感情労働
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感情労働(かんじょうろうどう、Emotional Labour)とは、身体や知識だけでなく感情の移入を必要とする労働作業を意味する。
本来、労働の定義においては行動主義的、生理学的な固体主義的把握によるアプローチが一般であった。もちろんマルクス主義においては労働の価値に力点が置かれ、この領域は等閑視されていた。これに対して「感情労働」は、労働の本質を社会史的、人類学的視座から文化的相対主義の視点を援用することにより、社会的・社会心理学的、経済学的文脈において解きほぐそうとする試みである。
20世紀後半にGerhards、Scheffによって研究が開始され、一応の業績の蓄積が達成された段階にある。このほか派生領域として社会関係認知と感情の関連を問うKemperらの方法、Hochschild(感情操作)などの研究が見られる。
感情労働にもっとも相当する職種としては、看護職が挙げられる。航空機の客室乗務員などのサービス業も感情労働に当てはまる。