愛知環状鉄道
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種類 | 株式会社 |
略称 | 愛環 |
本社所在地 | 444-0951 愛知県岡崎市北野町字二番訳68番 |
電話番号 | 0564-32-3911 |
設立 | 1986年9月19日 |
業種 | 陸運業 |
事業内容 | 旅客鉄道事業 他 |
代表者 | 社長 神田真秋 |
資本金 | 88億370万円(2005年4月1日現在) |
従業員数 | 207人(2006年4月1日現在) |
主要株主 | 愛知県 40.30%、豊田市 19.00%、 瀬戸市 9.30%、岡崎市 8.70%、 春日井市 2.90% |
外部リンク | www.aikanrailway.co.jp/ |
愛知環状鉄道株式会社(あいちかんじょうてつどう)とは、愛知県で旧国鉄特定地方交通線転換線(岡多線)と旧日本鉄道建設公団建設線から成る鉄道路線愛知環状鉄道線を運営している愛知県などが出資する第三セクター方式の鉄道会社である。略称で愛環(あいかん)とも呼ばれる。
いわゆる、旧国鉄線を転換した第三セクター鉄道ではめずらしく、黒字経営の会社である。
目次 |
[編集] 歴史
- 1986年9月19日 設立。
- 1988年1月31日 愛知環状鉄道線 岡崎~新豊田~高蔵寺間が開業。
- 2004年4月30日 硬券入場券・硬券乗車券の販売を終了。
- 2005年3月1日 エキスポシャトルを運行(9月30日まで)。
- 2005年10月1日 愛知環状鉄道線と中央本線名古屋間の本格直通運転開始。
[編集] 路線
[編集] 車両
[編集] 2000系
100形・200形・300形を置き換える為に製造された電車で、東海旅客鉄道(JR東海)の313系をベースに、共通部品を使い製造コストを抑えている。全車両が日本車輌製。外装、内装において類似点も多い。
制御電動車2100形(Mc・岡崎寄り)と制御付随車2200形(Tc'・高蔵寺寄り)で2両編成を組む。車号の下2桁は編成番号の数字と同一である(G1編成:Mc2101+Tc'2201)。機器構成は313系300番台をベースとしており発電ブレーキは搭載されていない。
外装のカラーリングは一般公募によって選ばれたデザインをもとにしている。太さの異なる5本の緑色の線で沿線の豊かな自然を、左右非対称の毛筆調の帯で都市の力強さを表現した大胆なデザインである。前面では、種別、行先表示にまで拡大した大型のガラスを採用している他、足乗せ台の部分が小型化されるなど、313系とは違う個性をアピールしている。また、所属を示す「愛」の文字もアクセントである。
内装は313系3000番台と同じセミクロスシートだが、ワンマン運転用の装備はない。車内カラースキームがアースカラー(シートモケットの柄が緑色系、床や荷棚が茶色系)、自動放送装置、LED式旅客案内表示器が千鳥配置といった313系にはない特徴を持つ。
イベント仕様車としてG30番台の編成(2131~・2231~)が3本(計6両)在籍しているが、普段は通常仕様の車両と共通の運用が組まれている。イベント仕様車は、着脱式のテーブル、カラオケ用のコンセント、BOSE社製スピーカー、空気清浄機などを備えている。
2002年(平成14年)から製造され、最初の甲種輸送は2002年12月29日。営業運転は翌2003年3月14日のダイヤ改正からである。以降、2005年までに2両編成16本(計32両)が登場している。
ラッシュ時を中心に2本をつなげた4連で運用されるが、一部の列車は2連のまま非常に混雑した状態で輸送をせざるを得ない状況にあり、また2008年に予定されている新豊田駅~三河豊田駅間の複線化による両駅間のシャトル便(1時間あたり4往復を予定)の設定が控えていることから、今後更に追加投入される可能性がある。
編成番号 | 甲種輸送日 | |
---|---|---|
第1次輸送 | G1 G2 G31* G33* | 2002年12月29日 |
第2次輸送 | G3 G4 G5 G6 G7 | 2003年12月6日 |
第3次輸送 | G8 G9 G10 | 2004年10月12日 |
第4次輸送 | G11 G12 G32 | 2004年11月5日 |
第5次輸送 | G13 | 2005年11月14日 |
第1次輸送車のうち、G31、G33の編成は輸送当時はそれぞれG12、G14を名乗っており、後に編成番号のみ改められた。16本のうち4本(G8 G9 G10 G11)は冬季の架線霜取り用としてパンタグラフを2基備えている。
「愛・地球博」終了後に、後述する100形・200形・300形との置き換えが完了して、愛知環状鉄道が所有する全ての旅客用車両が2000系となった。
[編集] 100形・200形・300形
前述の2000系への置き換えで淘汰が進み、2005年(平成17年)11月13日のさよなら運転で引退した。電装品に国鉄101系の廃車発生品を流用しており、主電動機が100kWのMT46を使用していた一方、台車は新製のボルスタレス台車を採用して異彩を放っている。片開き3扉の19m車で、乗客の増加に伴い、扉の構造上から乗降時に時間がかかっていたことも同車の運命を決めた。ワンマン運転に対応できるように、運転台を半室式にしたり、最前部の乗降扉を運転台直後としているが、愛環在籍時にワンマン運転されなかったため、この構造が活かされたのはえちぜん鉄道に譲渡後のことである。
- 100形・200形
- JR(旧国鉄)から転換された時に新造されたもので、100形(Mc)・200形(Tc)をあわせた2両編成。100形は高蔵寺方向に、200形は岡崎方向に連結された。最大で2両編成9本(18両)が在籍していたが、最末期は2両編成4本(8両)が在籍していた。廃車後、100形の連結面に200形の乗務員室部を切り継ぎ、両運転台化してえちぜん鉄道へ譲渡されたものもある(→MC6001形・MC6101形)。
- 300形
- 100形・200形の増結用、また緊急時の救援用途として、開業時に2両、その後3両の計5両が製造された。内装・外装ともに基本的には100形と変わりなく、両運転台車であるということが特筆される。最末期は4両が在籍していた。こちらも、廃車後えちぜん鉄道に移籍した車両が存在する(同上参照)。
- 増結車として使用時には常に高蔵寺方に連結された。また、稀に100形の代わりに200形と編成を組むこともあった。両運転台である事から当然単行運転も可能であったが、車両不足時に300形同士の2連を組む時と、2005年11月13日のラストラン時以外は岡崎方運転台を営業列車で使用した事はないと思われる。但し、1997年頃の「愛環ビール列車」では、300形単行が運転されている。
万博輸送時は100形・200形・300形を組み合わせた4両編成で使用されていた。
[編集] 愛知万博輸送
愛知環状鉄道線は、2005年に開催された2005年日本国際博覧会(愛知万博)の会場の最寄りを通る路線として注目された。2004年10月10日から2005年9月30日まで、万博会場に最も近い「八草駅」を「万博八草駅」と改め、そこから日本初である浮上式リニアモーターカーの愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)やシャトルバスに接続し、万博会場へ輸送した。なお、計画当初は、線路を会場付近まで延ばす計画があったが、中止になっている。
万博開催に向け、それまで単線であった路線を一部複線化し(国鉄時代から複線用に土地は確保してあったので、それ程困難ではなかった。)、JR中央本線と接続する高蔵寺駅では、線路をつなげ、名古屋駅から直通列車「エキスポシャトル」を毎時3往復走らせた。また、普通列車も毎時3往復、4両で運転した。この大幅な増発によって不足する運転士は近畿日本鉄道から、車掌はJR東海から出向の形で借り、万博輸送を乗り切った。
日本国際博覧会協会も、地下鉄を通るルートを公式ルートから外し、こちらをメインにするように呼び掛けた。理由はリニモの輸送力が小さく、地下鉄東山線も大変な混雑が予想されたからである。愛環もJRと協力し名古屋との往復割引切符を発売するなど、愛環へシフトするように努力した。
愛知万博終了後の2005年10月1日以降は、万博八草駅が元の八草駅に改称された他、100形・200形・300形の旧型車両がすべて廃車され、車両は2000系に統一された。JRとの直通運転は万博終了後も実施されることになり、朝・夕に名古屋~瀬戸口間に6本(土曜・休日は運休)、日中に名古屋~岡崎間(高蔵寺経由)で5往復10本の運転が行われている。なお直通運転はJR東海の車両が使用されている。
[編集] 今後の予定
2008年完成予定で三河豊田駅~新豊田駅間を複線化して同駅間にシャトル便を運行する計画がある。これは沿線のトヨタ自動車がマイカー通勤から公共交通機関利用に転換を進めていることに対応するものである。 同区間の工事であるが、2006年6月中旬頃から三河豊田駅構内で工事が開始され、9月上旬には三河豊田~新豊田間の工事が本格化した模様で複線対応の架線柱を新設、10月中旬からは新上挙母駅構内で複線対応に伴うホームの基礎工事が開始された。
さらに、トヨタ自動車が将来的に貨物輸送を愛知環状鉄道で行うという予定も報道されたが、具体的計画は進んでいない。
[編集] その他
鉄道会社としては珍しく、パソコン用の列車ダイヤ作成などの運輸運転業務支援ソフトウェア「愛環X号」を各種発売している。「愛環X号」は現在1号~6号まで発売されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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