後の世界』(筑摩書房, 2004年)
- (仲正昌樹)『日常・共同体・アイロニー――自己決定の本質と限界』(双風舎, 2004年)
- (北田暁大)『限界の思考――空虚な時代を生き抜くための社会学』(双風舎, 2005年)
[編集] 「M2」単行本(宮崎哲弥との共著)
- 『M2われらの時代に』(朝日新聞社, 2002年)
- 『ニッポン問題。M2:2』(インフォバーン, 2003年)
- 『エイリアンズ――論壇外知性体による「侵犯」的時評'03-'04』(インフォバーン, 2004年)
- 『M2:思考のロバストネス』(インフォバーン, 2006年)
[編集] 「神保・宮台 マル激トーク・オン・デマンド」単行本(神保哲生との共著)
- 『漂流するメディア政治――情報利権と新世紀の世界秩序』(春秋社, 2002年)
- 『アメリカン・ディストピア――21世紀の戦争とジャーナリズム』(春秋社, 2003年)
- 『ネット社会の未来像』(春秋社, 2006年)
- 『天皇と日本のナショナリズム』(春秋社, 2006年)
[編集] 「人生の教科書」シリーズ(藤原和博との共著)
- 『人生の教科書「よのなか」』(筑摩書房, 1998年)
- 『人生の教科書「ルール」』(筑摩書房, 1999年)
※2005年に、1つの文庫本にまとめた『人生の教科書「よのなかのルール」』がちくま文庫より出版されている。
[編集] 編著
- 『教育「真」論――That's Japan special:連続シンポジウムの記録』(ウェイツ, 2004年)
- 『サブカル「真」論――That's Japan special:連続シンポジウムの記録』(ウェイツ, 2005年)
[編集] 共編著
[編集] 共訳書
- (大澤真幸)G・スペンサー=ブラウン『形式の法則』(朝日出版社, 1987年)
[編集] 出演番組
- 荒川強啓 デイ・キャッチ! (TBSラジオ)
- 週刊ミヤダイ (TBSラジオ、2006年10月6日~)
[編集] 外部リンク
- MIYADAI.com Blog
- ビデオニュース・ドットコム (神保哲生と毎週放送するインターネット放送)
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